表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/104

Lv.100 記憶の海

「起きろクズ野郎!」


首領はそう怒鳴りながら、海底に黄金の鎖を伸ばす。何かを鎖で掴み、それを引き上げる。

それは、船の残骸だった。


「……!」

「お、思い出したか?」


船の残骸があった場所を中心に、海に巨大な渦巻きが現れ始める。周囲の空には暗雲が現れ、一瞬で周囲は嵐となった。

ここは、神海(しんかい)だった。


「何奴だ」

「おい、海を逆回りにしろ」


海底から響く声、海の神だ。ライムを殺した、あの。

それに恐れることなく首領は命令する。

海底から黒い触手が伸びてくる。首領はその触手を受け止め、握りつぶした。


「……貴様、あの時の」

「いいからとっとと回せ」

「……了解した」


海の神は素直に従い、海の潮目を逆にする。巨大な渦潮はゆっくりとその回転方向を逆にし、時計回りとなった。


「ここはプログラムの始まり。プログラムの終わり。神がこの世界を作った開闢の点だ。バグの温床、時を越える事すら可能だ。そこを超えて裏世界に行けば、時止めを回避することもできるだろう」

「……?」

「まどろっこしいから簡単に言おう、お前にはレベル上げをしてきてもらう」

「はぁ!?」


俺の口がやっと開いた。


「いい反応だ。全てを理解するために、お前には神話の時代へと行ってもらう」

「何が……どういう事だよ!」

「ふはははは!」


首領は高笑いしながら、俺の胸に腕を深く突き刺した。

痛みはないが、何かが吸い取られる感覚がある。


『テレレテッテレ〜♪』

『レベルが上がりました〜!』


レベルの上がった音がする。

しかし、いつもより遠くから聞こえた。


『テレレテッテレ〜♪』

『レベルが上がりました〜!』

『テレレテッテレ〜♪』

『レベルが上がりました〜!』


俺の力が抜けていく感覚がある。

まさかと思い、俺は動く指で自分のステータスを開く。


「なんだ……これ」


俺のレベルが、経験値が、すごい勢いで減っていた。

ついに俺の経験値が底をつく。

そして、俺の呼吸に合わせて経験値が入っていく。


「何をしたんだ!」

「お前の経験値をいただいた。これで100レベルちょうど、か」


首領はぶつくさと言いながら、空中をなぞっている。


「お前……何者なんだ?」

「……」


首領は黙って空を見上げる。


「もう時間的に大丈夫そうだな」


そう言って、首領は仮面に手をかけた。


「俺の正体はな……」


首領は、ゆっくりと仮面を外す。



「……は」




俺は息をのんだ。



ニヤリと笑った首領の顔は、見覚えがあった。

『髪の毛は銀の短髪サラサラヘアー。肌はもっちりでできものなんて一つもない。きれいに整えられた鼻、口、目元。

そしてシェフのこだわりワンポイント。目は少し切れ長で、瞳の色は金』


「お前は、俺だ。俺は、お前だ」


首領の顔は、俺の顔だった。

・感想

・いいね

・ブックマーク

・評価等


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ