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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

俺たちの炎の復讐譚 ~サルに母を殺されたカニたちは仲間を集めて完璧な敵討ちを企てる~

掲載日:2021/02/03

 ある日、一匹の卵を腹に抱えたカニが食べ物を探し彷徨い歩いていました。カニはようやく一つのお握りを見つけるのでした。


 そのお握りを食べようとすると一匹の腹をすかせたサルがやってきました。



「カニさんや、その持ってるお握り。俺にくれよ!」


「あらサルさん。私もおなかがすいているのです。申し訳ありませんが……」


「それが俺はもうすぐ飢え死にしそうなんだ!頼む……」


「そこまで言われたら渡さないわけにはいかないですね。ほら、どうぞ食べてください」


「ありがとう!それならお礼にこの柿の種を上げるよ!じっくり育ててあげれば立派な柿の木になる!そしたら食べ物に困らないぞ!」


「あら、ありがとうございます。じゃあ私はこれを育てて柿をたくさん食べようかしら」



 こうしてサルにお握りをあげてカニは柿の種をもらったのでした。そしてカニは柿の種を植え、一生懸命育てました。

 やがて柿の種はすくすくと育ち、立派な柿の木になりました。



「ようやく育ったわ……これでたくさん食べられますね」



 柿を育てるのに一生懸命だったカニは今にも飢え死にしそうでした。しかし柿は実りました。これでお腹一杯に食べることができます。そこに柿の種をくれたサルが通りかかりました。



「お!ここにでかい柿の木があるじゃん!小腹が減ったしたーべよっと」



 そういったサルは柿の木を駆け上がり、むしゃむしゃと柿を食べ始めました。当然これにはカニも怒ります。



「サルさん!なんで勝手に食べるんですか!これは私の柿の木ですよ!」


「お~、カニさん、俺は腹が減ったからこの柿を全部食べることにしたぜ。悪いな、また育てなおしてくれ」


「そんなこと言わないでください。私はもう飢えて飢えて死にそうなんです」


「うるせえよ!俺が気持ちよく食べているのに邪魔するんじゃねえ!」



 サルは柿の実の一つを手荷物とカニに向けて剛速球で投げつけました。投げた柿の実はカニを殴打します。そしてカニの甲羅を粉々に砕いてしまいました。



「そんな、私の人生……ここで終わりなの?せめて子供たちだけでも……」



 死にかけたカニは腹に抱えた子ガニを最後の力を振り絞って産みました。そうして産まれたカニはわずか3匹。3匹のカニに向けて母となったカニは語り掛けます。



「産まれてくれてありがとうね。私はもう死んじゃうけれど、兄弟で立派に楽しく生きるのよ」



 子ガニたちは当然疑問に思います。産まれたと思ったら母が死にかけているのですから。



「お母さん、死んじゃうの?」


「いやだよ~。一緒に暮らそうよ」


「お母さん……」


「ごめんね、私はもうすぐ死んでしまうの。だから一緒に暮らすことはできないわ。それにあそこに私を殺そうとした恐ろしいサルがいるの。だから今すぐ逃げなさい」


「お母さん……俺は……」


「元気出して、3匹いればきっと楽しく生きていけるわよ。最後にあなたたちに名前をあげるわ、

あなたは長男だからカニ太郎、そしてカニ次郎、カニ三郎。名前ぐらいしかあげられなくてごめんね」


「お母さん……ありがとう……」


「ほら!早く逃げなさい!さあ!」



 お母さんカニは息子たちを急かします。そこにサルの声が響きます。



「今夜はカニ鍋だなあ!しかも子ガニもいるじゃねえか!そこのカニに感謝だぜ!」



 サルは紛れもない殺意を子ガニたちに向けました。純然たる殺意を見た子ガニたちは一目散に逃げだしました。






 子ガニたちはサルから逃げることができました。サルも柿を食べて満腹になっていました。だからそこまで躍起になって追う気はなかったようです。

 母を見捨てることになってしまった。無様に逃げ出すしかなかった自分たちを子ガニたちは許すことができませんでした。そしてサルを絶対許せないという気持ちが募りました。



「お母さんは兄弟で立派に楽しく生きるようにと言ったけれど」


「こんな体たらくでノウノウとと生きることはできないよ」


「そうだよね……俺たちはあのサルを倒さないといけない。倒さないと先に進めないんだ」



 兄弟3匹とも、母の生き様を見て考えました。絶対にかたき討ちをとると誓いました。

 そんな復讐の炎を目に宿す3匹のもとにハチ、ウス、クリが現れました。そしてハチがカニ太郎に話しかけます。



「君たちもサルに嫌がらせをされたのかい?」


「嫌がらせ……そんな生易しいものじゃないよ」


「そうなのか?」


「うん。僕たちは目の前でお母さんを殺された。絶対に許せないよ。だからかたき討ちをするのさ」


「そんな!あのサルはやっぱりろくでもないな!いくらなんでも酷すぎるだろう。俺たちも一緒に行かせてくれ!」



 聞けばハチもウスもクリもサルに酷いことをされたそうです。

 ハチは巣を壊され、蜂蜜を全て奪われました。

 ウスは餅を突くための杵を奪われてしまったそうです。

 クリはサッカーボールの如く蹴られて、遊ばれていました。


 それぞれ、サルを許せない想いはありました。しかし目の前で親殺しをされたというカニの話を聞いて、サルをこのまま野放しにしてはいけない。こらしめる必要があるとそれぞれ思うのでした。

 こうして復讐のための仲間が増えた子ガニたちはサルを討つ作戦を考えるのでした。

そして作戦を練った子ガニたちはサルが帰ってくる前にサルの家に忍び込むのでした。






 サルは呑気に家に帰りました。豪華なものを食べてお腹いっぱいのサルは囲炉裏の前に寝ころびました。そしてうたた寝をしようとしたそのとき、囲炉裏の中から熱と炎を纏ったクリが飛び出し、サルの顔に突撃しました。



「俺をサッカーボールにした仕返しだ!フレアトルネード!」


「あちいいいいいい!!!」



 サルは顔に大やけどを負いました。痛いし熱いしでたまらないサルは水瓶のふたを開けました。そこに隠れていたのはハチでした。ハチはサルの眼に針を刺します。ずぶりと。



「蜂蜜ください、じゃあねえんだよ!」


「痛い痛い痛いいいいいい!!!」



 サルはあまりの熱さと痛さのもう訳が分かりません。家の外に逃げ出そうとします。しかし玄関の真上に潜んでいたウスがサルに向かって落ちてきました。ウスはサルのことを押しつぶしました。



「恋人の仇!」


「重い!死んじゃうよ!助けて!!」



 そこに3匹のカニが立ちはだかります。



「許すわけないだろう。お前は僕たちのお母さんを卑劣なだまし討ちで殺したんだ」


「そうだ、絶対に許さない!」


「お前はここで倒す……」



 3匹のカニは死にかけたサルにも容赦はしません。絶対に許さない、絶対に倒すと心に誓ったのですから。


 カニたちはハサミを振り上げ、サルの身体を切り裂きました。

3匹のカニは何度も何度もハサミを振り上げました。

朝日を浴びても、夜が更けてもハサミを振り上げました。



 三日三晩サルを切り裂きました。そうして気づいたときにはサルは力尽きていました。

 皆の攻撃にサルの身体は耐えきれなかったのでした。こうしてカニは仇討ちを無事に果たすのでした。



「お母さんの敵討ちが打てた」


「よかった!これで僕たちは前に進める」


「そうだね……これから僕たちの人生を始めよう」



 安堵し、生きることを決めた子ガニたちを見たクリたちも大喜びです。復讐を果たした子ガニたちはこれからどんな生をまっとうするのでしょうか。



 それはまた別のお話。めでたしめでたし。

読んでいただきありがとうございました

他にも作品書いてるので是非読んでください!

最後に評価いただけたら嬉しいです!


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[一言] 猿蟹合戦から消された存在の糞を忘れないで
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