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とある神の観察日記

作者: ペペロンチーノ

 俺は神。

 異世界の神、と呼ばれるもの。

 果てしないほどの時間を過ごし、最近は愚かな人間観察にはまっている。

 さあ、今日も観察をはじめよう。

 少し裕福そうな彼、名前はも性格も知らんが、見た目は美しい、決めた。

 親切な俺は暇潰しに観察しているやつの恋を手助けしている。

 俺の観察網にひっかかるのはそういうやつだけだ。

 神の権限でそう設定した。

 それは男でも、女でもどちらでも構わない。

 おっと、あいつが動き出した。

 少し考えを覗いてみるか。


『俺は夜中になるのを待っていた。

 相手は王族、多少無茶をしなければ会えない。

 さあ!行くぞ!愛しの君よ』


 っておいいいいい、身分がとかは言わないが、お前それ夜這い??

 滅す?滅す??

 合意なら良いけどさ、無理矢理は好きじゃないんだよ。

 愚かな人間観察にははまってるけどね、え、愚かすぎない??

 いや、きっと両思いなんだ、そうだ。

 とりあえず愛しの君の元へたどり着いた後で決めよう。

 場合によっては天誅、はい決定。

 なんて突っ込みいれてる場合じゃなくて、観察観察。


『薄暗い廊下…愛しの貴方の部屋はこっちだろうか…

警備のものに出会わなければ良いのだが…』


 は?ちゃんと下調べしろよ!

 警備巡回のコースぐらい知っとけよ!!

 見てやるよ、出欠大サービスだぞっておい、来てる!警備、こっちきてる!!!

 このままじゃ鉢合わせだ、やばいぞ…捕まるぞあいつ…。

 ……………………………。

 あー、分かったよ、俺がやるしかないんだな?

 みとけ、神の力を…!!!

 物音を立てて…そうだ、よし!うまく警備を誘導できたぞ…。

 このまま進め…。


『物音がした?結構大きな音だ。

行くべきか?いや、しかし…。

だが、大事があったら取り返しがつかない…』


 い!け!よ!!!!!!

 お前は愛しの君だかなんだかに夜這いしに来たんだろ、行け!!!!!

 そうか、分かった、手伝ってやる。

 手取り足取りな…!

 

『よく周辺の音を聞いてみると、何かあったのか?いや、物が倒れただけみたいだ!と聞こえてきた。

このまま進もう!

それにしても部屋はどこだ?』


 よし!警備のやつ、混乱させてごめんな。

 でもこれであいつは進めるぞ…。

 え、ていうかどこ目指してるの?

 目的地分からないとか、本当にヤバイよこいつ。

 分かった、何回でも使うぞ、分かった。

 加護を与えればよいんだな?

 ほら、行きたい場所の位置がなんとなくわかってくる加護だ!


『天啓がおりてきた…こっちな気がする…。

いや、待てよ、俺は元来方向音痴だ。きっと逆だな』


 はああああああ?

 んんんんんんん???

 聞き間違いかな?

 それ、方向音痴とかじゃないから、ただ調べてないだけだから。

 正しい方進めや、おらぁ!

 蔦生やすぞ、蔦…!

 大量にな!!!!


『蔦が大量にはえてきた…

これでは前に進めない…

千切っても千切ってもはえてくる……。

仕方ない、思った方向に進むか』


 そうだ、そのまま進め。

 いけ!いけぇえええ!!!!!!

 警備、排除!よくわからないトラップ排除!

 排除排除排除、どうだ!

 あ、待てヤバイか、罠全部解除しちゃったぞ…。

 もしあいつがヤバイことしたら、うん、天誅すれば大丈夫だよね。


『きっと、ここだ。分かる。

この部屋だ…来るの意外に簡単だったな。よし開けるぞ…開けるぞ…あ、緊張する、…』


 意外に簡単とか心外だから。

 俺、俺が頑張ってるから!

 俺だよー、俺がいなかったらお前詰んでたからな!

 そして扉開け!早く開けよ!!!


『緊張のせいで手が震える。はぁ、ドアノブに手をかけて…ひ、開けない、緊張して開けない…!!!』


 開けよ!鍵かかってないからその扉!!!

 分かったよ、全部分かった。

 開いてあげよう。

 後押ししてあげよう。

 とっとといけー!!!!!


『うわ!扉が開いた…!

待て、後ろからすごい風が…窓はないはずなのに!うわぁ!!!!』


 あいつはころころ転がっていく。

 はぁ、ここまできたら良いだろう。

 さて、部屋の中には誰が…誰も、いない…?


『あ、あぁ…やはり美しい…、貴方に会えて良かった…』


 え、何々?何に話しかけてるわけ?

 そこには銅像しか…え、銅像??

 銅像に話しかけてるの??

 はぁはぁしてるし気持ち悪いぞこいつ。

 愛しの君ってこの銅像…?

 俺が呆然としている間にも、あいつは筋肉が~、とか曲線が~とかわけわからないことを言っている…。

 アホらし。

 俺は分かった、今回の件で分かった。

 俺が一番、愚かなんだな…。

 

 そうして俺は自分で作った観測機を手放した。

 また穏やかな自然でも観察するかな…。

勢いで書きました。

勢いを楽しんでいただけたなら幸いです。

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