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ダグドが駄目って言うからね

 シロロは珍しくダグドに行くのだと言い返したが、ダグドは珍しくシロロに強く駄目だと言い張った。


「危険でしょう。駄目!」


 シロロは唇を尖らせて、なんだか泣きそうな顔にもなった。


「ねぇ、ダグド様。私がシロちゃんを見ている。それなら危なくないでしょう。子供が寝る時間なら、船でシロちゃんを抱いてあげていても良いのだし。」


 ダグドは私の言い分を聞くと、シロロに再び向かい合った。

 なんと、彼はシロロの目線に合わせるためにしゃがみ込んでもいる。


「ねぇ、シロロ。今回は諦めよう。それからね、ノーラを連れて行くのは確実に悪手だよ。この子は夜の十時には完全に寝てしまう。君を抱いて守るどころじゃない。寝ぼけた彼女に海に落とされてしまうよ。」


 私はダグドを海に突き飛ばしたい誘惑にかられた。

 私の後ろでカイユーとフェールが吹き出してもいるのだ、ってエランまで!

 ダグドに言い募られたシロロはチラリと私に目線を寄こしてから、しょぼんと頭を下げた。


「ぼく、ノーラ姉さまとお出かけしたかった。」


 うわ、あざとい。

 ダグドへの精神攻撃だとしたら、クリティカルヒットだ!

 ダグドはいち、にぃ、あ、五秒も固まっていた!

 それからダグドはもう一度動き始めたが、私の方が早かった。

 私はダグドに子供一人預けられないと信用が無かったのかとがっかりしており、また、信用の置けない人間だと決めつけられていたことに反発していたのだ。


「ダグド様。ダグド様の言う事はわかったわ。この話はここでお終い。せっかくの楽しい宴ですもの。ほら、アスランがダグド様を呼んでいる。」


 ダグドは私に少々訝し気な視線を寄こしたが、私はいつも良い子のノーラなのである。

 彼は二コリと微笑むと、シロロの頭をポンと撫で、そして私の肩もポンと叩くと、彼を呼んでもいなかったアスランの方へと歩いて行った。


「はぁ、夜釣りは無しか。」


「カイユー、アルバートルを呼んできて。今すぐ。」


「ノーラ。」


「夜釣りに行きたいんでしょう。」


「いや、だってお前、ダグド様に分かったって。」


「えぇ、わかったわよ。彼の言い分はね。でも、私はそれに納得して言うことを聞くとは答えていないわ。ほら、早く行く!」


「俺が行きますよ。姐さん。」


 フェールが走って消え、カイユーは私に片眉をあげて尋ねる様にして見つめ、そして、シロロは私を女神と崇める顔つきだ。


 ただ一つ、エランだけが私を叱りつけたそうな顔だった。

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