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第6話


部屋から出て階段を降りて行くとゴーシュ・アントニーはすでに働いていた。


「おっおはようございます、皆さん早いですね。毎日こんなに早くから働いているんですか?」


俺が質問するとアントニーが答えてくれた。


「僕たち下級死神は、上級死神が従えている幻獣たちの朝食作りから始まるんだ

これが本職ってわけじゃないけど、やっといた方が上級になった時に幻獣が従えやすくなるからね。

それに僕の能力にも関係してくるし。」


そういうとアントニーは1枚の紙を渡してきた。


「この紙は・・・?」


俺が質問すると待ってましたと言わんばかりのドヤ顔でゴーシュが説明を始めた。



「この紙はアビリティカードといって、今の自分の能力・解放している封印などを表示してくれるのだよ。

ルシファー君も今日貰いに行くから僕が案内するのだよ。仕事の持ち場も今日伝えられるのだよ。」



ゴーシュに説明られもう一度でアントニーのカードを見返した。



・アントニー


・能力・・・幻獣化・【魂の共鳴・魂の融合ができる幻獣のみ】


・封印・・・第一の封印のみ



(なるほど・・・俺よりはるかに強そうだな・・・幻獣化かっこいいな・・・)


・・・あれこれしているうちに朝食作りが終わり俺はゴーシュに連れられて

冥府の入り口にあるタナトス協会に足を運んだ。



・タナトス協会とは主に新しく冥府に入る人物の管理・魂の管理などをしており

四天王もそこに属している。



「失礼します、新人を連れてきました。」


ゴーシュが問いかけても誰も反応しなかった。


・・・・・・・・「すいません・・・もうしませんからお許しを・・・・」


「んふふ・・・もう遅いです、私は仕事のできないものは嫌いなのですよ。」


誰かの声がした・・おそらく2人はいるだろう、その時・・・・・・・ドン・・・・

上から何かが降ってきた。



落ちてきた方に目を向けてみると、見るも無残な原型をとどめていない死神の姿だった。

亡骸はそのまま灰となって消えゆく姿を見ていると・・・


「おやおや、ゴーシュ君じゃないですか。」・・・誰かが俺たちの方に近づいてきた。


「また新人を連れてきたのですね・・・お名前は?」



俺はあまりの恐怖に体が固まってしまった。

威圧的な佇まい、何よりもあの冷血な目・・・

これほどまでに人に恐怖を感じたことがあっただろうか・・・・・・・


この人はすぐにやばい死神だとわかった。


恐怖で何も話せなくなった俺の代わりにゴーシュが答えた。


「はい。イブリース様、彼の名前はルシファー先日転生されたものです。

今日はアビリティーカードと仕事のや・・ウッ・・・・」


イブリースはゴーシュを高く蹴り上げた。

ゴーシュの体は天井にぶつかりそのまま床へと叩きつけられた。


「イブ・・リー・・スさま・・い・・きなり・・な・・にを・・・」


ゴーシュが痛みに耐えながら口を開くと


「私は長い話が嫌いです。私はただ新人に名を聞いただけです、

その先の話に興味はありません。そもそもあなたにではなくそこの新人に聞いたのです。」


(ルシファー?転生者?大王が言っていた無断転生者か?)



イブリースがゴーシュの頭を踏みつけている。

俺は何もできず目の前で起きていることを見ているしかできなかった。


あまりの酷さに俯き、目を瞑ったまま声を押し殺していた・・・・・

そんな時入り口から声が聞こえてきた。



(誰の声だ・・・?聞いたことがある・・・ベリアルの声か・・・?)

俺は俯いていた顔をあげ声のする方に視線を向けた。

そこにいたのはやはりベリアルだった。



「イブリースよ、何をしている・・・足で踏みつけているものはゴーシュに見えるが?」


ベリアルの声に反応したイブリースはゴーシュを踏みつけていた足をどかした。


「これはベリアル殿、ゴーシュには四天王として戦闘の特訓をしていました。」


イブリースは不気味な笑みを浮かべながらベリアルに嘘をついた・・・

やはりイブリースはやばい死神だ・・・



「そうか・・・だが特訓はその辺にして一緒に来い。大王がお呼びだ。」


ベリアルが言うとイブリースはまたあの不気味な笑みを浮かべベリアルと共にその場を去っていった。



2人の姿が見えなくなったのを確認すると俺は安堵した。

イブリースは恐ろしい・・・

冥府に来てから初めて恐怖というものを知った。



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