動的平衡
斜めに差す光が壁の明暗を作っていた。
直視できぬほどまばゆい光が横から僕を焼き
明暗の狭間を強かに生きている緑を鮮明に照らす。
僕の陰は灰色の道へ色濃く投影されている。
足をくすぐる風は空々しく
刈られてなお生きようとする緑には見向きもしない。
名も知らぬ花が倒れていた。
受粉できなかった雌花はどうせ萎れるのを待つしかなかったが。
花粉を飛ばした後の雄花ならもう役目は終えている。
その個体の命は風前の灯火であろうが
また次の年にこの場所で、新たな個体のフリをして芽吹くのだろう。
あるいはそれの子孫か兄弟が遺族のフリをして
この場所に根を張るのだろう。
倒れて潰れてもなおまだ生きていた。