正体不明の予感
編成会終了後、シロヤはマサタと第二体育館へと向かう途中、前日の出来事を思い出した。
「昨日スポーツショップ行った時に、なんなムカつくやつが居て、名取によろしくとか言ってたぞ。
確か、神前のウィンドブレーカー着てた。」
マサタは目をつむり考えつつ、
「おれに?」
と聞いてくる。
「ほら、口がジグザグしてるやつだよ」
自分で言っといて何のヒントにもならないと思っていたのだが、ついに言ってしまった
。すると意外なことにマサタは
「あー!それ酒田かもしんないな。」
と何か思い出したようだが、語尾がトーン低めになっていたのが気になったので
「なんだ同級生か。なに?そいつ嫌なの?」
と何の気なしに聞いてみる。
「いや、先輩なんだけどさ、同じ学校じゃなかったけど中学ん時めちゃくちゃ嫌われてた。」
というシロヤにとってはやや納得し得る回答が返って来る。
「念のため聞くけど、なんで?」
少し嫌な顔になってこう応える。
「性格が悪すぎる。」
かなり深刻な顔で言う。
シロヤは
新入部員が2人だという報告より深刻なことなのか。とその酒田の嫌われ具合を想像しているうちに、マサタは
「性格悪いだけじゃなくてバドも上手いから厄介なんだよな。」と付け加える。
「じゃあ、大会とかであたることも」と言いかけるが、マサタはかぶせ気味で
「ある」
と完全に言い切った。
おれはすごく嫌な予感がしていた。