閑話 シャドー達 終
シャドー編最終章です。
この話が終わると部長篇になるのですが、また少し書き溜めをしたいと思いますので、しばしお休みさせていただきます。
どうぞ再開時はよろしくお願いします(*^_^*)
中小企業で怒った大爆発をマサ以外のシャドー達はビル近くの公園で見ていた。
「バカなことをする子だよ」
マサに姉さんと言われていたことを思い出しながら、バラは自傷気味に呟いた。
ルイなどは涙を浮かべて、マサが行った偉業を悔いていた。
「どうしてこんな結末しかできなかったんだ。もっといろいろ相談していてくれたなら……」
まさかマサが中に残っているなど考えてもみなかった。
マサは5人の中で一番動きが速く。体も小さいのでどんなところからでも逃げ出すと思っていた。
実際、作戦内容を聞いた時、マサは逃げてくると言っていた。
「相談すれば反対されるって分かっていたんだよ」
そんなルイに対してゼロが淡々と答える。
ゼロの言葉はルイにだってわかっている。
それでも言わずにはおれなかったのだ。
「それでも我々の悲願は達成されなかったようだ」
デクが指を差すと崩れたビルからではなく。
遠くの方にヒーロー達が乗っているロボットが見えた。
「そうだね。マサは失敗したんだね……」
バラはマサの失敗に対して、悲しみを称えた顔でその場を離れる。
後の三人もバラに続くように、何かを決意した顔をしていた。
「あの子の仇を討たなくちゃならない。私達は託されたんだ」
「うん」
バラの言葉にゼロが力強く頷く。
デクは只々黙って黙祷を捧げ、ルイは涙する。
女性の方が強いのはどの世界でも同じようだった。
彼らがその場を離れると中小企業の爆発は、消し止め作業が開始された。
ビルの中から、一人の遺体が見つかったらしいが、あまりにも火傷が酷く誰かわらかなかったという。
しかし、鈴木の証言で宇宙怪人の中にいるシャドーだという証言を警察も信じた。
それは正式な抗議としてブレインの下に届けられた。
「謹んで宇宙機構にあげさせて頂く」
日本政府からの通達をブレインは穏健派に伝え、過激派の鎮圧にあたることになった。
その折四人のシャドーの行方はつかめなかったという。
しかし、シャドー達の上司である過激派幹部は一網打尽となり、宇宙人の暗躍は一時なりを潜めるかたちとなった。
「鈴木さん。本当にあなたは面白い」
中小企業の新たなビルにブレインの姿はなかった。
ブレインは独自の施設を提供され、一時日本政府の監視の下に置かれることになったのだ。
「致し方ありませんね」
それに対してブレインも甘んじて受け入れることを承諾した。
敵対組織の事情など、知らないのが当たり前である。
それを説明しても仕方ないとブレイン自身が思っての承諾だった。
宇宙怪人達のそんな動きとは別に、地球側でも大きな動きがあった。
中小企業が潜入、破壊されたことで、警戒レベルがあげられ、また漏れた機密によりヒーローの交代が早められた。
予てより交代は決まっていたが、彼らの安全を保障する意味でも現ヒーローには引退してもらい、新ヒーローを迎えることで、現ヒーローが襲撃を受けても宇宙怪人と戦える状況を作りたいというのが政府の考えだった。
これにより、イエローとして戦っていた黄島 望も早期引退ができ、鈴木の看病に時間を当たることができた。
一連の事件は上層部だけの極秘とされ、関係者以外知ることはないようにマスコミには実験時の事故として処理されることとなった。
またその際に事故を起こした責任者として、全責任を壺井 浩孝一人に負わせることが決まった。
マスコミには壺井が起こした事故として処理されるように働きかけが行われたのだ。
鈴木の知らないところで、様々な思惑が交差した事件はこうして幕を閉じた。
いつも読んで頂きありがとうございます。




