象徴詩『デ・ザイン』
真鍮洗面台に肉靴と
削った銅の粉
蛇口と蛇膣からキトキトと
塩酸が垂れている
アルチバ記章を左目に
ぶら下げた友達が
バスタブに立っていた
十六個の座標で示される
四次元の入れ子
突き飛ばし小突くと
三面鏡に浮沈した
溺れ掛け泣き始める
底気味悪い毀損顔
濡れた背に掌を宛がう
体交の日
垂直に抱き上げ
引き揚げるユリ金貨
一万枚
髪が水色のタイルを這い
張り付く皮のザラザラ
底の砂
薄い体を撫で擦り
ヒンヤリと洗う手
洗足の手
時疇書に挟まる芽を毟る
薄荷の気泡が
桃色の屋根裏を抜け
空液を航る生爪を
西の方角へ押した