いや、本音。どっちも……
「え? どっちか選べって?」
僕の前に二人が立って、強く頷いた。
ヴァンパイアのウィローが目を輝かせている。
「そう、俺とこいつのどっちかを選ばせてもいいって、おやっさんが約束してくれたんだ」
僕は内心舌打ちした。あのくそじじい。
「そうなんです。同列に扱われて、はなはだ迷惑ですが」
サンタのウィリアムが真剣な眼差しで僕を見つめた。
「でもさ、二人のどっちかを、なんて、僕にはできそうにないよ」
「なんでだよ!?」
「なんでですか!?」
ウィローとウィリーが声を大にする。
「だって、僕が二人のうち一人を選んだら、ずっと一年中、その日だけしかなくなるかもしれないから」
「それでいいじゃん!」
「それでいいと思います!」
わかってねーな……、と僕は頭が痛くなった。こんなことになるのはわかりきったことなんだから、偏らないように苦労しているというのに、あのじじいは「よきにはからえ」で済ませやがる。
「でもね、君たちに限らず、エイプリルフールのウィルダムや、ニューイヤーのウィノリアだって、同じことを言いに来るかもしれないよ?」
その言葉に、二人が今初めて思い当たったみたいに驚きの表情を浮かべた。
「邪魔してやる!」
「ライバルは少ない方がいいですね!」
そう言って、二人は駆け去った。
僕は一人残され、ため息を吐いた。たぶん一部始終を見ているくそじじいに向かって、怒鳴ってやった。
「ヤハウェ! エブリデイである僕を困らせないでください! あなたのように平等に公平に全ての日々を愛するように、日夜努力しているのですから!」
まもなく、一年中の記念日がどっと詰めかけて、自分を選べと叫ぶのだろう。
答えは一つ。
「お祭り騒ぎは、一年に一回ずつでいい!」