表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

BL短編集

いや、本音。どっちも……

作者: 藍上央理

「え? どっちか選べって?」

 僕の前に二人が立って、強く頷いた。

 ヴァンパイアのウィローが目を輝かせている。

「そう、俺とこいつのどっちかを選ばせてもいいって、おやっさんが約束してくれたんだ」

 僕は内心舌打ちした。あのくそじじい。

「そうなんです。同列に扱われて、はなはだ迷惑ですが」

 サンタのウィリアムが真剣な眼差しで僕を見つめた。

「でもさ、二人のどっちかを、なんて、僕にはできそうにないよ」

「なんでだよ!?」

「なんでですか!?」

 ウィローとウィリーが声を大にする。

「だって、僕が二人のうち一人を選んだら、ずっと一年中、その日だけしかなくなるかもしれないから」

「それでいいじゃん!」

「それでいいと思います!」

 わかってねーな……、と僕は頭が痛くなった。こんなことになるのはわかりきったことなんだから、偏らないように苦労しているというのに、あのじじいは「よきにはからえ」で済ませやがる。

「でもね、君たちに限らず、エイプリルフールのウィルダムや、ニューイヤーのウィノリアだって、同じことを言いに来るかもしれないよ?」

 その言葉に、二人が今初めて思い当たったみたいに驚きの表情を浮かべた。

「邪魔してやる!」

「ライバルは少ない方がいいですね!」

 そう言って、二人は駆け去った。


 僕は一人残され、ため息を吐いた。たぶん一部始終を見ているくそじじいに向かって、怒鳴ってやった。

「ヤハウェ! エブリデイである僕を困らせないでください! あなたのように平等に公平に全ての日々を愛するように、日夜努力しているのですから!」


 まもなく、一年中の記念日がどっと詰めかけて、自分を選べと叫ぶのだろう。

 答えは一つ。

「お祭り騒ぎは、一年に一回ずつでいい!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ