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-藤堂3-

-藤堂3-


とりあえず現状を確認……するまでもないか。追いかけるべきだろう。そもそもなんで俺が「バカ」と大声で言われなきゃならんのだ。ああいう天然キャラはめんどくさいことが多い(ソースは俺)のだが、まさに的中してしまった。

「お前のせいでめんどくさいことになったぞ。」俺は蘭子に言った。

「なによ、私だけのせいじゃないでしょ。とにかくあの子を追いましょうよ。向こう側に人がいるかもしれないし。」

そういうと、俺と蘭子は愛を追って歩き出した。

浜辺から草むらに入り、林間のデコボコした道を歩く。道は一本道なのでおそらく愛もここを進んだはずだ。


草むらを歩いている途中で蘭子といろいろ話した。

蘭子は基本的に口が悪いのだがちゃんとジョークとして成り立っているのであまり不快な感じはしなかった。まぁこれもジョークを理解できる頭の回転の速さのおかげなんだけどな!

世の一般男子であれば蘭子の嫌味な一言に激怒する人もいることだろう。

蘭子の彼氏は大変だ。いや、俺かもしれないのだが。


しかし、実際のところどっちが俺の彼女なんだろうか。

これは頭をフル回転させて考えてみたが決め手はなかった。

愛は俺への具体的な意見が多いが、なんだかピントがずれているような感じがする。

一方の蘭子はあんまり俺の情報を知らないような雰囲気がする。付き合って間もないようなので仕方ないといえばしかたないか。

俺が自分の趣味に関しても記憶障害があるのならば、俺に対して意見をどんどん言ってくれる愛が彼女のほうが現実感があるような気もする。しかしあんなにメンヘラな部分を見せられると正直メンドクセって感じがしてくる。もしかして乗り換えるなら今がチャンス?

元々蘭子が彼女だったのならば何の問題もないんだし……


俺がそんなことを考えながらデコボコ道を歩いていたら横から声がしてきた。

「ボーっとしてるみたいだけど大丈夫? 転ばないように気をつけてよ、バカは転んでも治らないわよ。」


しかし、蘭子が彼女だった場合、この口の悪さはどうにかならないものか。

いくら俺がツンデレ好きだと言っても、ツンデレの黄金比は「7:3」(自社調べ)最近は「デレは脳内保管するからツンのみでいい」なんていう強者もいるのだが、どうも俺は納得できない。

何とか蘭子のデレを引き出せないものかなぁ……


「この程度で転ぶわけないだろ。俺はこう見えても意外と運動神経がいいんだぜ?」

と言い返したその直後、俺は木の根につまづいて盛大にすっころんで頭を打った。


と、同時に脳に衝撃が走ったような感じがした。何かが頭に流れ込んできた。

「ホントにバカねぇ……」という蘭子。しかし数秒後、俺は頭を抑えてまじめな顔で立ち上がった。

「どうしたの?」と蘭子が心配そうに声をかけてくる。


俺は現状を確認した。答えが見えた。

そして1つ質問をした。


「俺の名前ってなんだっけ?」


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