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-藤堂2-

-藤堂2-


なんだか事態は思ったより意味のわからないことになってきた。

とりあえず現状を確認しよう。

①ツアー中に船から放り出された。

②誰と来ていたか俺には記憶がない。

③俺の彼女と名乗る女子2人と出会う。

④どっちと付き合っていたか思い出せない。もしくは二股?


俺は二股をかけるような性格ではないので、おそらく二股はないだろう。

ということはこの2人のどっちかが嘘をついてることになる。

いや、嘘というよりは記憶障害だろう。俺も自分が誰と来たのかがわからないが、それが冗談だったらどれだけいいことか。


しかし、これはおいしい状態かもしれないぞ?

陣内蘭子は口調はきついが、見た目はなかなか美人である。今流行のサバサバ系女子って言ったところだろうか。

一方の武田愛はなんというか、ふわふわしていて天然のかわいい女子。といった感じだ。

このどちらかが俺の彼女と言う時点で俺はなんだか満足である。

どっちがいいかな……愛のがかわいいけど、たいていあのキャラはめんどくさいところが多いからな。その点蘭子にはツンデレ要素が見える。こりゃ甲乙付けがたい。

話していると敬語なのに頭の中ではすでに名前で呼んでる俺である。


などと妄想しているとすっかり蚊帳の外に追い出されてしまった。俺はなんとか手がかりをつかもうと話に加わろうとした。

「陣内さん、武田さん、どっちが俺の彼女かわかりました?」我ながらなんと情けない質問だろう。

「そもそも、あんたがはっきりしないからいけないのよ。あと、その敬語やめてくれない?あなたに敬語を使われると馬鹿にされてるみたいで嫌だわ。」蘭子が答える。

「そうだよー 私のことだっていつも『愛』って呼び捨てだったじゃない!」

「あ、私も陣内って呼ばれなれないから蘭子でいいわよ。あなたもね」

「わかったわ蘭子さん。私も愛でいいですよー」


矛先が俺からよそに向いてよかった。

そんなことを思っていたら、ひとつのいい考えが浮かんだ。

「よし! とりあえずどっちが俺の彼女なのか確認しよう!」

「それができないから困ってるんじゃない。馬鹿ね。」 俺は蘭子が嫌いになりそうだった。これでツンデレでなくてツンのみだったら、たとえ本当に彼女だとしても愛に乗り換えたいところである。

それはさておき俺は思い浮かんだ意見を発表した。

「俺の趣味はなんだかわかる!? 俺の彼女なら俺の趣味わかるでしょ!?」

我ながらコレはいい質問だ。俺の趣味はスポーツ観戦なのだが、彼女なら絶対一緒に行くはずだ。

いや、行かずとも俺が「スポーツが好きだ」ということくらい知っているだろう。

俺はたいていスポーツを見ながら「あの攻め方はよくない。」とか「今の選手交代は意味がわからん!」とかよくしゃべるのである。

「自分でやってないのによく言うよ」といわれることもよくある。俺と付き合ってるのであれば、この俺のスポーツ薀蓄を一度は聞いてうんざりした記憶があるだろう。


「もちろんわかるよ~なぜなら私は圭ちゃんの彼女ですから! ね? 蘭子さん!」自身満々に愛が言う。

「え? えぇ、まぁ。」蘭子も答える。

「じゃあ『せーの』で言うようにしよう。順番にすると不正が出るから。」俺は仕切るように言った。コレで正解がでれば、そっちが俺の彼女ということだ。なんだかめんどくさいことになったけど、これで解決だ。


自分で言うのもなんだがいいアイデアだったと思う。そもそも俺は意外と頭の回転が速いほうなのだ。勉強のほうはあんまり得意でなかったけど、発想性などでは会社でもなかなかの評価をもらっていた。

「状況を確認して、よりよい道を見つける。」コレが俺のジャスティス。

ともかくこれでどっちが俺の彼女がわかるはずだ。


「いくぞ、せーの!」

さて俺の彼女はどっちだ……?


「音楽!」「映画!」


……あっれー?


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