第一章
「皆さん、おはようございます!」
元気な挨拶が田舎に響く。レオンは優しい青年であり、シルバーパインという町で一番の人気者だった。背は高く、力も強く、時には村を守ったり、時にはみんなの手伝いをしたり、レオンは素晴らしい人格を持っていた。
「レオン、畑の手伝いをしてくれんか?」
「ロックさん、一緒に食べに行きましょうよ。」
「レオン!遊ぼー!」
みんなから頼られる存在として、レオンはとても幸せに暮らしていた。
ある日、レオンと歳が違い青年が引っ越してきた。名前はノアだと聞いた。噂によると、都会で問題を起こしてしまったため、こっちに逃げて来たらしい。そんな噂が流れていたため、町の人達はノアを避けていた。一人を除いて。
「こんにちは!ノアさん!君はここに引っ越して来た ばかりだろう。僕がこの町を案内してあげよう!」
ノアが返す。
「そうだね、案内してくれるかい?」
ノアはレオンについて行った。レストラン、役場、教会、町のありとあらゆる場所を教えてあげた。もう日が暮れるころになった。
「どうだった?これから暮らす町は?」
「ダメ」
「!?」
「お前と言う存在が」
ノアはレオンに殴りかかる。レオンは咄嗟に拳を躱そうとするが、不意を突かれた。腹に埋まる。
「ガンッ!」
レオンの腹から固い金属の音がする。ノアの拳が光沢を見せる。
「なんだよ!その拳!」
ノアは都会の裕福な家で生まれた。両親は二人ともいい大学を卒業し、良い会社に入っていた。ノアは勝ち組であった。しかし、ノアは性格に問題があった。まだ話せない歳であったが、既に同い年を軽蔑していた。その性格はいつでも傍を離れなかった。ノアが田舎に引っ越した原因も、この性格のせいでチンピラに絡まれたためであった。
「おい!何をしているんだ!」
さっきの音を聞いて畑仕事をしていた老人が近づく。
「レオン!大丈夫か!?」
その光景を見て老人は絶句する。
「腹が…腹が…!」
老人はショックで気絶した。レオンの腹はノアの拳によって穴が空いている状態だった。このままだと、レオンは後数分で死んでしまう。
「何か、気に障ったのかな…?」
こんな時も、優しさが前に出る。ノアが悲しそうに話す。
「しなければいけない…しなければいけないんだ…
また会えるよ…真実は教会で話そう。再会のときに はお茶でも飲…」
レオンの意識は遠く遠くなっていく…
「パチッ」
目を覚ます。朝がやってくる。意識は一人の人間に降りる。
「どういうことだ…」
誰かの呼ぶ声がする。
「ご飯よー、早く来なさーい。」
「はーい」
無意識に返事が出た。もうレオンではなかった。違う人間だった。レオンとこの人間の記憶が混ざる。名前はグレイ。どうやらノアがいたという都会に住んでいるらしい。
「?」
グレイの手には地図が握られている。都会から田舎までの行き方が書いてある地図だ。どうやら運命とは最初から決定してあるものだったらしい。
グレイは朝食を食べて早速シルバーパインに向かう準備をしているところだった。
「この元の体は頭が良かったんだな。」
机の上にはたくさんの勉強道具が並ぶ。レオンは学校には通っていたものの、手伝いをしていたため決して賢いという訳ではなかった。
「行って来ます。」
グレイは今、真実を知るために出発した。ノアは何者なのか、真実とは何なのか、確かめたい問題は山積みである。謎を解き明かすために、レオンは動き出す。




