私は、硝子の檻の中から、いきちを啜って生きることにしたのです
拝啓、勇者様。
かつて貴女に「役立たずのFランク」と罵られ、パーティを追放された私のことを覚えておいででしょうか。
あの時、泥水を啜った私は、ある奇妙なスキル【人材派遣】に目覚めました。
それは、対象と強制的に雇用契約を結び、その成果(経験値・報酬)の7割を、何もしない私に自動送金させるという、実に現代的で、冷徹な能力でした。
今の私は、剣を握ることも、魔法を唱えることもしません。
ただ、安全で快適な「社長室(ダンジョン最深部)」の椅子に座り、モニター越しに部下たちの働きぶりを眺めているだけです。
ご覧ください。
かつて世界を恐怖させた「滅びの魔竜」は、時給300円でトンネル工事に従事しています。
私の顔に唾を吐いた「盗賊」は、2畳半の個室で終わらない事務処理に追われています。
そして、貴女が頼りにしていた「聖女」は、過労で倒れる社員を即座に全回復させ、24時間労働を可能にする「永久機関の歯車」となりました。
ああ、なんて素晴らしい。
他人のふんどしで取る相撲は、これほどまでに甘美な味がするのですね。
――さて。
そろそろ貴女にも「招待状(オファー)」をお送りしましょうか。
世界最強の勇者である貴女には、きっと素敵な「広告塔」としての適性があるはずですから。
これは、硝子の檻の中から世界を支配する、とある「経営者」の独白です。
かつて貴女に「役立たずのFランク」と罵られ、パーティを追放された私のことを覚えておいででしょうか。
あの時、泥水を啜った私は、ある奇妙なスキル【人材派遣】に目覚めました。
それは、対象と強制的に雇用契約を結び、その成果(経験値・報酬)の7割を、何もしない私に自動送金させるという、実に現代的で、冷徹な能力でした。
今の私は、剣を握ることも、魔法を唱えることもしません。
ただ、安全で快適な「社長室(ダンジョン最深部)」の椅子に座り、モニター越しに部下たちの働きぶりを眺めているだけです。
ご覧ください。
かつて世界を恐怖させた「滅びの魔竜」は、時給300円でトンネル工事に従事しています。
私の顔に唾を吐いた「盗賊」は、2畳半の個室で終わらない事務処理に追われています。
そして、貴女が頼りにしていた「聖女」は、過労で倒れる社員を即座に全回復させ、24時間労働を可能にする「永久機関の歯車」となりました。
ああ、なんて素晴らしい。
他人のふんどしで取る相撲は、これほどまでに甘美な味がするのですね。
――さて。
そろそろ貴女にも「招待状(オファー)」をお送りしましょうか。
世界最強の勇者である貴女には、きっと素敵な「広告塔」としての適性があるはずですから。
これは、硝子の檻の中から世界を支配する、とある「経営者」の独白です。
第1話 硝子の檻、あるいは人材派遣という名の椅子について
2026/01/24 23:23
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2026/01/25 12:00
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2026/01/26 12:00
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2026/01/27 12:00