プロローグ
あけましておめでとうございます~!
この新作は『元伝説の聖女のたった1年の学生生活』の主人公の前世の時代の話です。
ぜひ見てください!
☆★☆★
稀代の悪女、フィロソン・リノン。
彼女は当時のファロソン公爵家令嬢かつ王太子の婚約者。皆が羨む美貌、その地位で誰しも欲しいままにする彼女は自身で栄光を手放してしまう。
▲△▲
フレジリオークス王国は世界を震わす稀代の悪女と稀代の聖女が存在した。
どちらも共に美しく、誰でも一目見れば心を掴まれる。彼女らの事を、後の人はこう呼んだ。
『傾国の悪女リノン』と『救国の聖女キャエル』
二人の美女が生きたこの時代は、歴史の授業でも最も量が多い時代となっただろう。
リノンは世界を狂わせ、キャエルは世界に光をさした。
全く違うタイプの二人の美女は、リノンの方が3つ年上ではあったものの、仲は意外にも良かったという説がある。皆あり得ないと否定するが。
――彼女は悪行しか示されていないにも関わらず、聖女はいるにも関わらず、一部にはむしろ『聖女』と呼ばれる。――
△▲△
リノンは『魔性の女』という悪しき意味合いもある二つ名を持ちながら、社交界の花だった彼女は悪行を繰り返し、捕まれるギリギリで行方不明になった言われる。
リノンが悪女と呼ばれだすのは16歳。魔性の女と呼ばれながら、デビュタントから3年間は孤高の花だった彼女は、悪女として華を新たに咲かせた。
彼女が最初に悪女と呼ばれたのは社交界での噂が始まりだった。
彼女は公爵家で浪費を繰り返し、使用人を奴隷のように扱うと言う噂が流れ出した。
彼女はそれについて肯定も否定もせずにいた上、彼女の異母妹がその話を聞いた瞬間青ざめ、逃げ出した。その時、一気に噂は広がり、噂は噂じゃなくなった。この件で彼女の印象を180°変えた。
彼女はその後も聖女の暗殺を企てたとか、王太子を懐柔し、思いどうりにしたとか、魔物を操り人を襲わせたとか、実際の事は分からないが、数多くの悪行が社交界の間で撒き散らされていた。
彼女はなにも否定をせずいたものの、彼女の地位と証拠が無かった故に彼女の地位が揺るぐことは無かった。
しかし彼女は確かな大罪を犯した。
歴史で最大の罪、彼女の大罪は王都に魔物を溢れ返し、人々を危険にさらした事だ。
魔法を人々に浸透させた聖女、彼女の残した魔法と言う世界の財産を悪女は軽々しく汚した。
そんな大罪を犯したのは聖女が亡くなって数日の事。
皆は思った。
「聖女様がいなくなり悪女は大罪に手を染めた」
と。彼女は教会の上で高笑いしている所を見た人がいた。彼女はそれから姿を見せず、彼女を捕らえようと、国中の兵士が彼女を捜索したが、彼女は見つからず、未だに死体は見つかっていない。
この事件は悪女操作魔物事件として、歴史書に残っている。しかし、事件は聖女が作った結界により阻まれ、けが人なしで終結した。
彼女は間違いなく、世界最大の悪女だった。
のにも関わらず、当時の世界最大の聖女という勇者が全てを喰らい、彼女は聖女の引き立て役となった。
▼▽▼
それが、稀代の悪女、フィロソン・リノン。悪女と呼ばれた公爵令嬢だ。
★☆★☆
「リノン姉様…私、正式に聖女になったんです…」
喜ばしいことなのに彼女は悲しそうに言う。彼女は何故そんな顔をするのだろう。国教であるアプロヴェロ教に反発しているのか、聖女になる事で失うことがあるのか……
その答えはきっと後者だろう。
「キャエル、顔を見せて?」
「……リノン姉さま…」
彼女はリノンに言われたまま顔を上げる。
「貴方は私の星よ。私の希望。私の勝手に付き合わせちゃっているだけ、辞めたいなら辞めればいい。」
彼女らの約束。本来ならどちらも極刑になってもおかしくないような計画の約束。
キャエルは奥歯を噛み締め、必死の笑顔を見せる。
「私も望んだことなんです。でも、聖女になったら約束が果たせるか分からない…だから……!」
「キャエル、もし、もし約束を果たすと言うのなら、貴方は貴方の立場として果たしてほしいの」
聖女は人を導き照らす存在。彼女らがしようとしている事が、一番できて、できない立場。二人の約束を果たすには一番難しい。
しかしリノンは確信があった。絶対に、彼女なら可能だと。
聖女キャエルの天性の才能は、きっとまだ隠されている。きっと皆は気づいていない。
「私は、貴方が照らせない、暗い所を操って見せるわ。」
リノンがそういった時、彼女は誰より美しく自信に溢れていたが、何処かキャエルを不安にさせた。
「ッきょっ今日、私デビュタントがあるんです。私、絶対に果たします。まだ何もできていないけれど。」
キャエルはリノンの手をギュッと握った。
「私、前リノン姉様に渡した手鏡、持ってます?」
リノンは困惑した。彼女は「ええ。」と答え取り出すと、彼女もお揃いの手鏡を取り出した。
「……これ、魔道具だって知ってますよね?私の初めて作った魔道具。」
魔法を世界に浸透させた「白き魔女」のキャエルが初めて作ったという魔道具、どんな魔道具だって誰でも欲する物を所有するのは「悪女」
「そうね。真実の鏡、だったかしら?」
彼女は「つまらない魔道具」というが、人に嘘がつけないという魔道具。私は国宝にするべきだと本心で思っている。
「私の鏡と対になっているこの鏡、一緒に使うとどうなると思います?」
淡々という彼女の目は何か決意したようだった。
「さっぱり分からないわ。」
「ではこれを使い貴方に見せます。私たちの約束の結末を。」
彼女のマナがリノンを包む。彼女はきっと未来、約束の結果を見ている。
やはりこに鏡は国宝など軽く凌駕する。
彼女は安らかな顔に見えた。キャエルは安心した。彼女は
「もし、危ない目に遭うのなら、絶対にしないでね。」
そう力強く言い残し、キャエルは足早にその場を去った。
―これが、稀代の悪女リノンの原点だった―




