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一章 2話 温泉へgo

弘安10年(1287) 10月 一色太郎

父上はまだ帰ってこず、サーキットメニューにも慣れ始めていたある日、赤嶺が一人の少年を連れてきた。


「うちの息子です、赤嶺三郎と申します、どうかよろしくお願いいたします」


「三郎?お前三男なのか」


「いや、俺は長男だけどうちは長男には三郎ってつけるんっすよ」


「こら、言葉遣いがなってないぞ」


「まぁまぁ、怒るな」


確かに、言葉遣いはひどいがこの年頃にしてはよくできているし、一生懸命忠誠心を示そうとしてくれていた。


「そうだこれ上げる、商人のおっちゃんからもらった」


そういって、かれは懐から取り出したのは、素焼きの状態の器だった。

「大人はこれに酒入れて飲んだら捨てるらしいぜ、あっ、らしいです」


「もったいなくね、てか面倒くさいから普通に話していいぞ」


「そういうもんなんだったって」


「その商人に会ってみたいね」


「おっ、気に入ったのか陶器」


「まぁ、そんなところだね」


「紹介してやるよ、今から行こうぜ」


「おいっ、今日の訓練はまだ終わってないぞ、特別に今日はいつもより厳しめに行きましょうかね」


「「あっ」」


翌日 西尾市場


「公波の野郎、昨日のせいで筋肉痛でまともに動けねぇぞ」


「親父は少し遊ぼうとしたくらいで厳しすぎだよな」


さて昨日の商人とやらに会いに行くために、やってきたものの市場がまぁ汚い。ここで、魚やら米やらを買うなんて最悪だな。においもひどい。


「こっちだこっち」


町を少し外れたところに、薄汚れた屋台を開く、爽やかな笑顔で客寄せしている青年がいた。


「へい、旦那久しぶり」


「おぉ、三郎か、ところでその少年は?」


「最近仲良くなった友達で太郎っていうんだ」


「ほぉ、あっしは食品店を開く沢野吉右衛門と申します、以後よろしゅうお願いいたします」


「それで太郎はなんか買うんか?」


「いや特に決めてないが、旦那少し商品を見せてください」


「うちは、米や魚や野菜といった食品や刀や鎧といった、戦道具までそろえておりますよ」


確かに品ぞろえはしっかりしていて、ほかの屋台よりも新鮮なものが多かった。

ただ少し気になるものがある。


「旦那、これらはいったい何なのだ」


「あぁ、それはな3年ほど前に九州っていう西の果てのほうで、蒙古や朝鮮やら宋の奴らが攻めてきたが、お武家様たちが追い払ったらしいのだ。そのときの戦利品だよ」


まさか元寇の影響がこんな田舎まで来るとは、あれこの銃のようなものはなんだ?

「この筒はなんだ?」


「これは、宋のあたりで使われる突火槍とよばれるもんで、竹製なんですけど、ここに爆発するものを入れて、敵を火あぶりにするもんだとか」


「おもしろいな、これいくらだ」


「爆発するものがなきゃ使えないですし、50文でいかがですか」

「おれ、あまり手持ちがないんだ30じゃダメか?」

「45」

「35」

「40これ以下は無理です」

「取引成立だ」

「はいはい、今後ともよろしくお願いいたしますよ」


これがあれば、大人になって戦場で俺Tueeができるかもしれない。

だけど、硫黄とか硝酸ってどうやって手に入れるんだっけ。


翌日


「公波、この辺りに温泉ってないか?」


「ちょうどこの屋敷の南のほうに温泉ができたっていう噂がありますね」


まじか、愛知で硫黄とれるかわからなかったけど大丈夫そうだな。


「行ってみないか?三郎もつれて」


「行きましょう!いやぜひとも行きたいと思っていたんですよ、私こう見えて若いころいろんな温泉に入りに旅をしていまして気になっていたんですよ、私がいまままで一番よかった温泉は...etc」


なんかスイッチ入ったよこいつ、こんなキャラじゃなかったろ君


「何ぼ~っと、突っ立ってるんですか、お湯が冷めてしまいますよ、ほら早く早く」


「えっ、今夕方だけどもしかして今から行く気?おいっ、俺がおかしいみたいな顔するな、わかったわっかた行くから」


日は沈み月を眺めながら歩いていると

「うわ~すっげ」

「煙がすごいな」

「そうそう、これこそ温泉って感じだなぁ」

「入ろ!入ろ!」


肩までしっかりと浸かると、日中の厳しい訓練の疲れが流れ出ていくような気分になり、公波はさらに酒まで持参して晩酌をしていた。


俺はもともとここを硫黄の採掘場所にしようと考えていたが、もったいなく感じ、兵士の休養場所にすればいいなどと頭の中で正当化していき、そこからしばらく温泉を楽しんだ。


《《   ずんぶり温泉のなかの顔と顔笑ふ.  》》

            種田山頭火 (道後温泉)

こんにちは、梟町です。さて今回は”温泉行きたいなぁ”という筆者の願望から生み出した回ですが、次回から金策をする予定ですが、もちろん石鹸や椎茸栽培、砂糖製造といった、技術革命による金策はしません。さて主人公はどのような金策をして一色家を盛り上げるつもりなのでしょう。

最後の句は謎によく教科書に出る種田山頭火の句ですが、毎回思うのはこの人自由律っていえば何でも許されると思っているだろっていうくらい、五七五の形を無視していますよね

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