第9話:真実の告白
試験官は、未だ信じられないという表情でステラの前に立った。
「君は、一体どうやって……。攻撃魔法を使った痕跡は一切ない。にもかかわらず、ゴーレムを完全に鎮静化させた。これは、学院始まって以来の快挙だ」
試験官の言葉に、周囲の生徒たちの間でざわめきが起こった。憐れみと嘲笑の視線は消え、そこに残っていたのは、驚きと尊敬の念だった。
試験後、ステラは校長室に呼び出された。校長は、荘厳な雰囲気を持つ老齢の魔女だった。
「ステラ・マリーゴールド。君の筆記試験での成績、そして今日の試験での活躍。君は、この学院の歴史に新たなページを刻んだ」
校長は穏やかな口調で、ステラの奮闘を称賛した。ステラは、今が話すべき時だと悟った。
「校長先生。今日の私の力は、私一人で成し遂げたものではありません。私には、攻撃魔法も防御魔法もありませんでした。だから、私は、他の生徒たちから『役に立たない』とされていた魔法をコピーし、それを組み合わせて試験を乗り越えました」
ステラは、アルスの『魔法の連鎖理論』について、そして彼が自分を信じてくれたことについて、すべてを正直に話した。
校長は、ステラの言葉を静かに聞いていた。そして、深く頷いた。
「君は、魔法を奪う者ではない。魔法の可能性を広げ、新たな価値を見出した者だ。ステラ、君は今日から、『魔法を活かす者』として、この学院に君臨することになるだろう」
校長の言葉に、ステラは胸の奥からこみ上げてくる熱いものを感じた。それは、ずっと彼女の心の中にくすぶっていた、孤独と絶望が、ようやく消え去っていくような感覚だった。