第7話:実技試験開始
実技試験当日。ステラは、アルスからもらった詳細な作戦メモを胸に、試験場に足を踏み入れた。
試験場は、円形闘技場のような構造になっており、中央には巨大なゴーレムが鎮座していた。その全身から放たれる魔力の奔流が、空間そのものを震わせている。ゴーレムは、まるで古代の兵器のように、威圧的な存在感を放っていた。
他の生徒たちは、それぞれが得意とする魔法を唱え、ゴーレムに攻撃を仕掛けていた。火炎弾、雷撃、氷の槍……。しかし、ゴーレムはそれらの攻撃をものともせず、堅牢な体で受け止め、時折反撃の拳を振り下ろす。その度に、闘技場全体が轟音と共に揺れた。
ステラは、闘技場の端で、息を潜めていた。彼女の番はもうすぐだ。他の生徒たちが苦戦する様子を見て、ステラの心臓は激しく鼓動した。本当に、アルスの作戦でうまくいくのだろうか。
「ステラ・マリーゴールド、準備はいいか?」
試験官の声が響き渡り、ステラは覚悟を決めて、一歩前に踏み出した。周囲の生徒たちの視線が、一斉に彼女に注がれる。その視線には、期待ではなく、憐れみと嘲笑が混じっていた。
「どうせ、あの魔法コピーの無能な魔女だ。何もできずに終わるだろう」
そんな声が聞こえた気がした。だが、ステラは、もう気にしなかった。彼女の頭の中には、アルスの作戦と、彼がくれた言葉が、まるで魔法のように響いていた。