表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

第3話:奇妙な協力者

絶望の淵に立たされたステラは、実技試験の前日、学院の図書館の片隅で、不思議な少年と出会った。彼の名はアルス。魔法を使えないが、魔法の理論に異様に詳しい、変わり者の生徒だった。


山積みにされた古書に顔を埋めていたアルスは、ステラの姿を認めると、躊躇なく話しかけてきた。


「君、魔法コピーのステラさんだろ?噂はかねがね。君の能力、すごく興味深いんだ」


ステラは警戒した。自分を恐れない人間など、この学園にはいなかったからだ。彼女は、集めた無価値な魔法をアルスに見せた。


「こんなもの、実技試験の役に立つはずないわ」


アルスは、一つひとつの魔法をじっくりと観察し、目を輝かせた。彼の反応は、他の誰とも違っていた。


「いや、これはすごい!『ホコリを払う魔法』は風の魔法の亜種、『コップの水を温める魔法』は熱の魔法の亜種だ。これらを組み合わせれば、もっと大きな力が生まれるかもしれない」


彼は、ステラの持つ魔法を、まるでパズルのピースのように組み合わせ始めた。彼の語る理論は、常識的な魔法使いの思考とは全く異なっていた。魔法そのものの強さではなく、魔法の連鎖と応用を語るアルスの言葉に、ステラの心は揺さぶられた。


「考えてみて。単体では無力な魔法も、他の魔法と組み合わせることで、一つの目的を達成できるかもしれない。これが、僕の提唱する『魔法の連鎖理論』だ」


アルスは、実技試験の課題である「魔力の暴走した古代ゴーレムの鎮静化」を想定し、一つの作戦を提示した。


「ゴーレムは視覚と聴覚に頼っている。君の魔法で、それを撹乱するんだ。そして、最後に熱の魔法で弱点を突く。どうだ、やってみないか?」


アルスの瞳に、ステラは初めて、自分の能力に対する希望を見た。彼はステラを「呪われた者」としてではなく、「可能性を秘めた者」として見ていた。この出会いが、ステラの物語を大きく変えることになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ