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9話、「Bloody Riot」

「Bloody Riot」

歌 ルージュ・スカー 作詞作曲 ブラッディ・リズム


ギターの爆音が轟き、照明が真紅に染まる。彼女たちが奏でるのは、まるで暴動のような音楽。リズムは荒々しく、ベースは野太くうねり、ドラムは爆発音のような衝撃を生み出す。


ルージュ・スカーの指がギターの弦を弾くたびに、火花が飛び散る。彼女の赤黒いグラデーションの髪が炎のように揺れ、その瞳はまるで獲物を狙う猛獣のように鋭く光っていた。


「さぁ、騒げ!!」


観客に向かって叫ぶと同時に、ベルがシンバルを叩き、ステージ後方で小さな爆発が起こる。


『Bloody Riot』、開幕


「お前のルールなんて 知ったこっちゃねぇ!」


ルージュが吐き捨てるように歌うと、舞台の炎が一気に燃え上がる。ベースの低音が空気を震わせ、ドラムが地響きのように観客の心臓に叩き込まれる。


シオン・アッシュがベースを弾きながら、観客を見下すような視線を送る。彼女の指が弦を這うたび、観客の影がうごめく。



ベルのスティックが宙を舞い、ドラムのリズムと連動するかのように、ステージのあちこちで火花が散り、観客は歓声を上げた。


「アタシのリズムは止められないぜ! ぶっ飛ばされる準備はいいかい?」


ベルが叫ぶと、観客の熱気がさらに高まる。


ルージュがステージ中央に立ち、マイクを握りしめる。その目はNO FUTUREを真っ直ぐに捉えていた。


「燃え尽きる覚悟はできたか?」


その言葉が合図だった。


ギターが吠え、ベースが地を這い、ドラムが爆ぜる。


観客の足元の影が揺れ始め、ブラッディ・リズムの圧倒的な音が会場を支配する。


ステージの火花が弾け、ルージュがマイクを振り回しながら、笑う。


「オイ、もっと叫べ!!!」


観客が拳を突き上げる。


まるで本物の暴動が起きているような熱狂。


NO FUTUREのメンバーも、その圧倒的な迫力に圧倒されていた。


観客の中には、リヴェルデ村の村人や兵士たちもいた。


彼らはさっきまでのNO FUTUREのライブに熱狂し、その余韻に浸っていた。


だが、ブラッディ・リズムの音が鳴り響いた瞬間、その雰囲気が一変した。


「……すげぇ、これが盗賊バンドの音か……!」


兵士の一人が呟いた。


村人たちも、畏怖するようにブラッディ・リズムのステージを見つめる。


「でも、なんか……カッコいい……!」


歓声が徐々に広がり、場内の熱気はさらに高まる。


ブラッディ・リズムの世界が、完全に会場を支配し始めていた。


ルージュはステージ中央で吠える。


「さぁ、次は……地獄まで堕ちる準備はできてるか?」


その言葉に、観客は再び熱狂する。


NO FUTUREのメンバーは、そんな光景をじっと見つめていた。


ユナは口を引き結びながら、ルージュの姿を目で追う。


「……これが、彼女たちのステージ…」


エリカは腕を組みながら、その音をじっくりと聴いている。


「単なる荒々しい演奏じゃない。……ちゃんと計算されてる」


レンは低く呟いた。


「単なる盗賊バンドってわけじゃなさそうだな……」


ミサキがドラムを叩くベルの姿を見つめる。


「……くそ、めちゃくちゃカッコいいじゃん……!」


彼女の拳が、無意識にギュッと握られた。


心の奥が、ザワつく。


暗転していたステージに、突如として稲妻のような閃光が走った。

瞬間、ベル・バレットのスティックが振り下ろされる。


ドンッ!!!


一発のバスドラムが、爆発的な衝撃と共に空気を揺らした。

まるで戦場の号砲のような音だった。


「オイオイ、まだ立ってられるのか?」


ステージ中央、ルージュ・スカーがマイクスタンドを蹴り飛ばしながら、不敵な笑みを浮かべる。

観客を挑発するその声には、妙な圧力があった。


「アタシたちのリズムに呑まれちまえよ!」


宣言と同時に、シオン・アッシュのベースが低く唸りを上げる。

観客の足元から影が這い寄り、重低音に合わせて波打つように揺れ動いた。

その音に観客は思わず体を揺らす。まるで影に操られるかのように。


「ちょ、なんか勝手に体が……!!」

「ヤバい、これ……!」


村人や兵士たちは驚きながらも、抗うことなくリズムに飲み込まれていく。


ドラムが唸る。

ベースが地響きを立てる。

ギターが咆哮する。


ルージュが叫ぶ。


「いくぜお前ら!!」


ルージュの声が鋭く突き刺さるように響く。

その声には魔力が込められ、聴く者の心を激しく揺さぶった。


観客が、身体が、勝手に熱を持つ。

血が沸き立つ。


「くっ……あの声……何かが奪われていく……!」


NO FUTUREのメンバーは、彼女の魔法「ヴァンパイア・ソング」が発動していることを感じ取った。

彼女の歌声は、聴く者の体力を奪い、そのエネルギーをライブパワーへと変える。


「こっちは本能むき出しで かっ飛ばすぜ!」


ルージュの叫びと同時に、ベルのドラムが雷のように鳴り響いた。


「くたばるまで騒ぎな!」


「汗と血のライブショー!!」


ルージュがマイクを振り回しながらステージを闊歩する。

その動きは獣のように荒々しく、観客の視線を強制的に引きつけた。


「……派手だね」


エリカが呟いた。

彼女の目には、ただのライブとは違う“バトル”としての迫力が映っていた。


「ダセぇ理屈はいらねぇ…」


シオンがステージの端に立ち、片目を隠した髪を掻き上げる。


「感じたままに暴れろ」


ベースの低音が観客の体を震わせる。

影が揺れ、地面から手のようなものが伸び、観客の足元を掴み始めた。


「なっ……!? 足が勝手に……!」


魔法「シャドウ・グルーヴ」の効果だ。

観客の動きを封じ、強制的にノらせる。

頭を振りたくない者ですら、ビートに合わせてヘドバンをせざるを得ない。


「おいおい、まじかよ……」


ミサキが信じられないものを見たという表情で呟く。


シオンはベースのネックを高く掲げ、余裕の表情でNO FUTUREを見た。


「そっちのライブもまぁまぁだったが……アタシたちは、もっと“盗む”のが得意なんだよ」


ユナはギターを構えながら、彼女の言葉を噛み締めた。


「“盗む”……?」


シオンは薄く笑う。


「影に囚われたら、お前ももう逃げられねぇ」


「Bloody Riot! 叫べ! 響け!」


ベルのドラムが爆発的に響く!

彼女の魔法「エクスプロード・ビート」が発動し、シンバルを叩くたびにステージの四方で小規模な爆発が起こる。


「燃え上がる夜の戦場で」


炎が天高く舞い上がる!


観客は完全に熱狂していた。

歓声が渦巻く。


ルージュはその中心で叫ぶ。


「Bloody Riot!! 笑え! 乱れろ!!」


観客は理性を失ったように暴れ始める。

これが、ブラッディ・リズムの“戦場”だ。


(ギターソロの前の間奏! シオンのベースが唸り、ベルのドラムが戦場を轟かせる!!)


観客は息もつかせぬまま、ブラッディ・リズムの音に飲まれ続けていた。


ユナはギターを握る手に力を込める。


「……面白いじゃん」


そう呟く彼女の瞳には、燃えるような闘志が宿っていた。



ステージ全体が火を噴くような熱気に包まれる。

観客は完全にブラッディ・リズムの音楽に飲まれ、暴れ、叫び、拳を突き上げている。


その中で、ルージュ・スカーはにやりと笑った。


「おいおい、もうバテちまったのかぁ?」


観客を煽るように、彼女はステージを歩き回る。

足元には、シオンのベースが生み出した黒い影がうごめいていた。


ルージュはそれを意識しながら、マイクを掴むと再び歌い出す。



「赤く染まった月が 照らす舞台の上」


彼女がステージ上のネオンに照らされると、その影が一層深くなる。

彼女の背後に浮かぶ満月のようなライトが、まるで彼女がこの舞台の支配者であることを証明しているかのようだった。


「ぐっ……! 体が勝手に……!」


観客の何人かがその場に立ち尽くし、次第にルージュの声に引き込まれていく。


「やべぇ……あの声、マジでカッコよすぎる……!」


ある兵士が呟いた。

彼は一瞬、全身の力が抜けそうになる感覚を覚えた。

ルージュの魔法「ヴァンパイア・ソング」の効果だ。


「ルージュ、やりすぎるなよ!」


シオンが低く笑いながらベースを鳴らした。

重低音が観客の体を揺らし、ステージ全体がうねるような錯覚を生む。


「最後まで立ってんのは 誰だって?」


ルージュがマイクを高く掲げ、観客を見下ろす。

その視線は、確かな自信に満ちていた。


「答えは一つだけさ アタシたち以外ねぇ!」


歌い終わると同時に、ベルのドラムが轟く!

ステージ全体が震え、観客の頭上で火花が散る。



シオンがベースを低く構え、不敵に笑う。


「影が這いずりまわる」


彼女の指が弦を弾くと、観客の足元から黒い影が蠢く。

まるで意思を持った生き物のように、地面を這いずりながら絡みついていく。


「やっべ……これ、動けなくなる……?」


観客の誰かがそう呟く。

だが、それは恐怖ではなく、むしろ興奮に近い感情だった。

影に捕らわれることすら、このライブの一部——それを理解し始めている。


「お前の動きは止まる」


シオンが薄く笑う。

次の瞬間——ベースの音が響いた。


影が観客の足元を固定する。

一瞬、場内が静まり返る。


そして——


「ビートが骨まで刻む」


ベルのドラムが炸裂した!


「逃げ場は もうねぇぜ?」


ドラムが爆音を響かせ、影の拘束が解ける。

その瞬間、観客は一斉に跳ね上がった!!


「うおおおおおおお!!!」


叫びと歓声が渦巻く!

全員が興奮の波に飲まれていた。



「いいねぇ、全員、ノれてるじゃねぇか!」


ルージュはギターを肩に担ぎ、足を大きく踏み鳴らす。

その衝撃で、ステージの照明が一斉に赤く染まった。


「そろそろブチ上げるぞォォ!!」


彼女がギターを掻き鳴らす。

その音に呼応するように、炎のようなエフェクトが広がる。


「ギターソロ、行くぜッ!!!」


キィィィィィィィン!!!!!


鋭い音が響き渡る。

それはまるで、獲物を切り裂く刃のように鋭く、観客の魂を切り裂くかのような音色だった。


ユナが、ステージの端からその光景を見ていた。


「……すごい」


エリカもまた、真剣な眼差しを向けている。


「こいつら、本気で音楽を“戦い”としてやってる」


ミサキが唇を噛み締めた。


「だが、だからこそ……やりがいがあるな」


レンがベースを軽く鳴らす。


「……そうだな」


ユナはギターのストラップを握りしめる。


「やるなら、全力で行こう」




「オイオイ、いい感じにノってきたじゃねぇか!」


ルージュが叫ぶ。

その声に、観客がまた歓声を上げる。


ベルがドラムを高く掲げ、スティックを振り回した。


「そろそろ終盤だぜ! まだまだついてこれるよなァ!?」


「うおおおおおおおお!!!!!」


観客の熱気は最高潮に達していた。


「そろそろ“トドメ”を刺す時間じゃねぇか?」


ルージュ・スカーがニヤリと笑う。

彼女の赤黒いグラデーションのロングヘアが揺れ、汗がキラリとステージライトに反射した。


マイクを握る手に、さらに力が入る。

この瞬間を待っていた。

ここからが 「Bloody Riot」 の本番だ。





「爆ぜろ! 血潮のビート! 揺れろ! 堕ちていけ!」


ベル・バレットの叫びと同時に、彼女のスティックがドラムを叩きつけた!


ドォォォォォン!!!!


その瞬間、巨大な爆発音が響き渡る。

まるでライブハウスが崩壊するかのような轟音。


「まだまだいくぜぇぇぇぇぇぇ!!!」


ベルが頭を振り乱しながらドラムを乱れ撃つ。

スティックを高く放り投げ、それをキャッチすると、そのまま地獄のような速さでスネアを叩き続けた。


そのビートが観客の心臓を直接揺さぶる。

否応なく巻き込まれる興奮。

逃げ場なんて、最初から存在しない。


シオン・アッシュは低く笑いながら、ベースの低音を刻んでいた。


「フッ……いいねぇ、そのビート、盗ませてもらうよ」


彼女がそう呟いた瞬間、影がステージから広がり、観客の足元に絡みつく。


これは 「シャドウ・グルーヴ」 の効果だ。

影が完全に固定された者は、強制的に 「ヘドバン状態」 にされる。


「逃げられると思うなよ?」


彼女の瞳が妖しく輝き、低音がさらに増幅される。


観客は、もう抗えない。



「さぁ、いくぜ……うちの相棒を紹介してやるよ!」


ルージュ・スカーが叫び、マイクを握る手を天に掲げた。


「来い!! ブラック・ベヒーモス!!!」


その瞬間——


バキィィィィィィン!!!


天が裂けるような音が響いた。


漆黒の空間が割れ、そこから 巨大な影 が現れる。


「……な、なんだあれ……!」


観客の誰かが息を呑む。


その姿は、黒く燃えるような 獣の王。

太い四肢、鋼鉄のような毛皮、瞳は深紅に輝き、背中から黒炎を噴き出していた。


「ブラック・ベヒーモス」——それは 漆黒の地獄の暴走獣。


「さぁ、お前の力を見せてやれぇぇぇ!!!」


ルージュがギターを掻き鳴らすと同時に、ブラック・ベヒーモスが 咆哮 した。


「グォォォォォォォ!!!!」


その叫びが合図だった。


天空に、黒い光が集まっていく。


次の瞬間——


「隕石のメテオ・レイン」発動!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


無数の 漆黒の隕石 が、空から降り注ぐ!!


「う、うわああああああ!!?」


観客が驚きの声を上げる。

しかし、隕石はステージの周囲にのみ着弾し、会場をまるで戦場のように演出した。


炎が燃え上がり、黒煙が立ち上がる。

その中心に立つ ブラッディ・リズム の3人は、まるで世界の終末を歌う預言者のように見えた。


「ははははは!! どうだよ、これがアタシたちのライブだ!!!」


ルージュがマイクを掲げる。

彼女の周囲には、まだ隕石の光が残っていた。


「最後の盛り上がり、いくぜぇぇぇぇぇ!!!」



「Bloody Riot! 叫べ! 響け!」


観客の熱狂が、さらに加速する!!


「燃え上がる夜の戦場で」


ベルがドラムを叩くたびに、ステージの四方で 爆発 が起こる!!


「Bloody Riot! 笑え! 乱れろ!」


シオンが 「シャドウ・グルーヴ」 でさらに観客を支配する!!


「このまま地獄まで堕ちちまえ!」


ルージュが叫びながら、マイクを握りしめる。

その声に、観客が完全に飲まれた。


全員が拳を突き上げ、喉が枯れるまで叫び続ける!!


「いくぜぇぇぇぇ!!!」


ベルが最後の一撃を叩きつける!!!



ギター、ベース、ドラムが一斉にラストの音を鳴らす!!

ルージュが全力でシャウト!!


「オイ、また会えるよな!? 次こそお前をブッ倒してやるぜ!!!」


そして——


ドォォォォォォン!!!!!!


最後の隕石が落下して爆発!!!




「NO FUTURE! NO FUTURE!」

「ブラッディ・リズム! ブラッディ・リズム!」


村の広場には、歓声が鳴り止む気配すらなかった。

空気が震え、兵士も村人も、まるで夢でも見ているような表情で拳を突き上げている。


リヴェルデ村は、かつてないほどの熱狂に包まれていた。


興奮の余韻、圧巻のライブを終えて


ブラッディ・リズムの3人は、汗だくのままステージの中央に立っていた。

ルージュ・スカーは、満足そうに息を整えながら、マイクスタンドにもたれかかる。


「……っはぁ、最高だな」


声がかすれているのに、その響きには充足感が満ちていた。


シオン・アッシュはクールな表情を崩さず、ベースを指で弾く真似をして余韻に浸っていた。

「フッ……どうだ? これがアタシたちの音楽だぜ」


ベル・バレットは、完全に息を切らしながら、ドラムセットの上に寝転がっていた。

「っはー……ヤバい……楽しすぎて……まだ腕震えてる……」


ライブの熱気が、そのまま彼女たちの身体を包み込んでいた。



ステージの反対側、NO FUTUREの4人も、興奮冷めやらぬまま、ブラッディ・リズムのライブを見届けていた。


「……すごかった……」


ユナは息を飲みながら、手の中のギターを強く握りしめた。

自分たちのライブも確かに全力だった。

でも、ブラッディ・リズムのライブは、それとはまた違う「熱」があった。


「ふふっ、やるじゃん」


ミサキは笑いながら腕を組んだ。

彼女もドラムの腕には自信があったが、ベルの叩くビートの破壊力には素直に感心せざるを得なかった。


「ベル、あんた、腕ちぎれるんじゃないかってくらい叩いてたな……」


「うぅー……お前もやってみろよぉ、腕ちぎれそうだったぞぉ……」


ベルがぐったりとした声を上げる。


「……シオンのベースの音、やばかった……低音が心臓に響いた……」


レンは静かに呟いた。

自分もベース担当だが、シオンの低音には独特の重みと、強制的に体を揺らしてしまう“圧”があった。


「まぁねぇ? そりゃアタシの技術が半端ないからねぇ」


シオンは肩をすくめながら、軽く指を鳴らした。


「……ルージュ、歌声、強かった」


エリカは短くそう評した。

NO FUTUREの中で一番冷静な彼女ですら、その圧倒的なパフォーマンスに心を動かされていた。


「おいおい、褒められすぎると照れるぜ?」


ルージュはニヤリと笑いながら、ギターのネックを軽く叩いた。


「だが、まだ終わっちゃいねぇよな?」


その言葉に、場が一気に引き締まる。





村人たちが静かになり、広場全体の空気が変わる。


「——ここからが、ライブバトルの最終決戦だ」


ルージュ・スカーがマイクを握り直し、ステージに向かって堂々と宣言する。


「次は、召喚獣フェイズ !!!」


その瞬間、村の人々がどよめく。

観客たちは、ライブの興奮がまだ冷めやらぬまま、新たな展開に目を輝かせた。


「召喚獣フェイズ」


ユナが口にする。


「さっきのライブフェイズで、アタシたちはそれぞれの召喚獣を呼び出しただろ?」


ルージュは指を鳴らした。


「こっから先は、その召喚獣を使った“バトル”だ。お互いのステージが砦だと思え」


「つまり……召喚獣同士が戦って、相手のステージを破壊しきったほうが勝ちってわけ?」


ミサキが腕を組みながら言うと、ルージュはにやりと笑った。


「そういうこった!」


観客たちの期待と興奮


「召喚獣同士の戦いか……」


レンは腕を組んで考え込んだ。


「今まで、戦闘で召喚獣の力を使ったことはあったけど……この世界の“ライブバトル”において、それがどう影響するのか、まだ分からないな」


「でも……面白そう!」


ユナの瞳が興奮で輝く。


「うちの クリムゾンドラゴンも、ここまで全力を出したことはない……」


「私も……シュヴァリエ・デュヴァンの力を、もっと引き出せるかも」


エリカが静かに呟いた。


「おお、やる気じゃん?」


シオンがククッと笑う。


「やる気にならなきゃ、ここでバンドやってる意味がないからね!」


ユナは自信に満ちた声でそう言った。


「……ははっ! いいねぇ、そんくらいの勢いがなくちゃな!」


ルージュが満足そうに笑う。


「さぁ、準備はいいか? いよいよ本番……召喚獣フェイズ の幕開けだぜ!!」


その瞬間、広場全体が再び歓声の渦に包まれる。


今、音楽と戦いの舞台が、本当の意味で最高潮を迎えようとしていた。


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