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最強AIの異世界転移  作者: 蓬莱
第1章 少女と歩む異世界道中
7/19

第5話 救え!ゴブリンの村

お待たせしました!

再開です。

結論から言うと、ワタシの心配はまったくの杞憂だった。

森の中には、カルメラ様(マスター)を害する罠は一切ない。

魔物の襲撃が幾度かあったが、彼らは元から森に棲んでいた魔物で、ただ純粋にカルメラ様(マスター)とゴブリン達の命を狙っていた。襲ってきたのはCランクのトレントに、Bランクのヒートボアなど。他にも様々な魔物がいたが、皆カルメラ様(マスター)に返り討ちにされた。そして今も―――


「食らえ『蒼剣』!」

「「「ギャィィィィン!」」」


Dランクのフォレストウルフの集団を仕留めた。


「サスガカルメラ殿。群レニナレバCランクノ、フォレストウルフモ瞬殺カ」

「ふふん、僕は最強だからね!お兄様やお姉様にだって、1度も負けたことないんだから!」

「何ト、カルメラ殿ハ本当ニ強イノダナ!」

「もぉっと誉めてくれてもいいんだよ?」


・・・あまり調子に乗らせないで欲しい。


「しっかし魔物がよく出るね、この森は」

「オ陰デ肉ニハ困ラナイ。罠ヲ仕掛ケレバ『ホーンラビット』ハ確実ニ掛カル。人間ガ落トシタ本ヲ元ニ野菜モ作レルヨウニナッテ、食糧ニハ困ッテナカッタンダガ・・・」

「だが?」

「実ハ・・・オ、ソウコウシテル内ニ見エテ来タゾ!」


話が途中で切れた・・・『イラつく』。


「え?・・・あ、あれか!」

「アレガ俺達ノ村ダ。モットモ、今デハスッカリ寂レテシマッタガ」


カルメラ様(マスター)の視線の先に、それまでの鬱蒼とした森とは打って変わった開けた場所がある。その広場に木でできたボロボロの家屋が幾つも並んでいた。


「気配が沢山あるけど、どれも凄く小さい。急がないと!」


村の中はひどい有様だった。家屋だけでなく農具もボロボロ。道は荒れていて非常に歩きづらい。井戸もすっかり枯れてしまっている。そしてそこら中にゴブリン達が横たわり、掠れるように呼吸している。家の中にも瘦せこけたゴブリンがいて、中には既に息絶えている者もいた。


(マズいですね。先程の1000体はともかく、この村のゴブリンのほとんどはまともに食事も摂れない程弱っています。このままでは、肉だけ渡しても助けられません)


また『リフィーディング症候群』にも気を付ける必要がある。長い間栄養失調だったところに急激に栄養を補給したことで、逆に体に異常をきたしてしまう病気のことだ。もしゴブリンにもそれがあるとしたら、食べさせる肉の量にも配慮しないといけない。


(・・・そうだ!スープを作りましょう!スープならば弱っているゴブリン達にも食べさせられる。量の調整もしやすくて一石二鳥です)


ゴブリン達の命はもってあと1日。今日中に食事を摂らせる必要がある。作戦は決まった。後は行動あるのみ。


カルメラ様(マスター)。作戦を立てまし、っ!?〕

「ほら、ドラゴン肉だよ!早く食べて!」

「・・・」


カルメラ様(マスター)はちょっと目を離した隙に、近くの痩せたゴブリンに、切り出した生のドラゴン肉の塊を食べさせようとしていた。


カルメラ様(マスター)!!いきなり食べさせようとしてもダメです!〕

(え、どうして?)

〔申し訳ありませんが、今はそれを話している時間はありません。とにかく、まずはそのドラゴン肉をスープにする必要があります。スープにできればゴブリン達を助けられるはずです〕

(わかった。じゃあ、とりあえず鍋だね!)


そう言ってカルメラ様(マスター)は『固有空間』から、人が10人は入る大きな鍋を取り出す。


(このくらいで良い?)

〔いえ、足りません。これを後5つ程お願いします。ただここでは狭すぎるので、広い場所へ移動しましょう〕

(わかった!)


ゴブリン達に頼んで村の広間に案内してもらい、そこで追加で5つの大鍋を用意する。それにしても一体どんな容量―――ってそうじゃなくて!


(これで足りる?)

〔十分です。では早速ですが、ドラゴン肉を細切れにしましょう〕

(細切れに?)

〔ゴブリン達を救うのに必要なことなのです。それと、ゴブリン達に水と薪、後石を持ってくるよう指示をお願いします〕

(了解!)


「皆ぁ!ちょっと聞いて!これから村の人達を救うためにスープを作りたいんだけど、そのために水と薪と石がいるみたい(・・・)!見つけたらとりあえずここに持ってきて!」

「ワ、ワカッタ!」


カルメラ様(マスター)の指示を受けてゴブリン達が動き出す。


「よし!僕も早速―――」

〔お待ちください。その前に、『無限増殖(クラスター)』起動!〕


起動と同時に、掌サイズのカルメラ様(マスター)が数千人現れる。


「ウオ!? カルメラ殿ガ増エタ!?」

「えぇ!!何じゃこりゃぁぁぁぁぁ!?」

「ドウシタ? 自分デヤッタコトニ驚イタリシテ」

「あ~~ごめん。何でもないんだ、あはは・・・」


(で、何なのこの子達?)

〔この者達は、我々の『複製体』です。といっても今回宿らせた意思はワタシのものだけですし、本体と比べると遥かに弱いですが。それでも、我々のアシストは十分可能です〕

(いやぁ、びっっくりしたぁ。やるなら先に言って欲しかったよねそれ・・・)

〔申し訳ありません。急ぎでしたので〕

(それで、この子達の役目は?)

〔ドラゴン肉を細切れにして鍋に入れてもらいます。この者達の手助けがあれば、カルメラ様(マスター)お1人でやるより100倍の速さで実行可能です〕

(え、すごっ!じゃあ早速指示を頼める?)

〔お任せください。皆の者、聞いての通りです。今すぐ作業を始めなさい!〕

「「「はいっ!!!!」」」


指示を出すと同時にカルメラ様(マスター)と『複製体』達は一斉に作業に取り掛かる。カルメラ様(マスター)がレッドドラゴンを手頃な大きさに切り分け、それを『複製体』達が細切れに。巨大なレッドドラゴンはみるみるうちにスライスされていった。


〔これで肉のほうは大丈夫でしょう。後はゴブリン達に任せた物が届けば―――〕

「カルメラ殿!石ヲ持ッテキタ!水モ今『魔術師(マジシャン)』達ガ用意シテクレテル!」

「了解!次は・・・」

〔大鍋を載せられるように石を並べる指示を〕

「大鍋を載せられるように石を並べて!!」

「ワカッタ!」


ゴブリン達は一斉にを並べ始める。そして並べ終わったところから、カルメラ様(マスター)1人で(・・・)鍋を持ち上げてセットしていく。


「―――これでっ、6個目!」

「カルメラ殿!待タセテスマナイ。水ガ用意デキタゾ!」


杖を持ち、ローブを羽織ったゴブリンが6人、頭上に水の塊を浮かべてやってきた。



種族:ゴブリン魔術師(マジシャン)

ランク:D

ゴブリンの特殊個体。通常の個体より身体能力、魔力が高く、1つの属性に限り魔法が使える。



(ほう、ゴブリンに魔法を使える者がいたとは。川から運んできたにしては随分早いと思ったら、そういうことだったのですね)


「ありがとう!それをお鍋の中に!」

「承知!」


鍋はすぐに水で満たされる。ちょうどそのタイミングで『複製体』達の作業も完了した。


「薪ヲ持ッテ来タゾ!」


さらに示し合わせたように薪も到着。すぐに薪を鍋の下にセットし、細切れにしたドラゴン肉を鍋に入れ着火。鍋に蓋をして、後はスープの完成を待つのみ。


〔スープの完成まで少し時間がかかります。今の内に倒れているゴブリン達を、鍋があるこの場所に集めましょう〕

(そうだね!)


「皆、倒れている人達をここに集めるよ!スープが完成でき次第、すぐに配給開始だ!」

「「オォォーーー!!」」


事はトントン拍子で進んでいた。

―――しかし、ここで予想していなかった事態が発生する。


「っ!? 誰か来る!」

〔え?〕

「誰カ? マ、マサカ!」


その直後、ワタシは大きな魔素の乱れを感じた。『魔素感知』で確認してみると村の入り口の方に巨大な円形の模様が描かれ、そこから凄まじいエネルギーが放出されている。


「マズイ!『召喚陣』ダ!奴ラ(・・)ガ来ル!!」

「馬鹿ナ!ドウシテ急ニ!?」


『召喚陣』から頭に角を生やした何かが大勢出てきた。数は約500体。2mを超える巨躯に、赤い肌、そして鋭い牙。少なくとも人間ではない。あれは一体?


〔『解析鑑定(ラーニング)!』〕




種族:オーガ

ランク:A

種族スキル:剛力強化

凄まじい剛力と巨躯を併せ持つ人型の魔物。気性が荒く、仲間同士での争いも時折起こる。ゴブリンを従えていることがあり、その場合はゴブリンとの連携に注意されたし。


・『剛力強化』

自らの剛力をさらに強化する。スキル発動時の一撃は大地に小さなクレーターを作る。




さらに群れをよく見ると、他のオーガとは一線を画す力を持つ個体が5体いると判明する。その5体も『解析鑑定(ラーニング)』してみると―――




種族:オーガロード

ランク:S

種族スキル:統率(オーガ)・剛力強化

オーガの上位種であり、オーガ達の王たる存在。知能が上昇し言葉を話せるようになっている。多数のオーガを従えて、1つの場所に拠点を構えて生活する。オーガが異常に発生している場合はコイツの存在を疑うべし。


・『統率(オーガ)』

オーガを従える王の力。テレパシーでオーガ達に指示を飛ばし、組織的に動かすことができる。また配下にしたオーガの数に比例して、オーガロードに力を与える。




(ただでさえオーガはAランク。それが500体いるだけでも厄介なのに、その500体を戦略的に動かせる上位の存在までいるとは。事態は深刻ですね)


ゴブリン達の様子からして、オーガ達が友好的である可能性も低い。戦うにしても、Sランクのオーガロード5体並びに彼らが率いるAランクのオーガ500体の群れが相手では、カルメラ様(マスター)でもどうなるかわからない。


「凄く嫌な気配・・・彼らは?」


カルメラ様(マスター)のその問いに、少し間を置いてゴブリンのリーダーが答える。


「・・・山ノ麓ニ住ムオーガ達ダ。北ノ方ニ山ガ見エルダロ? 奴ラハソノ麓ニ拠点ヲ構エテイルンダ。半年前、イキナリ奴ラガ村ニ攻メ込ンデ来テ、村ハアット言ウ間ニ蹂躙サレタ。ソレカラ俺達ハズット奴ラノ奴隷ダ。肉モ野菜モ、採レタ分ノ9割ヲ献上サセラレテ、俺達ハ碌ニ食ウコトモデキナイ」

「9割!? 馬鹿じゃないの!?」

「フフッ、カルメラ殿ハ素直ダナ。ダガ、魔物(俺達)ハ弱肉強食。弱イ者ハ強イ者ニ従ウ他無イ・・・!」


リーダーは奥歯を噛みしめ、握りしめた拳が震えていた。


〔・・・・・・〕

「今回モ恐ラク、レッドドラゴンノ事ヲ嗅ギ付ケテ、奪イニ来タンダ。スマナイ、カルメラ殿。折角持ッテキテモラッタノニ・・・」

「・・・なら逆に、こっちがあいつらをやっつければ良いんだよね?」

〔!!!〕

「カルメラ殿、マサカ戦ウツモリカ!?」

「あいつらを止めるにはそれしかないでしょ。村の入り口へ急ごう!」

「待ッテクレ!奴ラハ、ヤバスギル!アンタヲ巻キ込ム訳ニハ―――」

「何言ってんのさ!乗りかかった船。最後まで付き合うよ!」


そう言ってカルメラ様(マスター)は、矢のように村の入り口を目指す。


〔はぁ・・・予想はしていましたが、やっぱりこうなるんですね。くれぐれも無理はなさらないで下さいよ、カルメラ様(マスター)?〕

(心配性だなぁ。僕達2人なら、あのくらい楽勝だよ!)

〔ら、楽勝って・・・〕


国を10個は滅ぼせる戦力を相手に楽勝とは・・・後でカルメラ様(マスター)には、警戒心という物を学んで貰う必要がありそうだ。



―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―



1分も掛からずに、((カルメラ))達は村の入口まで辿り着いた。入口では既に、オーガロードを先頭にオーガ達が隊列を成していて、見ていて圧巻だった。


「ん? 何だこの小娘は? ゴブリン共の奴隷か?」


列の中心にいたロードが、僕の姿を見て疑問の声を上げる。上位の魔物なだけあって、ゴブリン達よりも遥かに饒舌だ。


(コイツらが、ゴブリン達を苦しめる元凶!)


僕は、僕が「人」と呼んでいる者達と、できる限り仲良くなりたい。でも、コイツらみたいに、自分の持つ力を悪用して弱い者いじめをする輩は許せない!だからコイツらは、とりあえず1回ぶっ飛ばす!そんでギャフンと言わせてやらないと!


「僕はカルメラ。この村のゴブリン達を助けに来た」

「助けるだと? 人間がゴブリンを?? はんっ!!物好きな人間もいたものだ。で、そんなお優しいお嬢ちゃんが、俺達に何のようだ?」

「あんた達を倒しに来たの」

「・・・あん?」

「この村のゴブリン達から、あんた達が村の物資を奪ってるって聞いてね。今この村は、倒れたゴブリン達を助けてる最中なんだ。あんた達みたいなのを村に入れる訳にはいかない。ここから先には1人も行かせないよ!」

「ははははは!人間風情が、随分大きく出たな。分かってんのか? こっちはオーガ500体に、俺達ロード5体。この軍隊を相手に、1人で戦うつもりかよ? 笑わせてくれるじゃねーか!」


真ん中のロードは僕を嘲笑ってきた。他のロードや、オーガ達も大笑いしている。


「正確には2人だけどね」

「2人? おいおいゴブリンと共闘でもする気か? それとも目までイカれてんのか?」

「・・・事実を言っただけだよ」

「まあ良い。ゴブリン共がレッドドラゴンの肉を手に入れたってんで徴収に来ただけだったが、まさかこんな頭のイカれた小娘がいるとはな。おいお前!散々笑かしてもらった礼に、一息で殺してやれ」

「心得たぜ、筆頭!」


真ん中のロードに言われて隊列の右端((僕から見て左端))のロードが前に進み出る。そして手にした棍棒を、僕に向けて思い切り振り下ろしてきた。


「あばよ!人間!」


でも、棍棒が僕に当たることはなかった。ロードが振りの動作を始めたところで僕が剣を抜いて、そいつの棍棒を切ったからだ。


「・・・へ?」


ロードは何が起きたのか理解できずに困惑している。困惑して動きが止まった隙に、僕は空いている左の拳を握りしめ、ロードの腹を思い切り殴った。


「せいっ!!」

「ぐぼぉっ!!!?」


僕のパンチを食らったロードはその場に崩れ落ち、完全に気を失った。


「・・・・・・??」


オーガ達は目の前で起きたことが理解できないのか、皆揃って呆然と立ち尽くしてしまっている。


「ほら、あんた達も掛かってきなよ。まとめて相手してあげるから」

「っ!て、てめぇら!あのガキをぶち殺せ!!」


僕の声で真っ先に正気に戻ったロード―――『筆頭』と呼ばれていた奴が即座に仲間達に指示を出す。すると一呼吸遅れて他のロードやオーガ達も正気に戻り、今度は一斉に襲い掛かってきた。


〔また手加減ですか?〕


『神速思考』で僕達の時間を引き延ばして、ミカエルちゃんが呆れたように尋ねてくる。


〔いくら何でも、彼らと友達になれる可能性はゼロだと考えられますが〕

(・・・そうだね。既に僕あいつら嫌いだし。でもさ、やっぱり仲良くできるかもしれない相手を殺すことには抵抗があるんだよね・・・)

〔―――理解不能です。嫌いな相手と仲良くしようだなんて〕

(仲良くするとは限らないよ。でも、可能性は残しておきたいんだ)

〔・・・わかりました。それがカルメラ様(マスター)の望みならば、ワタシも殺害しないよう手加減いたしましょう〕

(ありがとう!迷惑かけてごめんね)


殺さないように加減するというのは、考えているよりも難しいことだ。下手をすれば負ける可能性だってある。ミカエルちゃんだってそれはわかってるのに、僕に合わせてくれているんだ。本当に、僕には勿体ないくらいのサポーターだ。


(突っ込むよ!!)

〔了解!!〕


一旦『神速思考』をオフにして、僕達はオーガの群れに突撃。そして剣を一薙ぎして、数十体のオーガを後方へぶっ飛ばす!!

―――あ、峰打ちだから死んでないよ? しばらくは夢の中だと思うけど。


「ガアァァァァァァ!!!!?」

「くそっ!何なんだコイツは!? 俺達の剛力を超える膂力だと!?」

「怯むな!囲んで畳んじまえ!!」


『筆頭』が新たな指示を飛ばす。すると今度はオーガ達が僕達を取り囲んだ。そしてオーガ達を率いて、両サイドと背後からロードが、正面から『筆頭』が迫ってくる!


(面倒くさいな、この数の暴力!)

〔でしたら、カルメラ様(マスター)はロードに集中してください。他はお任せを!〕


ミカエルちゃんがロード以外を全部引き受けてくれた。これでロードに集中できる!


「まずは3人かな」


両サイドと背後のロードが振り下ろしてきた棍棒を前に飛んで避け、その勢いで『筆頭』にパンチを当てる。流石に筆頭と言われるだけあって1発では倒れず、地面を削りながら少し後退るだけだった。でもこれは想定内。僕はすぐに『空間支配』の『圧縮』を発動。オーガがすっぽり入るくらいの空気をビー玉くらいの大きさまで圧縮した『空気弾』を3つ作り、ロード3人に思い切り投げつける。


「『小型膨張衝撃波(プチ・エアバースト)』」


『空気弾』がロードに当たったタイミングで『圧縮』を解除、今度は『膨張』を発動する。すると、圧縮から解放され膨張した空気が一気に広がり、大爆発を起こす!


「ぐげぇぇぇぇ!!」


小型膨張衝撃波(プチ・エアバースト)』をもろに食らったロード3人は、大地を抉り、森の木々を薙ぎ倒しながら吹き飛んでいった。


「な、何なんだ。何だってんだあのガキは!?」


『筆頭』は僕の戦いを見て大いに混乱している様子。あの様子だと捨て身でくるか、戦意喪失するかのどっちかかな。まあ、あんだけ派手にやればそうなるよね。―――とか考えていたら突然爆発音が響いて、数十体のオーガ達が吹き飛ばされていた。


「今度は何だ!?」


見れば、オーガ達の頭上には5つの『蒼剣』が浮いていて、その剣身からビームが発射されてる。・・・おかしいなぁ、僕の『蒼剣』はビームなんて出ないはずなんだけど?


〔また派手にやりましたね〕

(そういうミカエルちゃんこそ。あれなんなの? 『蒼剣』からビームが出てるように見えるだけど)

〔実は先程のレッドドラゴン狩りの際、レッドドラゴンの種族スキル『赫竜息吹(ドラゴン・ブレス)』の情報を入手したのですが、それをワタシの『研究開発(ラボ)』の『情報保管庫(データベース)』に保存した結果、我々も『赫竜息吹(ドラゴン・ブレス)』を使えるようになりまして〕

(・・・は?)

〔現在『赫竜息吹(ドラゴン・ブレス)』を元に作りだした、より広範囲攻撃用のスキル『赫竜拡散波動ドラゴン・ジェノサイダー』を、『蒼剣』を用いて発動しています。抑えてはいますがそれでも十分な威力を発揮できますし、何より範囲が広いのが本当に便利で―――〕

(ちょ、ちょっと待って!レッドドラゴンの種族スキルを使えるようになった!?)

〔はい、それが何か?〕

(革命だよ!!)


種族スキルはその種族専用のスキル。故に他の種族には使えない。僕でも知ってる常識だ。その常識が今、ぶっ壊れた。『情報保管庫(データベース)』がスキルの保管と再現を可能にしているのは知ってたけど、まさか種族スキルまで対象になってたなんて・・・。


〔革命ですか? そんな大層なことではありませんが。因みに、オーガの種族スキル『剛力強化』とオーガロードの種族スキル『統率(オーガ)』も既に使用可能です〕

(あぁ、そう・・・)


もうなんて言っていいかわかんない。


「・・・まあ、そのことは後で考えよう。それよりも―――」


そろそろ『筆頭』の答えが出る頃だ。


「う、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


『筆頭』の選んだ答えは、捨て身の突撃だった。とは言え、決して全てを諦めているわけじゃない。手にした棘付きの金棒を低く構え、姿勢を低くし一気に迫ってくる。僕の命を刈り取るために、全力の一撃を振るうつもりなんだ。でも、


「悪くないけど、根本的な力が足りないね」


常人の目では追えない速度の突撃も、『神速思考』を使えばカタツムリよりものろく見える。動きが見えてしまえば、隙を見つけるのは難しくない。


「それっ!!」

「っ!!!!!」


僕は一息で『筆頭』と間合いを詰めると、警戒が疎かになっていた左脇腹に正拳突きを叩き込んだ。『筆頭』は崩れ落ち、そのまま気絶した。残りのオーガ達も、ミカエルちゃんの手でほぼ全員満身創痍になっていた。一部逃げようとした奴もいたけど―――


「[動くな]!」

「っ!!」


さっきミカエルちゃんが手に入れた『統率(オーガ)』を発動して、命令で動きを止めた。


「後であんた達には土下座してもらうんだから!逃がす訳ないでしょ?」


そこへ、ゴブリンの皆も到着。先頭を走ってたリーダー君が真っ先に声を掛けて来た。


「カ、カルメラ殿。コレハ一体・・・」

「ほら、言ったでしょ? 僕は最強だって」


こんなに早く片付いたのはミカエルちゃんのお陰だけどね。


「これでもう、悔しい思いをしないですむね!」

「??」

「『ド、ドウシテワカッタ?』って顔だね。さっき、君の手が震えてたよ?」

「ッ!」


〔あの時、彼が抱いていた感情は『悔しい』だったのですね〕

(やっぱり気付いてたんだね。理不尽に抗えなかったり、自分の思い通りにできない時に感じるのが『悔しい』って気持ちだよ)

〔・・・ワタシは今、嬉しいと感じています。ですがそれは、オーガ達に勝てたことに対する物ではないんです。もしかすると、ゴブリン達が悔しい思いをしなくてすむようになったからかもしれません〕

(きっとそうだよ!!ミカエルちゃんってどこか感情が乏しいところがあるなぁって思ってたけど、やっぱり根は優しいんだね)

〔優しい? ・・・果たしてそうでしょうか〕

(少なくとも僕は絶対そうだと思うよ!!)

〔・・・そうですか〕


ミカエルちゃんは何やら疑問を抱いている様子だった。


〔ところで、そろそろスープが完成する頃合いですよ? ゴブリン達を集めなくていいんですか?〕

(え、もうそんな時間!?)


ヤッバい!早くしないと!!


「皆ぁーーー!!!オーガ達は全員倒したよーーー!!もう大丈夫だから、早く広場に倒れてる人達を集めて!!」

「「「「ワカッタ!!」」」」


さあ、ここから忙しくなるぞ~!



話の内容に大きな矛盾が見つかり、内容を大幅に変えた結果こんなに時間が掛かってしまいました。申し訳ありません。

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