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最強AIの異世界転移  作者: 蓬莱
第2章 ぶっ飛ばせ!魔樹の軍勢
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第39話 アクスからの情報

街へと戻った我々は、再び情報収集を開始する。ただし、”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” の情報を集めているわけではない。調べているのは、アクスとフェイという人物についてだ。


先程レストランに飛び込んで来た青年が言うには、先程の古代魔樹(エルダートレント)と ”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” の戦闘を実際に目撃したのが、この2人だと言う。そこで彼らから話を聞くべく、2人について聞き込みを行ったのだ。


調べた所、2人は冒険者でランクはB。夜は必ず冒険者ギルドにいるらしい事を突き止めた。そこで我々は、2人が冒険社ギルドにいる時間を狙ってギルドに入り、話を聞く事にした。



*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*



その夜—――


我々は狙った時間に冒険者ギルドの前へと来ていた。この街は親切な人が多くいて、お陰で迷うことなくギルドに辿り着けた。


《建物自体は簡素だが、我々の目には敵の本陣のようで緊張してしまうな》

《えぇ、ワタシも緊張が止まりません。『複製体』で来ていたら、震えが止まらなくなっていたでしょう。桃華、くれぐれも問題を起こさないでくださいね?》

《大丈夫だ、心得ている。………よし、では行こう!!》


桃華は意を決して、ギルドの建物の扉を開き、中に入る。ギルド内部は酒場になっていて、幾人もの冒険者達が談笑していた。内容を聞くと、どうやら ”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” の話で持ち切りのようだ。


「そしたらアイツ、見た事もねぇ虹色のバリアを…………」

「”怨嗟の咆哮カースド・ロア” っていやぁ…………」

「私1度見たことあるんだけど…………」


その中でもひと際賑わいを見せている集団の中心に、中年のショートソードを持った男がいる。話に聞いた特徴と併せれば、あの男がフェイで間違いないだろう。話を聞きたいところだが、彼の周りには若い冒険者達が大勢集まっていて、とても話を聞ける状態ではない。


周りに目を向けてみると、盛り上がる集団から少し離れた所に、物静かな集団がいる。その内の1人―――背中に巨大な戦斧を背負ったスキンヘッドの男。恐らく彼がアクスだ。


《桃華、アクスに話しかけてみましょう》

《分かった》


桃華は(思考内で)頷いて、アクスの元へ近付く。そして桃華は、なるべく相手を刺激しないように、丁寧に話しかけた。


「すみません。Bランク冒険者のアクスさんで、間違いありませんか?」


桃華が声を掛けると、アクスを含む数名が一斉にこちらへ振り返った。どうやら、我々の存在を一切認知していなかったらしい。確かに、多少気配を隠すようにはしていたが……そんなに気付かないものだろうか?


「あぁ、確かに俺は冒険者のアクスだ。ランクもBで間違いない」

「良かった!あ、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私は桃華と申します。あなた方が出会った錬金術師について、お話を聞かせていただけないでしょうか?」


ちょっ、桃華! そこは偽名を使った方が―――いや、もう遅いな。


「”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” の事か? アイツの事は少ししか知らないぞ?」

「構いません。知っていることを教えていただきたいんです」

「……分かった。アイツと出会ったのは今から一週間前。ちょっと事情があって裏路地を歩いてたら。いきなり後ろから声を掛けられたんだ」

「顔は見てませんか?」

「いんや、黒いローブを纏ってて、フードを頭からスッポリ被ってたからな。顔は一切見えなかった」

「そうですか……じゃあ、彼と何をしたか憶えてますか?」

「あぁ、急に現れるなり『このマジックバッグを使ってみないか?』と聞かれたよ。何でもソイツのお手製らしくてな、試しに使ってみたら性能はバッチリだったし、丁度新しいマジックバッグが欲しいと思ってたんで、ありがたく使わせてもらうことにしたんだ。これが本当に便利な代物でな! 古代魔樹(エルダートレント)の死骸も余裕で入っちまうんだ!」

「本当ですか!? それは凄いですね!」


若干演技が混ざっているが、桃華はかなり本気で驚いていた。


《成程、身長15mを超える巨大な魔物の死骸をどこへやったのかと思ったら、彼らが持ち出していたのですね》

《しかもそれが余裕で入るとは。そのマジックバッグ、かなりの性能だぞ。だがやはり、何よりも凄いのはそれを作った ”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” だ。魔土のこともそうだが、今後の村の発展の為にも是非とも仲間に引き入れたい!》

《……無論、彼に差別意識が無ければですがね》


「俺達は職業柄各地を旅して回っているが、正直言ってアイツ以上の錬金術師は見たことが無い。下手すりゃ1人で国すら変える力を持ってる。だが、アイツの恐ろしい所はそれだけじゃない」

「と言うと?」

「恐ろしく強いんだ。俺達じゃその力を、認識しきれない程にな」

「街の人から聞きました。古代魔樹(エルダートレント)を倒したそうですね」

「あぁいや、実はそれ間違いなんだ」

「間違い? 何がですか?」

「確かにアイツも多少手を貸してはいたが、古代魔樹(エルダートレント)を倒したのは相棒のスライムさ」

「スライム!?」


桃華が驚きの表情を作る。無理もない。スライムのランクはF。全力を出しても子供1人殺せるかというレベルなのだ。そのスライムが、S+ランクの古代魔樹(エルダートレント)を倒したと言うのだから、驚かない方がおかしいだろう。


「無論、普通のスライムじゃない。アイツが言うには、あれはSSランクのミラクルスライムだそうだ。サイズは並みだが体は虹色。言葉を使う程の知能があって、確かスララって名前があった」

「スライムのスララ……安直な名前ですね」

「言ってやるな」


だが、例え安直であっても名前持ち(ネームド)なのは事実。ましてそれがSSランクの魔物ならば、古代魔樹(エルダートレント)を倒せたとしても不思議ではない。


《あれ? でも今の話だと、恐ろしく強いのは寧ろそのスライムの方では?》

《確かに。多少手を貸したと言っていたが、もしかすると支援がメインで直接戦闘は苦手なのかもしれない。確認してみよう》


早速桃華はその質問をアクスに投げ掛ける。


「でもアクスさん。今の話の通りだと、強いのってそのスライムだけですよね? もしかして ”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” の方は、戦闘力低かったんですか?」

「とんでもない! アイツだってとんでもない力を持ってたぜ。森で俺達が依頼をこなしてる最中、突然古代魔樹(エルダートレント)の襲撃を受けてな。奴の根に捕らえられてもうダメかと思った時、アイツが空から極太のビームをぶち込んで、奴の根を蒸発させちまったんだよ」

「エ、古代魔樹(エルダートレント)の根を蒸発させたんですか!?」


聞けば、古代魔樹(エルダートレント)の根というのはマグマに漬けても決して溶けることが無いらしい。つまり ”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” は、それを一瞬で蒸発させる程の熱を瞬時に生み出したということだ。正直言って、カルメラ様(マスター)の『時空支配』に統合した『熱支配』を使っても、それほどの熱を瞬時に生み出すのは難しい。天才であるカルメラ様(マスター)ですらそうなのだ。”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” がどれほどの力を持っているのか、正直想像も出来ない。


「でも一番恐ろしかったのは、古代魔樹(エルダートレント)の最終奥義『怨嗟の咆哮(カースド・ロア)』を一瞬で吸収したことだな」

「吸収? 吸収したんですか!?」

「信じられないのも無理はない。だが、本当の話だ。古代魔樹(エルダートレント)が『怨嗟の咆哮(カースド・ロア)』を放った瞬間、アイツの周りに虹色の結界が作られてよ。それに触れた途端に『怨嗟の咆哮(カースド・ロア)』が凄ぇ勢いで飲み込まれたんだ」

「マジですか……」

「これは俺の勘でしかないが、恐らくアイツの方がスララより何倍も強いぞ。そもそもの話、古代魔樹(エルダートレント)を『自分が手を下すまでもない雑魚』と見做して、スララに任せてたくらいだしな」


成程、これは……ヤバい。

話を聞く限り、”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” の戦闘力は低く見積もっても勇華と同等。下手をすると、カルメラ様(マスター)(とワタシ)に届くかもしれない。


だが腕は確かで、しかもスライムを相棒にしていたという話から、一番の懸念事項―――魔族への差別意識も無いと考えて良さそうだ。いきなりこれほどの人材が見つかるとは、幸先が良い。


「錬金術師、凄いな……」

「いやいや、普通はそんなこと出来る錬金術師なんていねぇよ。アイツが特別なだけだ。さっきも言ったが、俺はアイツ以上の錬金術師を知らない。もしアンタが錬金術師を探しているなら、一度はアイツに会っておいた方が良いと思うぜ」

「そうですね。そうしてみます。ありがとうございました!」

「良いってことさ」


桃華はお礼を告げると、ギルドを出ようとする。その時―――


「そうだ桃華ちゃん。1つ伝え忘れていた事があるんだ」

「何ですか?」

「アイツと別れる前にお礼がしたくて名前を聞いたんだがな、どうやら訳ありみたいで教えてもらえなかった。そんで代わりに ”虹の錬金術師イリゼ・アルケミスター” って二つ名を教えられた訳だが、どうもきな臭い感じがする。アイツを探すにしても、その辺は気を付けておけよ」

「忠告ありがとうございます。憶えておきますね。では、またどこかで」

「あぁ、またな」


そして我々はギルドを後にし、すっかり暗くなった街へと歩み出た。

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