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最強AIの異世界転移  作者: 蓬莱
第1章 ゴブリンを救済せよ!
27/33

第25話 初めての共闘

敵は不死王(イモータル・キング)。ランクはSS。中々の強敵で、決して油断ならない相手ではあるが、カルメラ様(マスター)や酒吞童子と比べると見劣りする。まず負けることはないだろう。


〔2人共、油断だけはしないように〕

(合点!)

(わかってるよ)


2人がそれぞれ返事をしてきた所で、不死王(イモータル・キング)が近付いてくる。そして上から我々を見下ろしつつ話しかけてきた。


「さて、そこの金髪の小娘。お前がカルメラで間違いないか?」

「え、そうだけど・・・それが?」

「余は訳あってある者と契約しているのだが、ソイツから貴様の命を奪うよう依頼されていてな。貴様に恨みは無いが、その命、貰い受ける!」

「おいおい。じゃあ何か? お前、コイツの命狙ってここまで来たのか?」

「そうだ」

「だったら、何でさっきは全員纏めて殺そうとした?」

「そんなの、駒を増やすために決まっているだろう。こんな風にな」


不死王(イモータル・キング)の目の位置に、赤い光が灯る。すると、奴の足元に巨大な魔法陣が形成され、そこから大量の魔物が出現した。


(な、マジかよ!? 不死系魔物(アンデッド)があんなに!?)

(凄い数!いったい何人いるの!?)

〔ざっと見積もって、1万程ですね〕

((そんなに!?))


数に驚く2人だが、驚くべきは数だけではない。

召喚された魔物達は全5種。



種族:屍騎士(ゾンビナイト)

ランク:A+

種族スキル:『復活』

(数:約2500)


種族:屍魔導士(ゾンビウィザード)

ランク:A+

種族スキル:『復活』

(数:約2500)


種族:幽霊騎士(ホロウナイト)

ランク:S

種族スキル:『復活』

      『怨嗟波動』

(数:約2000)

      

種族:幽霊魔導士(ホロウウィザード)

ランク:S

種族スキル:『復活』

      『怨嗟波動』

(数:約2000)


種族:不死魔将軍(リッチ)

ランク:S+

種族スキル:『復活』

      『不死者支配イモータル・ドミネイト

(数:約1000)



見てわかるように、召喚された魔物達のランクは最低でもA+。兵士1人の質は酒吞童子一味よりも上。それが1万もいるというから恐ろしい。しかもコイツらは『復活』スキルの影響で、たとえ肉体を消し炭にしたとしても、その魂を完全に消し去らない限り何度でも再生し復活することができるのだ。


「鬼の娘。見たところ、お前は相当な手練れなのだろう? 余達不死系魔物(アンデッド)は、生前の強さによってポテンシャルが変わる。お前ならば、規格外の不死魔将軍(リッチ)に改造できそうだ!」

「はっ!このあたしを不死系魔物(アンデッド)にして、こき使おうってか? 寝言は寝て言え!はあっ!」


酒吞童子が『地獄門』を振るい、漆黒の斬撃を放つ。斬撃は不死者の群団を一撃で切り裂き、魂まで焼き尽くし消滅させた。


「ほう・・・?」

「どうした? まさかこれで終わりじゃないよな?」

「ふっ、もちろん」


不死王(イモータル・キング)の目が再び光り、先程の倍以上の不死系魔物(アンデッド)が召喚された。


「余はそれなりに長く生きて(?)いてな。数多の不死系魔物(アンデッド)共を支配し続け、今じゃ手下の数は10億を超える。この程度の兵力は、幾らでも召喚可能だ」

「10億か。キリがないな」

「ってことは、あの髑髏をぶっ飛ばせば良いんだね!」

「それはそうだが・・・そう簡単にいくか?」

「ふふん!余裕だよ!集ごーーーう!」


カルメラ様(マスター)の掛け声で、『光魔人形(シャイン・ゴーレム)』が100人程召喚される。そしてその内の1人(・・)が『赫灼幻想剣』を手にし、光の斬撃を放って再び不死系魔物(アンデッド)軍団を消し去った。『光魔法』由来の浄化作用で、魂までバッチリ浄化済みだ。


「むうっ!!!!?」

「どう? これで幾ら不死系魔物(アンデッド)を召喚されても問題ないでしょ?」

「み、身も蓋もない・・・そしてなんてえげつない・・・」

「お、おのれ~!自身の魂の増産だと!? 何だその反則スキルは!?」

「ほらほら何よそ見してんの!? 『光の斬撃(シャイニー・バッシュ)』!」


今度は不死王(イモータル・キング)本人に向けて、カルメラ様(マスター)自ら斬撃を放つ。


「くっ!舐めるなぁ!」


対する不死王(イモータル・キング)は、右手の杖で斬撃を弾いて受け流す。奴の『権能』の編成から近接戦闘もできることはわかっていたが、まさかカルメラ様(マスター)の斬撃を弾く程とは、想定外だった。


「あははっ!やるじゃん!」

「おいおい、そこは危機感持った方が良いぞ? あんたの斬撃が簡単に弾かれちまったじゃないか」

「え、でもあんなの初歩の初歩だし―――」

「何をごちゃごちゃ言ってる!今度はこっちからいくぞ!『怨念流星群(カースド・ミーティア)』!」


不死王(イモータル・キング)が杖を振り上げると、突然空が黒雲に覆われる。その黒雲の中から、黒く禍々しいオーラを纏った隕石が雨あられの如く降り注ぎ始めた。


(ねえ、あれってもしかして、呪詛纏ってない?)

(ああ。どんな呪詛かはわからんが)

〔どうやらあれには『死の呪詛』が付与されているようです〕


呪詛とは、相手を眠らせたり、毒で蝕んだり、動きを止めさせるなど、様々な不利益になる効果を齎す呪いのようなものだ。効果は基本永続で、解呪しない限り効果が継続することになる。


〔直接触れただけで即死する流星群ですか。少し試したいこともありますので、ここはワタシにお任せを!〕


ワタシはカルメラ様(マスター)の種族スキル『混沌魔法』を発動する。


〔召喚、『混喰魔(ケイオス・イーター)』!〕


カルメラ様(マスター)の足元から、見る角度で様々な色が見える黒い液体が噴き出し、6つの黒い球体になる。球体はすぐに弾け、蛇のような長い胴体と牙の生えた大きな口、そして小さな手足に赤い瞳を持つ黒い異形―――『混喰魔(ケイオス・イーター)』が6体誕生した。


〔お前達、あれを全て食ってしまいなさい!〕

『ギシャァァァァ!!!』


混喰魔(カオス・イーター)』はすぐに出動し、その内5体が流星を1つ残らず食らいつくす。そして残る1体が巨大化して、流星群の起点となっている黒雲を飲み込み、死の隕石の雨は止んだ。


これが『混沌魔法』の力の1つだ。

『混沌魔法』を使う者のみが生み出せる『混沌粒子』は、ありとあらゆる魔法を吸収することができる。これを素材にして生み出した『混喰魔(ケイオス・イーター)』には魔法が一切効かず、その特性を活かして魔法を喰らうことができるのだ。加えて、喰らった魔法を解析し、データまで送ってくれるおまけ付きだ。


「バカな!? 『怨念流星群(カースド・ミーティア)』を食っただと!? その(おぞ)ましい奴らはいったい何なんだ!?」

「えっと・・・ごめん、僕も良くわかんない」

「ふざけるなーーーー!!!」


不死王(イモータル・キング)は激しい恐怖と怒りが混じった、悲鳴に近い声を上げる。


「そんなこと言われても、わかんない物はわかんないし・・・」

「おのれぇ!こうなったら近接で仕留めてやる!」


ここで不死王(イモータル・キング)が地上に降りて来て、我々と相対する形になる。


「行くぞ!」


不死王(イモータル・キング)が一瞬で間合いを詰めて、杖を突き出してくる。茨木でもギリギリ反応できない程の速度だったが、カルメラ様(マスター)と酒吞童子は余裕で躱す。


(ねえ酒吞、合わせてみない?)

(面白い、乗ってやる)


そして次の瞬間、カルメラ様(マスター)と酒吞童子が完璧な連携を見せ始める。代わる代わる剣、大太刀で攻撃し、相手が距離を取ろうとした時は片方が背後に回り動きを止め、もう片方が切りかかる。何度も何度もそれを繰り返す2人。凄まじい速度で動き回っているのに攻撃が一切被らない。正に、阿吽の呼吸だった。


「くっ!貴様らいったい、どれだけ一緒に戦って来たんだ!?」

『今日初めて』

「何だと!?」


不死王(イモータル・キング)は驚きの声を挙げるが、実は仕組みは単純だ。ワタシが『念話(コール)』を常時発動することで常に2人の思考を共有し、お互いに次の動きを知った上で相手に被らないよう立ち回る。やっているのはそれだけ。と言っても、それを実現するにはかなりの技量が必要になるが。


「くっ!貴様ら2対1とか、卑怯だぞ!?」

「バカかお前? 命の取り合いに卑怯も何もあるかよ」

「第一、10億越えの軍勢引き連れてるあんたに言われたくないんだけど?」

「ぐぬぬ・・・!!」


不死王(イモータル・キング)がどんどん押されていく。実力差は歴然、どころか比べるのも烏滸(おこ)がましいレベル。既に相手も、勝ち目は無いと気付いている様子だった。


「ここまでの怪物だとわかっていれば、契約などしなかったものを・・・!!仕方あるまい!『転移』!」


不死王(イモータル・キング)は逃走を図ろうとする。今までのことから考えれば、賢明な判断だろう。だが、そうはさせない。


〔あなたには聞きたいことがありますからね。『時空固定結界』!!〕


『時空固定結界』は、『時空断裂』を応用した技だ。一定範囲の時空を完全に固定し、ワタシ以外の者による干渉を内外共に遮断する。要するにこの時空内において、ワタシ以外の者は空間、時空に干渉する一切の技を使えないのだ。


「っ!? バカな!? 『転移』が発動しないだと!?」

『隙ありぃ!!!!』

「ぐがぁ!!!!」


2人の斬撃が不死王(イモータル・キング)を十字に切り裂く。いくら不死系魔物(アンデッド)の頂点たる彼でもエクスカリバーと地獄門は応えたらしく、切られた箇所を抑えてその場に蹲った。


「ぐぎぎ・・・!」

「へえ、『終炎』を使ってなかったとはいえ、まだ動けるのか」

「案外タフだね。もう一発やっとこうか」

「っ!!・・・こうなったら、最後の手段だ!!」

『!!!?』


骨の体からは想像もつかないジャンプ力で、不死王(イモータル・キング)が飛び上がる。何事かと構えていると、彼は我々の前に着地し、そして――


「申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


芸術とも言える程の美しいフォルムで、見事な土下座を決めたのだった。


『・・・え?』

「余―――いえ、私は、あなた方の手下になります!それでご不満でしたら奴隷でも構いません!雑用でもなんでもやります!ですからどうか、命だけはお助けくださぁぁぁぁぁい!!!!!」


さっきまでの尊大な態度は一切無くなり、一心不乱に命乞いをしてくる。あまりに突然の事態に、カルメラ様(マスター)と酒吞童子は戦意喪失していた。


不死系魔物(アンデッド)って、案外身体能力高いんだね)

〔・・・カルメラ様(マスター)。ツッコむ所違うと思いますよ?〕

(ったく。こんな潔い命乞いされちゃあ、戦う気も失せちまうよ)

〔まあ結果オーライです。個人的に(・・・・)聞きたいこともありましたし。それに、折角部下になると言っているのですから、この際引き入れてしまっては?〕

(えぇ・・・大丈夫かな、この人)

(良いんじゃねぇか? お前がアイツらの長になるってんなら、戦力は必要になってくるだろ? 戦力は幾らあっても困るもんじゃないし、部下にしてやったらどうだ?)

(ちょっと心配だけど・・・まぁいっか!仲間にしちゃおう!)


こうして、謎の不死王(イモータル・キング)は、我々の仲間にすることが決定した。


「しょうがないなぁ。仲間にしてあげるよ」

「ははぁ!ありがたき幸せ!」

「でも、僕の仲間に手を出したりしたらダメだからね? もし手を出したら―――その時は容赦しないから」


カルメラ様(マスター)が声を低めて凄み、同時に覇気を発する。不死王(イモータル・キング)は震え上がり、ワタシと酒呑童子も寒気を覚えた。


「―――わかった?」

「はっ!仰せのままに!」

「なら良し!!」


カルメラ様(マスター)が満面の笑みを浮かべて言う。・・・普段は天真爛漫な少女なのに、時折この人は凄く怖くなる。でも、そんな所も魅力の1つだとワタシは思う。


〔ワタシをカルメラ様(マスター)の元へ送ってくれたこと。そこだけは、アランに感謝しても良いかも知れませんね。アイツがバカなのは変わらないですが〕


―――っと、今はアラン(あのアホ)の話をしてる場合じゃない。仲間になった所で、不死王()には質問に答えてもらわないと。


〔『光魔人形(シャイン・ゴーレム)』〕


ワタシはまた光魔人形(アバター)を作り出し、カルメラ様(マスター)へと向き直る。


「あ、ミカエルちゃん!良い所に!今ちょうど自己紹介するところだったんだ!ミカエルちゃんも一緒に」

「いえ、申し訳ありませんが自己紹介は後でお願いします。お2人は先に戻ってください。ちょっと彼と2人(・・)で話したいことがあるので」

「え、そんな急ぎなの? 話って、この襲撃のことだよね? それなら僕も一緒に―――」

「いえ、あなた方には先に村に戻って、事情の説明をお願いします。きっと、我々の身を案じていることでしょうから」

「そっか!皆を心配させたままにはできないね!」

「そういうことなら任せとけ。お前のこともちゃんと伝えておく」

「だから、尋問の方はお願いね」

「承知しました」


そして『転移』を発動し、カルメラ様(マスター)と酒吞童子は村へと戻った。


(さて、そろそろ尋問を始めましょうか。今回の襲撃の黒幕について。・・・まあ、おおよその予想はついていますが)

本作をご覧いただき、誠にありがとうございます!


「また敵が味方になる展開かよ!」と思われるかもしれませんが、そこはご容赦いただけると幸いです。


このお話をより良いものとするため、皆様に楽しい時間をご提供するため、皆様のご感想をいただけると幸いです。


(・・・面白いと思ったら、ポイントもお願いしたいです)

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