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最強AIの異世界転移  作者: 蓬莱
第1章 ゴブリンを救済せよ!
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第21話 戦後処理

ワタシ(『光魔人形(シャイン・ゴーレム)』体)は茨木と星熊を引き連れて、広場までやってきた。だが、ここで1つ問題が発生する。


「この人数だと手狭ですね」


現在、広場に集まっているのは―――


ゴブリン:約11000人(将軍(ジェネラル)含む)

オーガ:約1800人(ロード含む)


見ての通りとんでもない数だ。広場の想定収用人数は、約3000人。キャパオーバーどころではない。


「仕方ありません。『時空断裂』からの『時空拡張』」


『時空断裂』で広場のみを時空から切り離し、さらに広場に向けて『時空拡張』を発動する。『時空拡張』は文字通り、指定した時空間を拡張させる技だ。現状は最大100倍まで拡張することができる。この『時空拡張』を用いて、ワタシは広場の床面積を10倍に拡張し、約30000人が入れる空間へと作り替えた。


「く、空間が、こんなあっさり巨大化を・・・?」

「何ならもっと拡張することもできますが?」

「いや、これで充分だ。それより、広場を時空ごと切り離してしまったようだが、カルメラ殿や頭領達は入ってこられるのか?」

「ええ、もちろん。というより、そのくらいはできてもらわないと」

「? それってどういう―――」

《お~~~い!!!ミカエルちゃ~~~ん!!!》


ちょうどそこへ、カルメラ様(マスター)が酒吞童子たちと共に戻ってきた。


「あ、戻ってきましたね」

「あの距離でよく声が届くな・・・」


現在、ワタシがいるのは広場の南側。対してカルメラ様(マスター)がいるのは広場北側の入口。30000人分の広さの土地の端から端まで、ハッキリと聞こえる大きさで声を響かせているのだ。

・・・常識外れにも程がある。


〔聞こえてますよカルメラ様(マスター)。ここからは『念話(コール)』で話しましょう〕

(わかった!それで、ミカエルちゃん。酒吞童子たちを連れてきたから、一緒に入れてくんない?)

〔わかりました。ただしカルメラ様(マスター)だけは、自分で入ってみてください〕

(・・・もしかして、まだ怒ってる?)

〔いえ、そうではありません。ただちょうど良い機会ですから、ここで『時空連結』を練習してみましょう〕


『時空連結』は、区切られた時空間同士を繋ぐスキルだ。時空間を区切る―――今回で言えば広場の時空間を村から区切った場合、視覚的には広場は村の中にあるが、実際は村と広場がまったく別の場所に存在していることになる。広場の周りに張られている壁が、その証拠だ。時空間に干渉する能力が無ければ、この壁は決して超えることはできない。その壁に穴を空けて、2つの時空の間に強制的に道を作るのが『時空連結』の力だ。


(で、できるかな・・・?)

〔大丈夫です。今回は転移先が目に見えているんですから。見えていない場所に転移するよりよっぽど簡単です〕

(そ、そうだね!よ~し・・・『時空連結』!!)


カルメラ様(マスター)が宣言すると同時に、広場を隔てる時空の壁に穴が開く。そしてその穴を通って、見事に広場へと入ってきた。


〔お見事です〕

(いやぁ、それほどでも~)

〔では、そろそろ話を始めましょう。既に全員こっちに来てます。・・・遺体となった者達も含めて〕

(・・・そっか)


戦死者たちの遺体は、ワタシが自ら回収した。現在は広場の両端に綺麗な布を敷いて、その上に安置されている。


カルメラ様(マスター)もお早く〕

(合点!)


『時空跳躍』を発動し、カルメラ様(マスター)は広場の北から南へ一瞬で移動する。先程は訓練のために『時空連結』を使わせたが、本来はこの時空の壁も『時空跳躍』があれば簡単に越えられたのだ。


(改めて見ると、壮観だね)


広場南端に用意された檀上からの景色を見て、カルメラ様(マスター)はそう言った。

現在の配置はこう。

まずカルメラ様(マスター)とワタシ、そして酒呑童子を始めとした鬼達が壇上にいる。中心にいるのがカルメラ様(マスター)で、ワタシはその右隣。そして鬼達は、茨木と星熊が両端で星座し、未だ動けない他4人は、その2人に支えられるようにして上半身のみを起こした状態になっている。

壇のすぐ下では、カイザーを始めとしたゴブリンの村長達が仁王立ちで構えている。彼らの前ではロードを先頭にオーガ達が星座していて、さらにはその周りを将軍(ジェネラル)を先頭にしたゴブリン部隊が取り囲んでいた。


「さて、これから戦後処理を行う!ってこと何だけど、まずは何から始めようか・・・」

「まずは約束を果たさせましょう。こういうのは覚えている内にやっておかないと、知らぬ存ぜぬで有耶無耶(うやむや)にされる危険があります」

「有耶無耶にはしないと思うけど・・・わかった。酒吞、約束は覚えてるよね?」

「『僕が勝ったら、僕の言うことを1つだけ聞いてもらう』だろ? ちゃんと覚えてるよ」


酒吞童子ははっきりと、『約束を覚えている』と言い放った。忘れたフリをして有耶無耶にすることを警戒していたが、その心配は杞憂だったようだ。


「それで、何をすりゃ良いんだ?」


まるで『さっさと言うことを聞いて、さっさと終わらせたい』とでも言うかのような態度。余程カルメラ様(マスター)の言いなりになるのが嫌なのだろう。酒吞童子からはイライラする感情も見てとれた。


「僕が君に頼みたいこと。それは・・・『ゴブリン達と協力関係を結ぶ』こと!」

「協力関係だと?」

「そ!あんた達今まで、ゴブリン達を奴隷扱いしてたでしょ? これからはそれを無しにして、お互いに協力しあって欲しいんだ。皆はどう? 鬼達と協力するのは、嫌かな?」


カルメラ様(マスター)が整列するゴブリン達に問いかけると、代表してカイザーが答える。


「抵抗が無い、と言えば嘘になる。だが、これ以上いがみ合っても、お互いに不利益を被るだけだ。俺達の未来のため、俺は鬼達との協力を受け入れる!」


カイザーが賛同の意を示すと、他のゴブリン達も口々に賛同の意を示し始めた。


「皆ありがとう!酒吞、あんたは?」

「・・・まぁ、あたしはお前に負けた身だし、言うことは聞こう。でも理由は聞かせてくれ。どうしてコイツらと協力しなきゃならないんだ?」

「まずは、これ以上お互いに血を流させないため。言うまでもないけど、これ以上争っても互いに犠牲者が増え続ける一方でしょ? だからまずはそれを止めようと思って。もちろん、お互いにわだかまりがあるとは思う(僕にもあるし)。でも、それを一旦飲み込むことで、お互いの未来に繋がると思うんだ」

「それは、確かにな・・・他には?」

「あんたに、他種族の人達を信じる心が、少しでも芽生えたら良いなって」

「・・・・・」


酒吞童子が黙り込む。あからさまな拒絶の反応だ。


「まあ、そうなるよね・・・」

「当たり前だ。あたしが信用するのは同族のみだ!」

「頑固だ、とは言わないよ。話を聞いたら、あんたの反応は当然だと思うし。でもさ、同族以外を信じられないと、いずれあんた達滅ぶんじゃない?」

「何だと?」

「だってそうじゃん? この世界には色んな人達が生きてるのに、あんたの仲間はその中の一握りしかいないんでしょ?」

「それは誰でもそうだと思うが?」

「まあ、確かにそうなんだけどさ。あんたの場合、同族以外は他人ですら無くて、みんな敵なんだよね? それって、世界を敵に回してない?」

「っ!」

「同族以外はみんな奴隷か敵。それってつまり、あんたの―――いや、あんた達の周りは敵ばかりってことでしょ?」

「それは・・・!」

「周りの全てを敵にしてたら、いずれ必ず潰される。というか、僕が甘くなかったら、そもそもあんた達全員死んでたよね?」

「っ!!!!!」


決して脅しなどではない。カルメラ様(マスター)は、ただ事実を述べただけだ。今彼女達が生きているのは、カルメラ様(マスター)が止めを刺していないからに他ならない。


「仲間達を守りたいなら、他種族の人も信じられないとダメだよ? 1つの種族の力には、限界があるんだから」

「・・・・・・」


酒呑童子が黙り込んでしまう。


『仲間は同族のみ』

『他種族は奴隷或いは敵』


恐らく、酒呑童子が頑なに拘り続けるその考えに、揺らぎが生じているのだろう。

因みに、カルメラ様(マスター)は「世界を敵に回している」と言ったが、さすがにそれは話が飛躍しすぎている。酒呑童子だって、見境なく他種族を攻撃する程バカじゃないだろう。世界そのものが敵というのはおかしい。けれど、味方が増えないのは確かだ。味方が増えなければ、戦力も増えない。悪意を持って彼女達に侵略を仕掛ける者が増えれば、いずれは限界が来て滅ぼされるだろう。


「まあ、すぐには無理なのはわかってるよ。だから、ゆっくりで良い。まずはゴブリン(彼ら)を、奴隷じゃ無く仲間と思えるように。仲間が無理でも、せめて部下かお隣さんくらいに思えるようになって、それから少しずつ信頼関係を築いていけば良いんじゃない? そうすればきっと、他種族のことも信じられるようになるよ」

「・・・あたしがそれをやるとでも?」

「『仲間の為』ってなれば、やるでしょ?」

「ああ、本当になるならな」


酒呑童子はカルメラ様(マスター)の言うことを、頑として受け入れそうにない。この頑なな態度に、カルメラ様(マスター)は思い切り頬を膨らませて不満を示す。


「ムゥ、つれないな・・・しょうがない、次!次は敗戦したあんた達にどうケジメをつけて貰うか、それを発表する!」

『・・・・・・!!』


鬼達、オーガ達の間に緊張が走る。ケジメ―――要は、賠償金のようなものだ。これから彼・彼女達が支払う代償が今、発表される・・・!


「あんた達には一週間、この村での労役を課す!」

「ろ、労役?」


予想外の答えがきた。


「あんた達、ゴブリンの皆から肉や野菜を奪いまくってたんでしょう? だから今度は、あんた達が皆の農作業を手伝って!」


それが、彼らに課された代償だった。

ご覧の通り、本来書きたかった所までは書き終えることができません。

ですが、これ以上書いていると本日中に書き終わらなそうなので、一旦ここまでで投稿させていただきました。

申し訳ありません。

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