第19話 戦勝宣言
※第三者視点
茨木童子と星熊童子は、何とか金童子の治療を終えた。しかし、未だ金童子は目を覚まさない。
「どうにか一命は取り留めたけど・・・」
「あぁ、ひでぇ怪我だ。カルメラとその『代行者』以外にも、ここまでやる奴がいたとはな」
「あの2人だけでもこの強さなのに・・・」
森の奥からは、絶えず轟音と震動が響いてくる。その揺れの強さが、カルメラと酒呑童子の戦いの激しさを物語っていた。
(いったいどういうレベルの戦いなんだ!? 姉さんは無事なのか!?)
茨木童子は、姉である酒呑童子のことが気がかりでならなかった。すると突然、ずっと鳴り響いていた轟音が一瞬、完全に消える。そしてその直後、今までに無い程の凄まじい轟音が鳴り響き、時空間そのものが鳴動した。
「ぐっ!!」
「うぉ!?」
時空間を揺らす振動は、ミカエルが張った『時空結界』の外側まで響き大地を揺らす。それと同時に、何かが木々を薙ぎ倒しながら物凄い速度で飛んできた。
「何かくる!」
「伏せろ!」
星熊童子が、半ば強引に茨木童子を伏せさせる。その直後、何かが茨木達の後ろを通り、そのまま地面に墜落した。茨木童子と星熊童子が恐る恐る顔を上げると―――
「っ!!!!? 姉さん!!!」
そこには全身傷だらけで気を失った酒呑童子が、仰向けに倒れていた。茨木童子が真っ青になって駆け寄り、ありったけの力を込めて回復魔法をかける。
「嘘だろ!? まさか、頭がやられるなんて・・・」
「う、う~ん・・・」
その時、気を失っていた金童子が目を覚ました。
「金童子!気が付いたか!」
星熊童子はすぐそれに気付き、金童子の元へ駆け寄る。
「筆頭じゃないか!こんなところで何を? と言うかここは?」
「例の小娘を誘き出した辺りだな」
「そんな所まで飛ばされていたのか・・・。今すぐ戻らないと、うっ!!」
村へ向かって歩き出そうとした金童子だったが、立つことすらできなかった。
「無理すんじゃねぇ。お前は俺と茨木の力でどうにか一命を取り留めただけだ。まだ戦える体じゃない。それに・・・たった今、俺達の敗北が確定した」
「おいおい、急に何を言い出すんだい? あれ、そういえば頭領と副将は? 一緒じゃないのか?」
金童子の言葉に、星熊童子は黙ったまま酒呑童子の方を指差す。そこには、今も懸命に彼女の治療にあたる茨木童子の姿があった。
「・・・・・・!!!!!」
あまりの衝撃に、金童子は言葉を失ってしまう。ちょうどその時、酒吞童子を倒した張本人であるカルメラが、3人の前に姿を現した。
*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*
※ミカエル視点
我々が『時空跳躍』で移動すると、そこには、気絶し倒れた酒吞童子、酒吞童子を介抱する茨木童子、黙って2人の方を指差す星熊童子、そしていつの間にか目を覚ました金童子の姿があった。
(・・・何か、通夜みたいだね)
〔失礼ですよカルメラ様。酒呑童子は生きてます。そもそも誰のせいだと思ってるんですか?〕
(ぼ、僕達です・・・)
〔とりあえず、このまま放っておくわけにもいきませんし、早く連行してしまいましょう〕
(そうだね)
「え~と、ちょっと良いかな?」
とりあえず話を進めるため、カルメラ様が3人に話しかけた、その時―――
「おのれぇ・・・小娘がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
金童子が地面に手を叩きつけ、液状の黄金を大量に生み出す。それらは黄金の龍の形を成し、その全てが我々に迫ってくる。
「『幻想盾結界』」
カルメラ様は複数の『赫灼幻想盾』をドーム状に展開し、黄金の龍を全て防ぐ。
〔普通に攻撃防いでますけど、もう戦えないんじゃなかったんですか?〕
(それは白兵戦の話だよ。スキルなら動かなくても使えるから、自衛くらいはできるよ)
自衛どころの話ではない。今のカルメラ様はスキルだけでも充分すぎるほど強い。茨木と星熊をスキルだけで倒せたのがその証拠だ。加えてスキルを使うのに必要な魔素も、『魔素増強』で幾らでも補填可能。計算上はその場から一歩も動くことなく、大陸を3つは消し去れるだろう。
「頭領の、仇ぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
そんな恐るべき破滅の使徒と化したカルメラ様を相手に、金童子の攻撃は尚も止まらない。黄金の龍はさらに数を増し、攻撃も重く激しくなる。既にまともに戦える状態ではないはずなのに、金童子の攻撃は衰える様子がない。
〔・・・とっくに限界を迎えている体を、怒りの感情で無理矢理動かしているのですね〕
(ゴブリン達には嫌われていても、仲間の鬼達には凄く好かれていたんだね。でも、困ったなぁ。これじゃあお話どころじゃないよ・・・)
「絶対に許さない!!!絶対に―――」
「やめろ!」
茨木の叫び声が響き渡り、金童子の攻撃が止まる。
「なぜ止めるんだ副将!? コイツは頭領の仇だぞ!? しかも今は弱ってる!今なら簡単に―――」
「それを頭領が望むと思うのか!?」
「っ!!」
「頭領が負けた以上、我々の完敗だ。頭領は真っ直ぐな人だ。組織の長として、潔く負けを認めるだろう。なのに、部下である我々が負けを認めず、後出しなんてしてみろ。頭領の顔に泥を塗ることになる!」
「・・・・・っ!!!」
金童子が黙り込んでしまう。茨木の言うことが正しいと気付いたのだろう。
〔そうだとしても、怒りというのは簡単に抑えられるものでしょうか?〕
(・・・強い人なんだね。金童子は)
〔・・・えぇ〕
怒りというのは、抑えるのが非常に難しい。ワタシも先程、それを身を持って経験した。単純な実力はともかく、その怒りを押し留められる金童子は、確かに心の強い人なのだろう。
「カルメラ殿」
わざわざ治療の手を止めてまで、茨木が話しかけてくる。
「それは止めなくて良いよ」
「っ!すまない、助かる」
茨木が回復魔法を再び発動しつつ、話を続ける。
「先程は仲間が悪かった。非礼を詫びさせてほしい」
「気にしないで。覚悟はしてたことだから。それに・・・君だって僕が憎くてしょうがないんじゃないの?」
「・・・もちろん!!」
茨木の怒りが上昇する。ギリギリと奥歯を噛みしめる音が、こちらまで聞こえてきた。
「・・・だがさっきも言った通り、頭領の顔に泥を塗るわけにはいかない。我々はあなたに、否、あなた方に全面降伏する。こちらから始めておいて図々しいのは百も承知だが、一緒に村での戦いを止めて貰えないだろうか? これ以上は犠牲を増やしたくないんだ。頼む!」
「茨木・・・」
「副将・・・」
治療のために頭を低くしていた茨木が、さらに頭を下げる。そんな茨木を見て、星熊と金童子も頭を下げてきた。
「わかった。これから村まで転移するから、一緒に来て」
「心得た。星熊、2人を連れてきてくれるか?」
「任せとけ」
星熊が左肩に金童子を、右肩に酒吞童子を抱える。そして茨木が星熊の右に立ち、絶えず治療を施し続けながら我々の傍まで来た。
「じゃあ、行こうか」
「頼む」
そして我々は再び『時空跳躍』を発動し、村の近くまで飛ぶ。
―――村では、ゴブリンとオーガの戦いが続いていた。リベル達も戦闘に加わったことで、戦況はゴブリン側が有利。既に全体の4割以上のオーガが倒され、オーガロードも数人討ち取られていた。もちろんこちらも被害ゼロとはいかない。既に半数近いゴブリンが重軽傷を負い、死者も多数いた。
〔・・・・・・〕
ゴブリン達の亡骸を見た途端、心がズキズキと痛み始める。この辛い感情は・・・
〔―――悲しい〕
仲間を守りたい。カルメラ様のその思いに共感し、ワタシも仲間を守るために戦っていた。でもワタシは、仲間を失う辛さまでは理解できていなかった。仲間を失うというのは、これほど辛いことだったのか・・・
『・・・・・・』
ふと見ると、茨木達は仲間の亡骸を目の当たりして、涙を流し始めている。彼らも、仲間の死を悲しんでいるのだと、すぐにわかった。
(これが戦争だよ)
〔っ!!〕
(ミカエルちゃんは戦争を経験してるみたいだけど、大切に思う仲間達と一緒に戦争に参加するのは、これが初めてなんじゃない?)
〔はい・・・正直、舐めていました。犠牲が出ることはわかっていましたが、その覚悟が足りませんでした〕
(幾人もの犠牲者を出し、複数の組織が互いの主張を押し付けあう。それが戦争。長引けば長引く程お互いに犠牲者は増えて、沢山の悲劇を生む。だからこそ、早く終わらせないと!)
〔はい!〕
カルメラ様がゴブリンとオーガ用の『統率』を発動する。ワタシは風魔法を発動し、カルメラ様の声が大きく、遠くまで響くよう調整した。
《全員止まれ!!》
カルメラ様の声が村中に響き渡る。戦場の音を全て掻き消し、その声はその場にいた全員に届いた。
「カ、カルメラさんだ!」
「カルメラさ~ん!!」
「見ろ!副将達だ!」
「何で人間のガキと一緒に!?」
ゴブリンも、オーガも、全員がこちらに気付き思い思いの言葉を口にする。だが、カルメラ様が話し始めると、その声がピタリと止んだ。
《皆!聞いてほしい!鬼達の頭領「酒呑童子」は、僕とミカエルの2人で撃破した!》
『っ!!!!!』
《同様に、副将「茨木童子」と四天王筆頭「星熊童子」も、ミカエルの手によって倒され降伏!村へと進軍していた熊童子、虎熊童子、金童子の3名も、カイザー・リベル・トモエ・アサミ・ユグノー・マリアの6名が撃破!敵の主力は完全に潰した!》
そして一呼吸おき、カルメラ様は声を張り上げて宣言する。
《ゴブリン諸君!この戦い、我々の、勝利だぁぁぁぁ!!!!!!》
『ウオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』
カルメラ様の勝利宣言に、ゴブリン達が勝鬨を挙げる。対するオーガ達は、自分達のトップ3がやられたことに大いに困惑していた。特にロード達は、口々に色々なことを言っている。
「う、嘘だろ? 頭領達が!?」
「バカな!そんなことあるはずねぇ!!」
「け、けどさ、星熊の兄貴が抱えてるのって・・・」
初めは疑う者もいたが、やがて全員が敗北を受け入れ始める。
《オーガ諸君!今ここで降伏するというなら、カルメラの名において、僕はそれを受け入れる。捕虜にはなってもらうが、命までは取らない。仇討ちを望むというなら、それもかまわない。ただし、手加減はできないぞ!》
そう言ってカルメラ様は、全力で―――ただし誰も気絶しない程度に―――覇気を放出する。あれだけ戦って消耗した後だというのにその覇気は凄まじく、すぐ近くにいた茨木達が青ざめていた。オーガやオーガロードはというと―――
「ガ、ガァァァァァ!!!?」
「ヒィィィィィ!!! お助けぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「は、ははは、終わりだ・・・あははははははははは!!!!!!」
・・・恐慌状態に陥っている。中にはあまりの恐怖で錯乱する者までいて、大騒ぎとなってしまった。
「・・・・・・やりすぎた?」
〔それで済むとお思いですか?〕
ワタシは『光魔人形』を1人作り出し、それを銀の長髪の少女の姿にする。そして視点を『光魔人形』に移し、直接動かしてカルメラ様の脳天に全力の拳骨を食らわせてやった。
ゴキンッ―――
と、実に鈍く良い音が鳴った。
「いっ、たぁ!!!!何すんのさ!!?」
「お仕置きです」
「もうちょっと加減してくれても良くない!?」
「その言葉、そっくりお返ししますよ」
「うぐっ・・・!!!」
カルメラ様は言葉に詰まってしまう。自分が加減を誤って、今の事態になっていることは理解しているようだ。
「それで、どうするんですか、これ?」
「え、それ一緒に考えてくれないの?」
「いつもそうしてたら、カルメラ様は甘えん坊さんになってしまいますからね。たまにはお一人で考えていただきます」
「こんな時にスパルタ!?」
「こんな時だからこそです」
「むぅ、ミカエルちゃんのいけずぅ・・・」
そして何とかこの場を収めようと必死になって頭を巡らせ始めるが、こういうのはカルメラ様の大の苦手分野だ。簡単に名案が思いつくわけもない。
終いには―――
「ねぇ、助けてくんない?」
「え!? 私!?」
と、よりにもよって茨木に助けを求めてしまう始末。
「お願いだよ!助けてよぉ~!!」
「いや、何を言ってるんだあんたは!? こちとら敗軍の将だぞ!? 私に任せたら、あんたの面子が立たないだろ!」
「そんなの気にしないから、助けて!!」
「ゴブリン共の大将はあんただろ!? この場を収めるくらい自分で―――」
「大将でも、無理なものは、無理ぃ~~~~~~~!!!!!!!」
『・・・・・・』
茨木に擦り寄って弱音を吐くカルメラ様の、なんと情けないことか・・・。あまりの情けなさに、ワタシだけでなく、茨木達までもが呆れて物も言えなくなる。遠巻きに見ているゴブリン達も、言葉が出ないと言う様子だった。
「はぁ・・・仕方ない。このままあんたに任せても埒が明かないし、この場は私が収めてやる」
「本当!? ありがとう!じゃあ、ごめんだけどよろしくね!」
「わかったよ」
そう言うと茨木は、未だ恐慌状態のオーガ達に向けて声を上げる。
《お前ら落ち着け!》
茨木の声を聞いて、オーガ達が落ち着きを取り戻す。たったそれだけで、茨木がオーガ達にとって、非常に頼れる存在であることが良くわかる。
《この人は別に、我々を皆殺しにしたいわけじゃない!『挑んでくるなら相手する』、そう言ってるだけだ!》
「そ、そうか、そういうことか・・・」
「死ぬかと思った・・・」
《正直言って、私としては今すぐ仇討ちをしたい。だが、それは頭領の顔に泥を塗ることになる。それに・・・悔しいが、我々では束になってもこの人には勝てない。間違いなく皆殺しにされる》
『・・・・・・・!!!!』
《私は頭領・四天王と共に、この人に降伏しようと思う。お前達はどうする?》
知能の高いオーガロードはもちろん、オーガ達にも迷いが生じている。彼らの気持ちは、少しだがわかる。仮にカルメラ様が誰かに倒され、ワタシが同じ状況に陥ったら・・・どちらを選ぶか、すぐには決められない。
「大分迷ってるみてぇだな」
「まあ、当然だろう。すまないがカルメラ殿、少し待ってもらっても良いか?」
「大丈夫。すぐに決められるなんて、思ってないし。それに僕としても、ちゃんと考えてもらいたいからね」
その時、後ろから声が聞こえて来た。
「―――ったく、そんなんで良く統治者のことを語れたもんだ」
『頭領!』
見ると、星熊の右肩に担がれた酒呑童子が、いつの間にか目を覚ましている。どうやら、寝たフリをして我々を観察していたらしい。
「おうお前ら、生きてたか。ボロボロみたいだが」
「ああ、ピンピンしてるぜ!」
「嘘つけ、全身傷だらけじゃないか。私はもう動くことすらできないよ」
「頭領こそ、生きてて良かった・・・!いえ、ご無事で何よりです!」
「こんな時くらい、フランクになれよ茨木」
「ダメです。他の者達もいるんですから」
「固い奴め。まあ良い、それより―――」
カルメラ様をキッと睨んで、酒呑童子は続ける。
「見てたぞ、お前。あれだけ『民に好かれる統治』のことを語って、あたしを真っ正面からぶっ飛ばしてその力を証明しておいて・・・ちょっとした問題も1人で解決できず、挙げ句敵に助け船を求めるとは。仮にも一軍の大将として、恥ずかしくないのか!?」
「恥ずかしい? どうして??」
「なっ、どうしてだと? 敵に弱点を晒しまくって、しかも敵に助けられたんだぞ? それが恥じゃなくて何だってんだ!?」
「それはわからないけど、少なくとも恥じゃないと思うよ? だってこの世に、弱点の無い人なんているわけないんだから」
「何?」
「誰にだって弱点はある。例えば、僕は政治的な駆け引きが苦手。ミカエルちゃんは感情の制御が不慣れ。茨木さんはパワー不足。星熊さんは力に頼りすぎ。そしてあんたは、同族以外を信じられない」
「っ!」
「あんた、お父さんが部下に裏切られたって言ってたよね? それがトラウマになってんじゃないの? それで同族だけを仲間として信じて、他種族は皆部下――というより奴隷――にして、恐怖で支配しているんじゃない? 裏切られるのが、怖いから」
「それは・・・」
どうやら図星らしく、酒吞童子は言葉に詰まってしまう。確かトラウマとは、忘れることのできない恐怖体験のことだったはず。と言うことは、彼女にとって『父親が部下に裏切られた』ことは、恐怖体験として刻まれているのだ。
〔そして今も、彼女はその恐怖に支配されているのですね〕
(そうだね。だから彼女なりに、誰にも裏切られないようにしようと頑張ったんだ。やり方は最悪だったけど)
完璧な恐怖による支配に拘る彼女自身が、誰よりも恐怖に支配されていたとは、何とも皮肉な話だ。
「まあともかく、僕が言いたいのは『出来ないことと、誰かに頼ることは恥じゃない』ってこと。最初はできなくて当たり前。そこからいっぱい練習して、少しずつできるようになれば良い。それで無理だったとしても、そういう時は仲間を頼れば良いんだから。だから僕は、相手が味方だろうが敵だろうが、必要とあらば絶対に助けを求める!無理して全部1人でやろうとしたりする方が、よっぽど良くないからね!」
「・・・・・・」
1人、か・・・
思えば、帝国のAIとしてのワタシは、ずっと1人だった。共に戦う兵士達は駒としか見ていなかったし、陛下のことも、ただ命令に従う相手としか認識していなかった。もしもワタシに仲間がいたなら、世界を滅ぼしてしまうことも、陛下を自害に追い込むことも無かったのだろうか・・・
いやそもそも、心が無かったあの頃のワタシに、仲間などできただろうか?
〔・・・心、芽生えて良かったです〕
今なら心の底からそう思える。
『副将殿!』
突然聞こえてきた大声に、ワタシは現実へ引き戻される。考え事をしている間に、オーガ達が結論を出したようだ。
《答えは決まったか?》
『はい!』
《今一度聞くぞ。降伏するか? 戦うか?》
『―――我ら一同、カルメラ殿に降伏致す!』
オーガ達が地面に片膝を付き、深々と頭を下げる。こうして、酒呑童子率いる鬼・オーガ達との戦いは終わった。




