表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

いつも進展は突然に。

僕には友達がたくさんいる。自慢である。将来一緒に暮らしたいとまで思える親友がいる。自慢である。高校一年生の4月末現時点、恋愛は3回敗北している。不幸自慢である。


ここまでの道のり15年。まあ普通の人生を歩めているんじゃないだろうか。そんなところでこの僕、薄野すすきの佐久間さくまには最近気になっている人がいる。え?3回も負けて懲りないのかって?...まあ人の感情は難しいもので普通にそういう人間だと思ってくれ。

気になっている人というのは窓側の後ろから二番目の彼女。この上なくうるさく、僕が見る限りではいつも元気だ。気になっているといってもまだ話したことはなく、休み時間に楽しそうに話しているところを少し見るくらいだ。言葉にするとキモいのでもうやめようと思う。

昼休み、自販機の前。僕は水分を家から持ってくることを忘れたことに気づき、もうすぐなくなる今月分のお小遣いに思いを巡らせながら120円のお茶を選ぶ。

「そんなに渋るなら水買えばいいのに」

「...へ?」

僕が気になっている彼女、白露しらつゆ天音あまねとのファーストコンタクト。まずいぞ。間抜けな声が出てしまった。

「だってさー、お金やばいんでしょ?だったら10円安い水選ばない?ふつーさ」

「財布の中身は危ういが、それはそうとして僕は10円だしてお茶を買う派なんだよ」

「マイノリティだねー」

と、言いながら彼女は180円のコーラを選ぶ。富豪だ。

「あんまり意味はない。逆張り精神があるのは若い人間のさがだよ」

「言ってて恥ずかしくないの?」

「マジョリティよりも住み心地がよくてね」

「言い方変えただけじゃん」

僕は少しの笑いをお茶とともに零す。彼女は僕に失態を取り返す暇を与えずに続ける。

「同じクラスだよね。そろそろ男子と絡もうと思ってたんだー」

「わざわざ自販機まで僕を追ってきたの?」

「違うよー!友達に彼氏ができたんだよー。これからはそっちとお昼を食べるって言うから一人寂しくせめて中庭で食べようかなって」

「思ったよりネガティブな理由だったから教室に逃げようかな」

「じゃあまたねー。ラインだけ交換しとこ!」

調子に乗って下手なことを言ったせいで一緒に昼ごはんを食べるというイベントを逃した自分を悔いつつ、いきなりのライン交換というイベントの発生に歓喜しながら教室に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ