表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2 私が嫌いな人は私を好き

「そういうところだろ」


答えたのはミッシェルではない。


リオン・ゴールド、私が嫌ってる男。黒い髪に意思の強い黒い瞳、性格も野心的。粗野で言葉も荒いが要所要所での動きが洗練されているためとにかく人の目を惹きつけ、この男に憧れてる人間も多い。


この男は現王の従兄弟の息子でミッシェルとは親戚。王位継承権は十六位だが才覚を評価されており、この国の要人になるだろうと皆が思っている。


「『そういうところ』とは、どういうことですの? そもそも話の横入りはマナー違反ですのよ」


そう反論するとゲラゲラと貴族にあるまじき笑い方をして、


「口調は変わっても中身は全然変わってないな。目つきも昔と同じだ」


幼馴染、腐れ縁とはこういうところが嫌なのだ。人の埋めたくなる過去を簡単に掘り起こしてくる。犬か。ミッシェルの昔話ならいくら思い起こしても素敵なのだが。


「なんのことか()()わかりませんが、今はミッシェルに話しかけているのです。用があるのならあとにしてくださいね」


嫌な男から目をそらして好きな男性の方に向き直ると、そこには誰もいなかった。


「あ、逃げた」


「あなたが余計な口出しをするから、ミッシェルが呆れてしまったのではないですか」


何も逃げなくていいのにとモヤモヤしながらも、この男はミッシェルが私を避ける理由を知ってそうなので、仕方ないが聞いてみることにする。


「あなたのせいでミッシェルから答を聞く機会を逃してしまいましたわ。代わりに教えて下さいね。わかると言うのなら」


「知らねえよ。でも、そういうとこだろ、想像するに」


「そういうところ、とは?」


「だから、その押しの強さだよ。口調や仕草だけだと隠しきれてない。俺は好きだけどな」


恥も衒いもなくそう言ってのけ、にっと笑って白い歯を見せる。周りにいる令嬢のみならず令息までキャーと黄色い声を上げている。


この場には親しい友人たちしかいない。そしてこのやり取りは毎度のことでもあった。この男は人前でよく私に告白をするのだ。


私は耐えきれずため息をついてしまう。


「私はあなたのその雑なところが嫌いですけどね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ