2話 ペレラン、運命と出会う!
不定期更新ですが、興味があれば評価などよろしくお願いします
「しゃんしゃん歩け」
「だって、さっきからめちゃくちゃ見られてますよ〜」
風呂から上がって、町外れにある色街に入ってから人しか居ないはずなのに、ゴブリンやウルフみたいなめちゃくちゃ視線を感じる。
「まぁな。嬢だって、ヤるならツラが良い奴とヤりたいだろうしな」
「俺は、そこまでですよ。ご主人様の本邸に居た人達は俺より美男美女だらけでしたし」
「そりゃ、帝国はエルフの国だからな。美男美女ばっかりだろ」
ご主人様もお美しいかった。湖のように澄んだ水色のぱっちりとした瞳に自然をを体現したような青緑のウェーブがかかった長い髪。最初にお会いした時は神様かと思ったけど、実際は実験狂いの魔法使いだったけど……うん、忘れよう。
「マークとペレランじゃんけ、あっなるほどなるほど。ペレラン、楽しめよー」
「何で、俺だけなんだよ!?」
最悪だ、お喋り好きの奴に見られた。明日にはギルドで色街に来たことが広まってる。受付のお姉さん達にまた弄り倒される。もう嫌だ。
「どんまい、ペレラン」
「どんまいじゃあないですよ! 何で、マークさんが他人事なんすか!?」
マークさんは他人事みたいにこっちを見て、ニヤニヤと笑ってるし、今度、息子さんが帰ってきたら、マークさんをボコボコにする依頼をお願いしよう。
「おっ着いたぞ~」
「……森の番人?」
マークさんが指差したお店は看板には森の番人って書いてあって、その横にはウッドゴーレムの絵がある。
「俺が世話になってる店だな。もっと奥にある高級店の森の賢者のグループ店で、小金持ち用の店だな」
「そ、そうなんですね」
平常時と変わらないマークさんが憧れというより怖い。あの人、どんだけ来てるんだ?
「あら、マークさん。3日ぶりね、今日は可愛いお連れさんも居るみたいね」
「おい、日数を言うなよ。こいつ、嫁さんに懐いてるからチクられるだろう」
「ありがとうございます、お姉さん!」
よし、これでマークさんの奥さんに報告して、説教して貰える。受付らしきお姉さん、ありがとうございます!
「あらあら、最近は私を指名してくれないから、イジワルしちゃった。許してね」
「もう止めてくれよ〜 まぁ気を取り直して、ペレランは若めでお姉さん系を。俺は「私ですね〜」おい、好みを言う権利くらいよこせ」
「薄情者にはありませんね〜」
「ハイハイ。俺は3時間でこっちは一泊で」
「太っ腹〜。良かったね、おチビさん」
「チビではありません。成長期はこれからです」
受付のお姉さんは最初は優しい人かと思いましたが、意地悪そうです。お店の中に入るとまるで宿屋みたいだけど、各部屋というかこの建物自体に内容までは分からないけど、魔法がかけられてる。
「5番に私が入るから。後、3番にソフィーを呼んで来て」
「かしこまりました」
あのお姉さんがスタッフさんにめちゃくちゃ指示を出してる。もしかして、偉い人なのかな。
「あいつ、元々は森の賢者でランキングに入って、一晩で1ヶ月は働かなくても良い額を稼いでいたんだが、男とヤりたいって理由でこっちに来たらしいわ。
この店でも結構な額を払わないと遊べないけどな。流石はサキュバスって感じだわ、恋愛感情とかより躰の相性でパートナーを決める種族。
因みに奴のお気に入りの1人が俺らしいわ。他の店で遊んで、会って無かったら、わざわざ自宅にお手紙を送ってきやがって、嫁さんに殺されかけた」
「それはマークさんが悪いですね!」
「分かってるわね、おチビさん。お部屋の準備が出来たから、ご案内〜」
マークさんが反論する前にサキュバスのお姉さんが連れていってくれた。なんかぎゃあぎゃあ言ってるけど、知らね。それにしても、俺はどうするんだろう。
「お客様、ご案内致します」
「あっはい」
良かった。ここで待ちぼうけを食らうかと思ったけど、すぐにスタッフさんが案内してくれた。それにしても緊張する。
「それでは女の子が来ますので、少々お待ち下さい」
「あっはい」
さっきから同じ言葉しか言えてないよ。めちゃくちゃ緊張する。ボックスの中に飲み物あったけなぁ?
「やっぱりハーブティーは美味しいな〜」
ドアがノックされる音で吃驚して、お茶を溢しそうになったけど、何とか耐えた。
「は、はい。どうぞ」
「失礼致します。本日はお呼び頂きまして、ありがとうございます。私はソフィーと申します。お客様をなんとお呼びしたらよろしいでしょうか?」
目の前に夜の女神が居る。まるで夜の空のように暗く、全てを包み込むような長い黒髪、瞳は金色に輝いていて、孤独であるが気高さを失わない夜の女王たる美しい月のようだ。
豊穣と繁栄の神像のように大きく張りがある胸、抱きしめたら壊れそうな腰に揉みたくなるようにお尻。
「……綺麗」
「ふふふ、ありがとうございます」
ソフィーさんは笑顔で俺の横に座った。いい匂いがする。なんだろう、懐かしい。金木犀の香りに似ている。
「お客様はなんとお呼びしたら、よろしいでしょうか?」
「ペレランって言います。呼び方はお任せしても良いですか?」
「じゃあ、レン君とお呼びしますね」
レン君。そう呼ばれたのは初めてだったけど、胸がドキッとして痛くなるくらいに心臓が凄い勢いで鼓動してる。ソフィーさんの顔が見れない。
「レン君はこんな感じのお店は初めて?」
「はい、初めてです」
「やっぱりかぁ、凄く緊張してるもんね」
この感じはあれだ。ギルドのお姉さんにからかわれる時に似ているけど、全く嫌な感じはしないし、少し嬉しい。
「エッチなことも初めて?」
「……一回、経験があります」
「えっ意外だね」
解放される二日前にご主人様が急に部屋に入ってきて、魔法で抑えられて抵抗は出来なかった……その後にご主人様から呼び出された師匠も一緒になってした。師匠は部屋を出ていく時に泣いていたような気がした。
「ちょっと無理やりされちゃいました」
「辛いこと聞いちゃったね、ごめん」
ソフィーさんが抱きしめてくれて、頭を撫でてくれた。匂いと柔らかい胸に埋まり、凄く落ち着く。
「じゃあ、お姉さんと気持ち良くなって、昔のことは忘れようね」
「……はい」
ソフィーさんにベットの上に押し倒されて、服を脱がされていく。俺はこの日のことを生涯、忘れない。
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「凄かったね、レン君」
「色々ありがとうございます」
「気にしないで、優しそうなレン君があんなにイジワルだったとは思わなかったけどね」
朝はソフィーさんの胸の中で起きた。普通なら逆にだと思うけど、ソフィーさんの方が身長が高くて、俺が抱き枕にされた。柔らかくて、良かったけどね。
「じゃあ、体を綺麗にしようか」
「自分で出来ますよ!」
「いいのいいの。お姉ちゃんに任せなさい!」
ソフィーさんは魔法で出した水でタオルを濡らし、俺の体を隅々まで拭いて、耳と首を執拗に攻めてくる。
「や、止めて下さい、ソフィーさん」
「ふふふ、弱点だもんね」
大人で女神のように優しそうな見た目だけど、中にはイタズラ好きの小悪魔が居ることを俺は知っている。
「じゃあ、ロビーまで送るね」
「……はい」
そうか、時間が来たら会えないよな。寂しい、めちゃくちゃ寂しい。この手を離したくないけど、ソフィーさんに迷惑がかかる。
「そんな顔されたら、私も寂しくなっちゃうよ。何時でも居るから、また遊びに来てね」
「はい、頑張って来れるようになります!」
そうか。金さえあれば、ソフィーさんと会えるのか。でも、Cランクの依頼だと通えるだけの資金にならない。なら、高位ランクになるしかない。よし、頑張る…ぞ…。
「頑張ってね」
「そ…ソフィーさん」
いろいろ考えていたら、頬に柔らかい感触と知っている匂い。ソフィーさんが頬にキスをしてくれた。俺が何か言う前にソフィーさんは笑顔を見せ、お店に戻って行った。
「頑張るしかない」
俺ことペレラン=デザストル。愛すべき人の為に全力でお金を稼ぎます。
「あんたの好みだったでしょ」
「はい、とても」
「マークに聞いたけど、あの子、かなり将来有望らしいわ。ギルドの受付も狙ってるらしいわ」
「私には関係ありませんよ」
「あんたはそう思ってるかもしれないけど、あの子は分からないよ?」
「……」