1話 ペレラン、Cランク冒険者になる!
災厄の梟の合間に書いていきますので不定期になります。
「ペレラン=デザストル様、試験依頼の完了しました。おめでとうございます、本日よりCランク冒険者です」
「ありがとうございます」
俺はギルドが用意した試験依頼を無事に終えて、Cランクの冒険者になった。剣と魔法が使えたおかげでFランクからここまで他の人より少し早めにランクアップすることが出来た。
「ペレランッ! 良かったなぁ〜」
「ありがとうございます、マークさん。マークさんのおかげでここまで来れましたよ」
このギルド支部で新人の面倒を良く見てくれているCランク冒険者のマークさん。俺も面倒を見て貰っている人で結構美人な奥さんも居て、お子さんは王都でAランク冒険者をしている。
「おい、分かってんだろ。今日は?」
「マジで行くんすか? また、奥さんに怒られますよ?」
面倒が良く評判が良いマークさんだけど、欠点が一つ。男の後輩の昇格祝いに風俗に連れて行くことだ。奥さんに行ってる事がバレて、奥さんの依頼で帰って来ていた息子さんにボコボコにされていた。
「今日はちゃんとお前を連れて行くと行ったら、許可を貰えたから大丈夫だ」
「それって、俺の料金を払ったら帰っこいという意味では?」
「そんな訳無いだろう。行ったら、楽しまないと失礼だろ」
マークさん、そういうことは大きな声で言わないで下さいよ。受付嬢の皆様の視線が痛いっす。
「さて、飯食って、風呂を済ましたら行くぞー!」
「そんなに引っ張らないでくださいよ〜」
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「えっマジすか? ここ、雷豚亭じゃあないですか」
「お前、行きたいって言ってただろ?」
「ありがとうございますッ!」
この街でオーク肉料理で1位2位を争う名店雷豚亭、行列で入れないこともあるが、高めでなかなか来る勇気が無くて、来れてなかった店!
流石はマークの兄貴だわ、直接言ったら調子に乗るから絶対言わないけどね。
「お待ちしていました、マーク様。どうぞ、店内に」
「ありがとう」
めちゃくちゃ並んでるのに、通して貰えた。予約でもしてたのかな?
「マークさん、予約してたんですか?」
「一応な。ここに俺がオーク肉を卸してるから優先的に席が予約出来るってこともあるがな」
「なるほど、ありがとうございます。兄貴」
マークさんは気にするなと俺の背中をバシバシと叩いているが、少し照れてるような気がする。
「さて、何を食う?」
「そんなの決まってますよ、雷豚亭に来たなら雷豚セットでしょう!」
俺の興奮度合いにマークさんは凄く笑ってるけど、これを食べた同期に自慢されて、どれだけ悔しい思いしたことか。奴は万死に値いする。
マークさんは慣れてる感じで雷豚セットを2人分注文してた。大人になれば、あんな風にカッコ良さが出てくるのかな?
「とうとうCランクになったな、気分はどうだ?」
「そこまで実感は無いですね。護衛中に盗賊が襲ってきて、殺しましたが何も感じませんでしたね。ゴブリンと一緒の感覚でした」
「そうかそうか。盗賊はゴミだ。あんな連中を殺した所でゴミ掃除と一緒だ。いちいちこちらが疲弊していたら、話にならんし安心したぞ」
マークさん、ご両親を盗賊に殺されてるから賊への殺意が高いんだよな。Cランクでは商隊護衛とかの依頼が増えるから盗賊を殺さないといけないし、嫌な人はDランクで止まるか冒険者を辞めるかのどちらかだしね。
「おまたせ致しました、特製雷豚セットでございます。お好みで塩とこちらのソースをお付けになって、お食べ下さい」
「「はーい」」
と、届いた、夢にまで見た雷豚セット。メインはパンを削ったやつとコケの卵をオーク肉に纏わせて揚げる。これは絶対美味いやつ。
「そんなに見つめても腹には溜まらんぞ」
「分かってますよ、今から食います!」
先ずはオーク肉だけを。う、美味い。揚げてるからかなめちゃくちゃサクサクしてて、肉からは肉汁が溢れてきて、めちゃくちゃ美味い!
次は塩をかけよう、ウ~ン。美味いんだけど、こっちはかけても少し塩辛くなるくらいで変わらないな。
「塩はお気に召さないようだな」
「あんまり味が変わらないんですよね」
「まぁ、ペレランもまだ子供ってことだ」
「ふんッ! 冬にはもう14になる大人です!」
そういう所がまだ子供だと言って、マークさんは塩でオーク肉揚げを食べてる。次はソースで食べよう。お、美味しい!なんて言えば良いんだろう、ソースが甘くてしょっぱくもあって、ちょっとスライムっぽいけどそれがオーク肉揚げに纏わりついて、めちゃくちゃ美味い。
そういえば、同期が言ってたけど、この白粒ってやつにソースをかけたオーク肉を一緒に食うのが美味かったらしい。
これは最強。白粒だけだと味はしないけど、オーク肉揚げと一緒に食べたら、味も丁度良くなって、満足感も凄くある。とにかくめちゃくちゃ美味い!
「美味そうで良かったよ」
「毎日、食いたいくらいです! 本当に幸せです、マークさん」
「おいおい、今日のメインは今からだぞ」
食べ終わったマークさんが俺の方を見て、ニヤニヤしてるけど、風俗に行きたいのはマークさんでしょ。あんなに美人な奥さんが居て、何で風俗に行くんだろう。不思議。
「合計で7000シルです」
「はい、丁度」
「いつも、ありがとうございます。またの御来店をお待ちしております」
二人で7000シルってことは雷豚セット3500シルかぁ。今使っている宿屋がご飯有りで2500シルだからやっぱり高いなぁ。
ワーウルフが一匹魔石込みで1250シルの買取だから約三匹分か。毎日は食べれない。トホホ。
「さて、風呂に入りに行くぞ〜」
「了解です、兄貴」
「飯の値段を聞いた途端、調子のいい奴め」
「テヘ」
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「やっぱり風呂は気持ちいい」
「ですね~」
二人でのんびりと風呂に入ってるけど、それまでが大変だった。爪を切って、マークさんに全身念入りに洗われて、逃げれなかった……
「そういえば接触はあるのか?」
「ご主人様ですか? 最近は無いですね。流石に国を越えたら接触が無いと思ってましたが、この街に来てすぐに手紙が来たのはびっくりしましたよ」
「震えてたもんな」
「用済みって言って奴隷から解放したのはご主人様なのに、寂しいや帰って来てなんて言われても帰りませんよ。こんなに自由なのに」
「だよなぁ。しかし、大陸最強の帝国の公爵令嬢様だろ? 本当に大丈夫なのか?」
「師匠も居ますし、ご主人様の暴走は止めてくれるはずです」
産まれた時から奴隷で5歳の時にご主人様に買われて、身の回りのお世話や魔法研究の実験台などをしてきて、恨んだこともありますが師匠に剣技を教えて貰ったり、実験が無い時のご主人様は優しかったので、案外良い思い出の方が多い気がします。
「やばいと思ったらすぐに言えよ。息子に言って、王都に逃がしてやる」
「その気持ちだけでも嬉しいです」
「さて、体も綺麗になったし、メインに行くか〜」
「了解ッス」
この日、俺は最愛の人と出会い、王国を東奔西走することになり、数多の誘惑や出会い、そして、過去からの追手と向き合うことになった。
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