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物語調の詩/短編

灰色の雪が降る空の下で

作者: 日浦海里

空に光を見たのはいつの頃だったか

見上げれば灰に染まった空がそこにある


空の色はどんなだったろう

スカイブルーという絵の具を見ても

水に溶かして紙に乗せても

どこか現実味を感じない


遠い昔の記憶には

確かにあったはずなのに

記憶は徐々に色褪せて

今の空のような灰色ばかりが広がっている



肺いっぱいに空気を吸ったのはいつの頃だったか

眼の前をちらつく雪はくすんでいる


雪の色は真っ白だったというけれど

肌に触れれば命の色を灯すその雪は

今はただただ煤けた色をしていて

積もることなく風に流されていく


地表に紋を描きながら

地上に咲いた命の輝きを吸って

水彩画のように淡い光を灯しながら

まるで別世界のような光景を残して


吐き出した息は

どこかくぐもった音を立て

白い煙を吐き出しながら

世界に散らばっていく


煤けた雪は

白い息と化合すると

星のように煌めいて

地面に流れて落ちていった


流れ星に願い事をすれば

願いが叶うらしいんだって


星の瞬く夜空なんて

それこそ物語の中だけの話になってしまって

それでもこの流れ星に願いを込めれば

いつかまた命の花咲く景色を見ることは叶うだろうか

生命の実が爆ぜて消えた世界で

生命の実に縋って生きてく


なんて矛盾と思うけれど

生きていればそんなことばかりだろ

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― 新着の感想 ―
[良い点]  世紀末に想う詩……  流れ星に願いをかけるにも、空を作る空気がなければ大気の層もなく星が流れる事も出来ず  雪は煤けて灰のようで肺に深くは吸えぬ空気の淀みと荒廃した世界を想起させます。…
[一言]  一面の灰色は、一面黒よりも虚無感があるように思えます。  何にも馴染む色だからこそ、何色からも徐々に変わり。  主張がない分、気付かぬうちに元の色が失われていそうです。  当たり前だった…
[良い点] 雪って降り始めは、舞い散る灰の様ですよね。 それが白く綺麗に見えるタイミングは…いつからでしょう。
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