表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

4、死亡フラグは健在のようです



御茶会の事件からおよそ1ヶ月

私は傷も治り、王宮内を自由に動けるまでになっていた。



そして私は何故か四六時中エイミーと一緒にいるようになっていた。

この1ヶ月間、一緒に御茶をしたり、本を読んだり、



木に登ろうとするエイミーを止めたり、


エイミーが壊してしまった花瓶を一緒に隠したり、


好き嫌いするエイミーを叱ったり、…etc.




私が一人になろうとしても後ろからエイミーがついてくるので、とにかく何をするにもエイミーが一緒なのだ。




今現在も、図書館で本を読んでいるとエイミーも横から顔を出して一緒に読書しているようになっている。




エイミーのほうへ顔を向けるととても良い笑顔を返された。

あら、可愛い。





…落ち着け、落ち着け(レナータ)現実逃避は良くない。

しかし、ここでエイミーに冷たくしたり、拒絶すると死亡フラグが立ってしまう。

鬱陶しいが険悪な関係になるよりか何倍もマシ!

危険人物が近くに居て落ち着かないことなんて我慢よ我慢。

頭が痛い事がバレないように全表情筋をつかってポーカーフェイスをつくることも忘れずにね!




悶々と読書していると誰かが図書館に入ってきた。



「エイミー、ここにいたのかい。」


「お父さま!」


エイミーは人懐っこい笑顔を浮かべて駆け寄っていく。

『その人物』は私の姿を見て一瞬目を細めたが次の瞬間にはエイミーに向けて優しい笑顔を浮かべた。


「エイミー、今日は何をしていたんだい?」

どうやら私の事は見ていなかった事にするようだ。



「今日はレナータと図書館で読書していたの!

レナータったらスゴいのよ。難しい本もスラスラ読めるのよ!」


「…そうか。」

そう呟き漸くこちらを真っ直ぐ見る。


「…ご機嫌麗しゅうございます、お父様。」


「…ああ。」

いかにも今気が付きましたよといった声を出す姿に内心わざとらしすぎると舌打ちする。



この人が私とエイミーの父親

そしてこの国の王、フィルマモン・ル・ソレイユ


この人はエイミーのことはとても可愛がるし、態度も甘い



が、



(レナータ)のことを見る目はとても冷たいし厳しい。

というか空気のように扱いである。

(因みに態度から薄々わかると思うが私もこの人が嫌いだ。)

いくらこの世界が乙女ゲームでそういう設定だとしても酷い父親だと思う。



そんなわけでお互いに嫌悪しあっている私たちは父娘といえど最低限の会話しかしない。

現に今、二人の会話は無言でブリザードが吹いているように冷たい空気だ。



「お父さまはどうしてこちらに?」


こんな時にエイミーが居てくれる事に感謝したい。

このブリザード(睨み合い)をものともせず笑っているエイミーには本当に助かった。


「お前たちを探していたんだ。少々伝えたい事があってね。」


「「?」」

()()

エイミーだけでなく(レナータ)にも用事があるとは珍しい。


「明日予定を空けておきなさい。

お前たちに会わせたい者たちがいる。」


「お客さまですか?」


「以前の御茶会のような事件を起こさぬようにお前たちに護衛をつけようと思ってな、シュバリィー家の者を呼んだのだ。」


ん?シュバリィー家?

その名前には聞き覚えがあるぞ。



「お前たちと歳が近いはずだが明日は粗相が無いように気をつけるのだぞ。」


「わっかりましたー!」

「畏まりました。」


そう言い残すとフィルマモンは図書館を去っていった。

私とエイミーもそれぞれの部屋に戻る事に。



私部屋に戻り、先程の言葉を思い出す。




シュバリィー家…護衛…兄弟……。




「思い出したー‼」


乙女ゲームの攻略キャラの二人だー‼




シュバリィー家は代代王家に仕える騎士の家系で私たちと同じ年の息子たちおり、エイミーとレナータの幼馴染兼護衛なのだ。




兄の名前がノブル

エイミーの護衛でゲーム内では最も人気のある攻略キャラクターだ。

頼りになるお兄ちゃんタイプで、騎士道を重んじる高潔で誠実な紳士。

長年、お馴染みとしても護衛としても供に暮らしてきた友愛がいつしか恋愛に変わっていく乙女ゲームの王道のようなキャラクターらしい。



弟の名前がリアム

レナータの護衛でこちらも中々人気があるキャラクターだ。

優秀な兄と比べられるあまり少し歪んだ性格に育ってしまい、レナータの護衛でありながら自分の存在を認めてくれたエイミーを徐々に好きになっていく手のかかる弟タイプ。

乙女ゲーム内ではいわゆる「病んデレ」キャラクターらしい。



そして一番大事な事は、この二人は直接手を下すタイプの死亡フラグだということだ!!!

それぞれのルートでバットエンドをむかえると、


ノブル()の場合》

①エイミーを国外追放しレナータは悪徳女王に!

②愛する人を失った悲しみとレナータへの怒りでノブルは国民とクーデターを起こす

③レナータは死刑になり、死刑執行人はノブル

④バットエンド『悪徳女王の果て』回収


リアム()の場合》

①レナータがリアムをとられた事に怒り狂いエイミーとリアムの仲を引き裂く

②エイミー失踪

③生きる希望を失ったリアムが発狂し、レナータを殺す

④バットエンド『狂気の連鎖』回収



つまり、(レナータ)は死ぬ。




「私にどうしろというのだ…!!」

机に両手を叩きつけ叫ぶ。



考えろ(レナータ)死亡フラグは直ぐそこだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ