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1、まず『前世』を思い出しましょう



私は今、後悔している

それはもうとんでもなく


何に後悔しているか数えるとキリがないが、

目の前の後悔は2つ。



ひとつは17歳という若さで死んでしまった事


もうひとつ親友がハマっていた乙女ゲームの攻略を右から左に聞き流していた事だ






私、山崎 優 (享年17歳)

死後、なんの間違いか運命のイタズラか親友がハマっていた乙女ゲームの世界に転生してしまったようです……。






まずは『前世』で私が死ぬ直前から思い出してみようと思う。


私は親友の美智(みち)と一緒に帰り道を歩いていたはずだ…





『…でねでね‼主人公を抱き寄せるスチルがカッコ良くて‼』


『ハイハイ、美智がゲーム好きってことはずーっと昔っからしてますよー。』


『もう優ったら‼ちゃんと聞いてよー』


『だって私興味ないんだもん。

美智のほうこそ気をつけなよ?

昔っから夢中になると回りが見えなくなるからいつか痛い目みるよ~?』


『またそうやって話反らす‼』


『ハイハイ、スミマセンデシタ』





そんな雑談をしながらいつもと同じ道を歩いていた。



突然、前方から悲鳴があがる。

顔を向けると男がこちらに向かって走ってくるのが見えた。

男は錯乱した様子で私達の方へ、



美智の方へ走ってきた




よく見ると男は手に包丁を持っていた


『美智危ない‼』

咄嗟に美智の手を引き、背中で庇う


そして背中に感じる強い衝撃

声も上げれぬまま体から力が抜けて美智へ倒れこむ


『………優?優⁉』


『ほんと…あんたって、危なっかしいんだから………。』


『優‼ヤダよ優‼‼』


最後に思い出せるのは背中に感じる熱さ

反対に体が徐々に冷たくなっていく感覚

そして自分の名前を必死に呼ぶ親友の泣き顔






…どうやら私の前世はそこで終わってしまったようだ



べつに彼女を庇って死んでしまった事を後悔しているわけではない。

ただ単純になにも伝えられなかった事が心残りだからだ。



産んでくれた両親へ感謝の言葉も言ってないし、

遺書なんて物も残していなかった。




そしてなによりも親友に死ぬのは君のせいではないと伝えたかった。

彼女は優しい子だから責任を感じて私のために泣いているかもしれない。

それがとても心配なのだ。





「…美智は私が思っているより強い子だからきっと大丈夫……。」


そう信じる事にした。

だって私は彼女の親友だから。






…それでは次に『今世』について考えようではないか。

いつまでも過去に現実逃避(ひたって)いたいがそうはいかない。


何故ならば前世を思い出すと同時に、この世界が前世の親友がやっていた乙女ゲームの世界であることを思い出したからだ。



ゲームタイトルは『Princesse mignonne』

フランス語で可愛いお姫様

その名前のとおりお姫様が主人公の恋愛シミュレーションゲーム




そして私も今世ではお姫様と呼ばれる立場にある。

しかし私は主人公ではなくその妹。




第二王女 レナータ・ル・ソレイユ


ゲーム内での役処は主人公の邪魔者だ。




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