2-2:なんで魔法少女なの?英雄=勇者的なモノじゃないの?
「え…?勇者じゃないのか…?聖剣とかで魔王と戦うんじゃ…?」
色々不安になり、恐る恐る聞いてみる。
自分が知っている異世界モノのラノベを思い出して…。
剣や魔物になっているのもあったが、大体は人だったはずだ。
しかも、チート系。
これは勇者フラグだと思ってたのだが、ルオルフの様子を見る限り違うのではないだろうか?
しかし、英雄になれと言われた。
(英雄って勇者とかじゃないのか?いや、魔王を倒す事で英雄になるって事か!?じゃあ初期装備無しの村人系主人公!?)
なんだか暗雲めいてきた。
自分の中の何かが、崩れていく感じがする。
しかも、思っている事が口に出ていたみたいだ。
俺の言葉を聞いて、ルオルフが焦ったように話始める。
「ああ、この召喚はこちらの世界の王城で行われてる事ですから!活動拠点は王城になると思うよ。装備等も、変身したら勝手に装備されるから!そこは安心してください!」
「変身…?変身系チート主人公…?」
「そ…そのチートっていうのはよくわからないけど!変身はできるよ!なんせ魔法少女なのだからね!」
「………魔法…?」
「少女!」
ルオルフは、うんうん!と満足気に頷いている。
いや、それはこの際放っておこう。
聞き捨てならない単語を聞いたような気がする。
衝撃がでかすぎて、途中までしか繰り返せなかった。
ご丁寧に、ルオルフの方が付け足してくれた。
元の世界にも、魔法少女を題材にした漫画とかはあったが、そういうのには興味が無かった。
むしろ、ネタとして聞いてたくらいだ。
(なんていうか…アレか?もしかして『僕と契約して魔法少女に…』ってやつなのか!?っていうかそもそも…っ!!)
「俺…っ!少女じゃねぇし!!!」
俺の訴えるような叫びに、ルオルフは驚愕の表情を浮かべる。
いやいや…とか、そんなまさか…とか独り言を呟いている。
こっちがいやいや、だ。
生まれてこのかた、女に間違われた事等一度もなかった。
童顔は童顔だか、女顔ではないと自負している。
「えっと…男の子で…?いや…逆に都合がいいのかな…?いやしかし…あ、でもそうなると何の心配もないのか…!うん!少女じゃなくても問題ないよ!!!」
俺が怒りに震えている内に、一人で勝手に納得したらしい。
良い笑顔で、俺に親指を立てている。
「いや!問題あるわ!!魔法少女って普通女がなるもんだろうが!なんで俺が!そもそもそんな趣味ないから!男の娘とかじゃねぇし!」
「いやいや、わからないよ?今は君だけが例外なのかもしれない、けど今後はそういう事が増えるかもしれないし!!男の娘ってそちらの言葉かい?良い単語じゃないか!!」
まさに君にピッタリだよ!なんて言いながら笑っている。
かなり迷惑の上に不愉快だ…。
笑っているルオルフを睨みつけていると、不意に真っ暗だった部屋がブレ始める。
「な…なな…っ!?なんだよこれ!」
「おっと…もうそんなに引き止めていましたか。詳細は王城についてからお話しますね!では、頑張って異世界ライフをエンジョイしてください!!」
「ま…まて!俺はまだ納得…っ!!」
ルオルフは、焦った様にまくし立てるとそう締めくくった。
俺が喋り終わる前に、目の前が眩く輝く。
そのまま、目も開けられないほどの光に包まれ、意識を手放した。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
天音りんごでございます。
なんか、神様の語尾が定まらなくてすみません。
フレンドリーにいくか、真面目にいくか困ってましたorz