2-1:なんで魔法少女なの?英雄=勇者的なモノじゃないの?
この世界に来る前、自称・神に会った。
この世界に来て、自称じゃない事を知った。
神・ルオルフ曰く『魔王サタニアを討ち倒し、この世界を救ってくれ!お前に、英雄となる力を授けよう。』との事だった…。
その時、詳しい話を聞けば良かったのだ。
うまい話には裏がある、とはよく言ったモノである。
魔王を討ち倒すとか、英雄になる力とか、心躍る単語にちょっと浮かれていたようだ。
あんまり、興味ない風に装ったから気付かれていないはずだ。
そんな、神とやらと会話した時の話だ。
「な…何だったんだ今の…。」
「やぁ、初めまして。」
「……お前は…誰だ?」
「私?私は神、ルオルフという者だ。」
「ああ、自称か。厨ニ病乙。」
「こらこら、なんだその可哀想な人を見るような目は。そんな目で私を見るな!」
バイト先から家に帰る途中、急に、強烈な光に包まれたのは覚えてる。
そして、次に目を開けた時、真っ暗な部屋(?)の中に真っ白な服を着た怪し気な男が立っていた。
自分で自分を神とか言うから、痛い奴なんだと思っていた。
だいぶ憐れんだ視線を向けていたらしい。
ハッとして頭を下げておく。
「まったく…。私は、自称などではなく本物の神ですよ?まずはそこを信じて頂きたい。」
「はぁ…。まぁそれは置いといてさ、ここどこなんだ?俺、自分の家に帰る途中だったと思うんだけど…。」
「俺……?まぁいいか…。ここは、狭間の世界。君が元居た世界と、これから向かう世界の間に位置する場所だ。」
「え?」
一瞬不思議そうな顔をするも、ルオルフと名乗る男は色々教えてくれるようだ。
あまりにも突拍子もない話に唖然としてしまう。
だが、そんな俺を尻目にどんどん語っていく神(仮)。
「君には、これから向かう世界で英雄になってもらいたい。魔王を倒す英雄にだ!最初から強い状態で、魔王と対峙できるんだぞ!中々選ばれる事はないし、貴重な体験もできる!これを逃したら、もう二度と呼ばれなくなるからね!まぁ、決定事項だから拒否権等はないがね!」
「ちょっ…!待ってよ!もしかして、今流行りの異世界無双的なやつ!?」
「え?食い付くとこそこかい?君達の世界では異世界無双っていうのが流行ってるのかな?似たようなものになるだろうね!でもまぁ……×▲○※」
神(仮)が、まだ話を続けているが、気が高ぶってそれどころじゃない。
最近Web小説やラノベでお馴染みの異世界転生もの。
死んではいないみたいだから異世界転移ものか。
しかも、最初から強い状態と言っていた。
チートで無双できると聞いて(そこまでは言っていない)、心躍らないものはない。
(まじかよ!俺も異世界チート主人公の仲間入り!?魔王相手に無双できるとか!?激アツじゃん!!)
「あ、そうそう!大事な事言ってなかったよ!目的をクリアしたら、元の世界に戻れるけれど、クリアするまでは戻れないからそのつもりで居てね。クリアしたら、戻るか残るか聞くよ。ああ、こちらで過ごした年月とかは、無かった事になるからそこは安心して!時間もそのまま戻れるからね!」
「え?」
そんな事を考えていると、ポンっと両手を叩いた神(仮)が呟く。
そこは流石に聞き逃さなかった。
魔王を倒すまで、元の世界に戻れないという。
時間経過も無かった事になるから、元の世界に戻ったらバイトから帰る途中になるという事だろう。
しかし…。
(戻れないか…。いやでも、こんな機会二度とないだろうし…。やるしかないか!)
「俺、魔王倒してみせるよ!倒してから大手を振って帰還してやる!」
「おお!君ならそう言ってくれると思ってたよ!た(まぁ、拒否権は無かったのだけれども…。)とにかく良かった!」
「ん?今、途中聞き取りづらかったけど何か言った?」
「いやいや!何も言って無いですよ。」
なんか言ってたような気がするが、気のせいだったみたいだ。
神(仮)はニコニコと上機嫌だ。
俺も、これからの事を考えるとワワクワクしてくる。
「で?俺はそっちの世界に行って、勇者として魔王を倒せば良いんだな?」
「え?」
意気込んで問うと、神(仮)が呆けた顔をする。
…何か嫌な予感がした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
天音りんごです。
間にあわないかと思いましたカタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ