1-2:魔法少女なんて納得いかないんだけど?
誤字・ふりがなを追記しました。
-パロネーの街-
眩い光に包まれ、地に降り立つ3人の少女。
「英雄様達が来られたわよー!」
「おお…!なんと神々しい…!」
「皆!お邪魔にならぬよう退避するのじゃ!」
街人達が、騒ぎ立てながら逃げていく。
お前達になど、興味はない。
俺が惹かれるのは、ただ1人…。
「来たか…!ハルカよ…!」
どんなに会える事を楽しみにしていた事か。
いつも釣れない態度で、素っ気なく対応されるのも悪くはないが、そろそろデレというものも味わいたい…。
俺、魔王サタニアがどれほどお前に恋焦がれているか…。
今日こそ俺の気持ちを受け取ってもらうのだ!
目の前に立つ、赤髪の気怠げな少女を見やる。
まさにパーフェクト!
俺の好みが全て詰まった少女だった。
(ああ…薄く紅に染まった、柔らかそうな頬…。ぷっくり膨らんだ唇…。サラサラの赤髪を後で纏めているのも高ポイントだ…!ぱっちりとした目には、どこか嫌悪の色が…。)
正直、今にも抱きしめたくなる衝動(衝動)にかられるが、嫌われたくないのでここは我慢だ。
前回現れた時、側に控える2人しか来なくて落ち込んだものだ。
戦いなどせず、すぐに帰って枕を濡らした。
あの時の辛さといったら…言葉では表せない。
「会いたかったぞハルカ…。前はユキジとナツナしか来なかったからな!それにどれ程落胆したか…っ!俺の相手をできるのは、ハルカだけなのだぞ!」
俺は、もの凄く傷ついたんだぞ、という悲痛な面持ちで目の前の少女を見つめる。
愛らしすぎて直視するのが辛いが、俺がどれだけハルカの事を思っているか、わからせてやらねば。
少女をじっと見つめ続けていると、眉をひそめ、呆れたようにため息をつかれた。
(くっ…。そんな表情も愛らしいじゃないか!)
「なっ…!貴様!魔王サタニア様になんという態度を!」
「なんと無礼な!!」
少女を愛でていると、側近の2人・アンブロとケルメが剣呑な空気を漂わせ始めた。
憤慨した様子で、それぞれの武器を手に取る。
それに呼応するように、少女達も武器をとる。
赤髪のハルカは美しい細剣を。
黄髪のナツナは2対の短剣を。
青髪のユキジはどデカい戦鎚を肩に担ぐ。
ピリピリとした緊張感が両者を包む。
「まぁ待て。アンブロとケルメも口を慎め。俺は今日、戦いに来たのでは無いと知っているだろう?」
「ですが…!」
「し…しかし、先程の態度はいかがなものかと…!」
側近達をなだめ、一歩前に出る。
すると、少女達は身構えながら俺を見据えた。
「魔王サタニア。戦いに来たのでは無いのなら、何をしにこんな所まで来たんだ。」
と、凛として透き通った声が俺の耳を撫でる。
やはり、ハルカの声は俺の心に響く。
ずっと聞いていたい…そんなふうに思える。
(そう、俺は今日戦う為に来たのではないのだ。今日は、ハルカにプロポーズをする為に来たのだ!幾度となく戦ったが、こんなに心揺さぶられる相手は初めてだったのだから…。)
そんな事を考えながら、ハルカを見つめる。
俺が黙って見つめている事に、少し警戒しているようだ。
少女達がジリジリと後ずさるので、一歩、また一歩と近づいていく。
歩幅は俺の方が広い。
徐々にその距離はつまっていく。
ハルカが俺を見上げてくる。
眉をひそめた怪訝な眼差しで…。
(ああ…!近くで見るとなお一層愛らしい!!食べてしまいたい程だ!くそ…っ!これ程までに、この俺を動揺させるとは…。)
平静を装いながら、ハルカの手をとる。
ビクッと手を引こうとするが、逃さない。
そのままハルカの手を引き、指に軽く口づけをする。
「ハルカよ…俺のモノになれ…。」
(キマった!!これは勝てる!!)
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ちょっと魔王が残念イケメン過ぎたかなと。
思わなくもないですが、後悔はしてない!(キリッ
こういうぶっ飛びキャラは、書いてて楽しいですね。