1-1:魔法少女なんて納得いかないんだけど?
「悠さん。パロネーの街に魔族の反応あり!ですの。急行いたしますの。」
「えー…。面倒臭い…。どうせアイツ来るんだろ?雪路と夏那で片付けてきてよ…。」
「はるちゃんが来ないと、魔王がいじけちゃうんだよぅ!早く準備してよぅ!」
(…魔王がいじけるって何だ…。)
自分達は、魔王討伐の為に異世界『日本』から、ここバルゲニア王国に召喚された英雄。
英雄って呼ばれると、カッコイイ気がするが、断じてカッコイイものではない。
『魔法少女』
読んで字のごとくだが、魔法が使える少女だ。
元の世界でも、色々な魔法少女を取り扱った作品が出回っていたと思う。
だがしかし。
よもや、自分がそんなポジションに立つとは思わなかった。
この世界には魔王と呼ばれるエネミーがいる。
それを討伐する役目を担っているのが、自分達魔法少女だ。
魔王討伐と聞くと、元ゲーマーとしては心躍るものを感じてしまう。
現に、召喚後事情を聞いた時はテンションを上げたものだ。
自分がゲームの中に入ったようなワクワク感と、これからどんな事がおきるのか、というドキドキ感に目をキラキラさせていた事だろう。
若干、召喚したじいちゃんがが引いてた気がするが気のせいだ。
この世界の人類側には、召喚魔法と回復魔法の概念しか無く、攻撃魔法や防御魔法等は存在しない。
唯一、攻撃魔法・防御魔法を含む全ての魔法を行使できるのが、魔法少女となる。
もちろん、魔とつく位だから魔王以下魔族連中も魔法は全て使える。
まぁ、知恵がある奴らだけらしいが…。
と、まぁ…そんな感じで、魔王に対抗する為に、召喚魔法を駆使して魔法少女を呼び出しているようだ。
何故、魔法少女や魔族が居るのに魔法が普及していかないのか?
魔法少女が行使する魔法は、こちらの世界の人間には使えないものらしい。
昔、解析して使おうとした宮廷召喚士が居たらしいが、恐ろしい事に、キャパオーバーで体が爆散したらしい。
それからは、解析と行使はタブー視されていると聞いた。
魔族とは敵対している為、魔法を教えてもらう等できやしないだろう。
そんな訳で、魔法の普及は召喚魔法・回復魔法で滞っているようだ。
「悠さん?物思いに耽っている暇はないですの。夏那さんも転送ゲートまで急ぎますの。」
「わかったぁ!わかったからぁ引っ張らないでよぅ!ゆっちゃんは乱暴者だなぁ!」
夏那は雪路に引っ張られ、ぷりぷり怒っている。
(雪路は結構強引な所あるからなぁ…。変身前でさえかなりの怪力だし…。)
そんな事を考えながら、雪路にズルズルと引きずられていく。
向かうは転送ゲート。
各街への救援がスムーズに行えるよう、城内に設置されている。
これは、この世界の神が設置したようだ。
転送は、その神の力で行われているらしく、原理はわからないみたいだ。
転送ゲートの上に立ち、行きたい場所を思い浮かべるだけでその場に行けるらしい。
さて、魔法少女もので外せないのが変身だが、この転送ゲートはコスチュームへの変身も出来る優れものである。
つまり…上に立ち、行きたい場所を思い浮かべたら、変身を完了して戦場に立てるという優れものだ。
もちろん、この転送ゲートは魔法少女専用である。
他の人間が乗っても反応しないらしい。
こと転送ゲートについては神様々のようだ。
(神っていうと、こっちの世界に飛ばしたアイツだよな…。てか、そこまでこの世界に干渉できるなら、魔王なんとかしろよ…。)
盛大にため息をつき、そのまま雪路に引きずられる事数分。
3人で転送ゲートに立つ。
(((パロネーの街へ…。)))
そう思い浮かべると、眩い光を放ち転送ゲートが作動した。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
天音りんごでございます。
作者自体今後の展開が読めませんが、ゆっくり進めていきますのでよろしくお願いいたします。