隠居少女とお隣さん?
村人は全部で12人。
レンが孫のように可愛いらしい。そのため、なつかれようと色々物を挙げたりしている。
熊を解体後、我が家へ戻り肉と野菜はしばらくは、調達しないでいいなと思いつつ今日の夕食を作っていた。
熊鍋を食べた後、残りは明日の朝御飯にしようと下準備をし始めた。
ちなみに、朝御飯は熊鍋の残りで雑炊するのだ♪
「熊肉余ってしまうな~…明日干しておこうかな。そしたら、長持ちするし。」
携帯食にも出来るしね。
まぁ、明日晴れればの話だけどね。
<コンコン…>
「は~い。」
一応返事はしたものの、誰だろうか?
私の事を知っている村人さん方は、私が此処に住んでいる事は教えていないし、そもそも此処に住んでいる事は誰にも教えていないのだ。
それに、この辺りを探索していて人は住んでいなかった。
くまなく探して見たが家もないし、人の気配もないし、唯一人が住んでいるのがあの村だけだ。
後は、大自然が広がっているだけで此処には、本当に私しかいないのだ。
あの優しい村人さん方も始めは、私の事を妖怪が化けているかもとか人拐いや詐欺師と思われていたらしい。
実際、そんな人達がたまに来るらしく村人も少ないしそろそろ町へ引っ越そうかと考えているようだ。
近くの町と言っても山を三つほど越えさらに、車で一時間ぐらいの所にしかないのだ。
50年ぐらい前にトンネルが出来たので、昔よりは便利だと村長さんが笑っていたが…。
それでも不便には違いない。
村で唯一医者をやっているおじいさんももういいお歳なので、隠居したいらしく、私と会う度羨ましいと言うほど。
村人さん方は、全員お年寄りばかりなので私の事を孫のように思ってかまって来るのは、別にいいんだけど私の事は気にせず早く引っ越した方がいい。
さて、一体誰かな?
私は、木刀を後ろ手にゆっくりと玄関の扉を開けた。
そこにいたのは、緑系の着物を着た美人なお姉さんでした。
そのお姉さんは、人の気配がしていないので、村人さん方が言っていた妖怪の方かも知れない。
この辺りには、妖怪が住んでいるからといつも、村へ行くと野菜の苗や米をくれる農家の物知りなおばあちゃんが言っていた。
「今晩は。私隣りに引っ越して来た猫又のルルと申します。これからよろしくお願い致します。」
そう丁寧に挨拶され木の実を渡された。
…意外とあっさり正体をばらしたルルさん。
「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。私は、一年前此処に引っ越して来た人間の紅夜 レンと申します。よろしくお願いします。」
ちょっと堅苦しくなってしまったが、大丈夫かな?
そう思ってルルさんの方を伺うように見ると、私を疑視して固まっていた。