隠居少女素性がバレる
主人公は、本当は全て知っています。
何せ、紅夜家の姫で初代の姫に似ている先祖返りですからね。
そんな主人公が、自分に関係している事を知らないわけがないんです。
普段は、忘れていたり知らないふりなどをして、自分を誤魔化していたりしただけです。
けっこう色々あったので、まだ心の整理がついていなかったからです。
でも、最近はもう誤魔化さないようになっています。
きっと、整理がついたんでしょうね。
私は、攻撃を避けながらスズさんと話していた。
スズさんは、私が普通の人間じゃないと言う。
でも、私は人外ではないし、ましてやスズさんみたいな術者でもない。
先祖に、そういう人はいないし、そういう力もない事は、自分がよく知っているのだから、私はただの人間だ。
まぁ、ある意味普通の人間ではないけど。
何せ、紅夜家直系最後の姫だからね。
さっきのスズさんの話しが気になるので、さっさと勝負を終わらせる事にした。
私は、一息にスズさんの懐に入り背負い投げをした。
その際、攻撃を避けきれそうもなかったので、リアさんの時みたいに木刀で切って何とかした。
そのおかげで、スズさんに大きな隙が出来て簡単に背負い投げが出来たのだ。
その後、戦意喪失したスズさんの誤解を何とか解いた。
後、スズさんはお詫びとして花畑をタダでくれた。
そうそう、スズさんとも友人になれたよ。
誤解を解いた後、店内に戻りまたお茶会を再開した。
今度は、スズさんも参加している。
「君は凄いね。妖怪と友人になれて、その上さらにこの辺りの神に気に入られているみたいだ。気に入られていなければ、君は暮らし始めてすぐに死んでたと思うよ。運がいいね。」
スズさんは、私がこの辺りの神に気に入られ、運がいいと言う。
なんで、私はこの辺りの神に気に入られたのかな?
不思議だ。
「神は、気まぐれだからね。まぁ、たぶん君が紅夜家直系最後の姫だから気に入られたんじゃないかな?紅夜家初代の姫は、色々な者に好かれやすかったしね。君は、初代に似ているから気に入られたんだろう。」
スズさんは、懐かしそうに私を見た。
私を通して、初代の姫の事を思い出しているかのようだった。
「…スズさんは、知ってるんですね。」
「まぁ、ボクは歴代の紅夜家の姫達全員に会った事あるからね。特に、紅夜家初代の姫は色々と規格外で、人間なのに人外並みの実力者だったんだ。紅夜家の姫達は、不思議な人間だよ。こうして、改めて見ると君は本当に初代の姫に似ているね。君、先祖返りだろう?」
「………」
「大丈夫、君の事を他の人に言ったりしないから。君が、どうしてこんな所で隠居生活なんてしているのか、詳しく聞く事はしないよ。」
「…ありがとうございます…」
「…君は、これからどうする気なんだい?」
「もちろん、これからも隠居生活を続けます。」
「でも、君は紅夜家の姫だ。いつか、連れ戻されるよ。」
「分かってますよ…。全部分かっているから、隠居生活しているし、見つからないように気を付けているんです。連れ戻されたら、二度と逃げられないんですから。」
そう、私は全て知っている。
叔父が、自分だけしか知らないと思っている事も、叔父が私に隠していた事も、王家が私に何をしようとしているのかも…。
全て知っているから、隠居生活という名の逃亡生活を始めたのだ。
逃げなければ、自由も何もかも奪われて失う。
それに、私が連れ戻されたら紅夜家は取り潰されるしね。
紅夜家の権力は、王家にとって脅威だったから、取り潰せる機会を待っていたし、取り込める機会も待ち続けて、ようやくその機会がやって来たのだ。
そう簡単に、諦めないだろう。
私が、連れ戻されたら終わりなんだよ…。
今の王家は、愚か者ばかり…。
この国は、腐り始めてしまっているからいづれ滅ぶ。
そうならないように、紅夜家が作られたんだけど…。
紅夜家も、愚か者が多くなってしまった。
こんな事になってしまい、ご先祖様方には申し訳ないと思っている。




