隠居後物語り~3~
戻って、このまま何事もなければ、蘭ちゃんとレンの二人を影ながら守って、行こうと思っていたんだけどね…。
兄が蘭ちゃんを狙っているし、次男はレンを狙っている。
この事を知った時、思わずこのロリコン!!て、言いたくなった。
だから僕は、二人…特にレンに嫌われるよう悪役をする事にしたんだ。
まぁ、レンは始めから僕を嫌っていたから、都合が良かったんだけどね…。
…レンが僕を嫌っていたのは、おそらく何も話してあげない事や嘘つきで悪い人だから。
僕って、いい人じゃないからね。
ただ…、二人を守ってあげるのは好きな人の願いを叶える為だし。
嫌われて当然なんだよ。
兄達のせいで、思ったより早く計画を進めないといけなくなった。
あの卒業式の日に、帰って来たレンを家から追い出す為に、最後の嫌われ演技をしてやった。
何だか、僕の事嫌っているはずなのになにかと、僕を心配していたレン。
これで、完全に嫌ってしまうだろうと思ったけど…。
「ハァ~…本当にお人好しだよ…」
つい、レンを思い出して苦笑してしまった。
あの時、やっぱりレンは僕を嫌いきれないまま行ってしまった。
さすがは、僕の好きな人の子だ。
今だから言えるけど、レンって自分の父親と次男を本気で嫌っていた。
本人は、気付いていないようだったけどね。
そうそう、紅夜家を潰そうとしなかったのはレンの祖母…つまり僕の母親でもあった人に紅夜家を守って欲しい、とお願いされたからだ。
母は、僕達兄弟の事を全て理解していた人だった。
父と違い母だけは、兄達に騙される事がなく、全て見破っていた。
兄達が駄目な人なので、まだましな僕に紅夜家を頼んだらしい。
まぁ、僕も紅夜家だから例え頼まれなくても、一族で唯一まともだった、紅夜を継いだあの親族へ紅夜家を任せる事にしていたし。
あの人達だったら、紅夜家はまたいい方に発展して行くから、心配ない。
蘭ちゃんも、兄達を消してあるから大丈夫。
心配なのは、レンだけだ。
レンは、紅夜家直系最後の姫になるからね。
いずれ必ず、国が保護する形で連れ戻すはずだ。
そうなれば、もう自由が無くなるだろう。
本当なら、紅夜家で生き残るのはあの親族とレンだけだった。
僕は、潔く今頃死ぬはずだったんだ。
いくら、僕があの三人のお願いを叶えたとしても罪を犯しているからね。
その事実は、変えられないし、変える気はないから…。
後は、レンの頑張りに任せる気だった。
レンの母親もここまでやれば、レンに任せていいと言うはず。
レンもこの事を知ればそう言うだろうし…。
でも、レンが僕を密かに父親のように思っていたから、僕は生き残った。
生き残れたのは、僕が非合法に雇っていた使用人達のお陰。
実は、あの使用人と元から居た使用人達は、全員この国に必要のない人達だ。
…つまり、犯罪者ばかりだった訳さ。
上手く集めて僕と一緒に裁かれるように…ね。
だって、放置しとくと近い内に国がほろぶ事になるし、そうなれば蘭ちゃんやレンの二人が不幸になるからね。
それに、せっかく良くなっていっている紅夜家が無くなるのは、少し嫌だったし…。
とにかく僕は、レンが連れ戻されて、困った時に助けてあげる為に生き残った。
だいたい僕が知っている真実は、これぐらいかな?
恋に狂っていないとも言いきれない、僕の話でしたとさ…。
さて、可愛い姪のレンとまた会う前にレンを自由にする準備の続きをしようかな。




