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主食はビーフウエリントン

「裏野ハイツ」的企画をもっとお願いします

 さて「夏のホラー2016」で、今回は「裏野ハイツ」という状況設定の企画がありました。

 舞台となるアパートの家賃から、何号室にどのような住人がいるかまで細かく設定してあります。

 最初この企画を見たとき、こんなにがんじがらめに縛られた設定で小説など書けるわけがない、というのが私の正直な感想でした。

 ところが先週、アイデアを思いついてから「裏野ハイツ」小説を一気に書き上げました。もし「裏野ハイツ」の設定がなければ、「夏のホラー2016」に応募できるホラー小説は書けなかったと思います。

 私の場合、十代や二十代のころは、詩を書けと言われたら俳句よりも自由詩の方が書きやすいと思っていました。でも高齢になるにしたがって逆になっていきます。俳句(というより川柳)なら、即興でいくらでも思いつきますが、自由詩は思いつきません。

 あらかじめ定められた制限の中でオリジナルの創作をする作業は、完全に自由な創作よりも簡単なのではないでしょうか。大まかな状況設定、人物設定などがすでに完成しているのは、テンプレに似ています。半完成品を組み立てるわけですから、ゼロから作品を作るより、労力がいりません。

 昨年のホラーは「学校」がテーマでしたが、あまりに漠然としすぎていて私は執筆できませんでした。

 どんな学校で、どんな生徒や先生がいて、二階のトイレにはお化けが出る、といった細かい設定があった方が、私にとり、書きやすかったかもしれません。


1.ワナビの絶好のトレーニング

 商業誌からプロ作家が短編小説の原稿依頼を受けるとき、「締切、枚数、テーマ」の三条件でオファーがくるようです。連載小説や書籍向け書き下ろし長編の依頼では、小説の内容について、もっと細かい指示を編集者から受けるようです(実情を知っている方、教えてください)。つまり作家は自分で自由気ままに小説を書いているのではなく、小説の内容についてある程度の制約を受けた上で執筆しているのです。

 そうだとしたら、他者から与えられた設定条件下で小説を執筆する「裏野ハイツ」的企画は、プロ作家を目指すワナビにとり、絶好のトレーニングになるのではないでしょうか。


2.ホラー以外にも「裏野ハイツ」企画を

 「なろう」では夏にホラー、冬に童話を募集し、特設ページを作ります。

 ここで提案ですが、この他にもSF、ミステリー、時代小説などの他ジャンルで同様の企画を試みてはいかがでしょう。

 それぞれ「裏野ハイツ」のような所与の状況設定下で執筆する課題小説と、自由な設定の小説の両方を募集します。また課題小説A、課題小説Bもというふうに課題小説も複数にして、作者は自由に選択できます。

 さらには課題小説の状況設定自体を小説募集の前に、「なろう」で応募するという方法もあります。

 この発展系として出版社と組んで企画するという方法もあるでしょう。編集者が売れ筋となる小説の状況設定を細かく決め、書籍化する小説を「なろう」で応募するのです。


3.書籍化を飛ばして映像、漫画、アニメ、ゲーム化

 「なろう」掲載作品が書籍化された場合、最近、「ダイジェスト化」が運営局側で問題になっているようです。書籍化されても「なろう」関係者のみんながみんな万歳というわけではないようです。

 書籍化されなくても、「なろう」自体が独立した小説公開の場という考え方もできます。

 ところで書籍化された小説は、映画、テレビドラマ、漫画、アニメ、ゲームなど他のメディアの原作となることがよくあります。

 ここで提案ですが、「なろう」の小説を書籍化せず、直接、映画、テレビドラマ、漫画、アニメ、ゲームの原作にしてしまうというやり方もあると思います。たとえば映画を見て原作を読みたくなった人には、テロップで「なろう」を紹介し、「なろう」で無料小説を読んでもらってもいいと思います。

 そして「裏野ハイツ」的原作小説の募集を書籍の出版社でなく、映画、ドラマ、漫画、アニメ、ゲームの関連企業とタイアップで企画するのです。


4.ドラマ製作者側のわがままを通しやすい

 「裏野ハイツ」的企画で書かれた原作小説は、テレビドラマの制作者側のわがままを通しやすいのではないかと勝手に想像しています。

 芸能事務所との関係で、ドラマにはこの俳優とこの俳優を使わなくてはならない。「シェアハウスを普及させる」、「若者の農業の希望者を増やす」、といったスポンサー側や行政側の要請に応えるドラマを作る......。

 こうした制約でドラマを制作する場合、「裏野ハイツ」のように舞台や登場人物をあらかじめ細かく設定した上で、原作小説を書くことは有効だと思います。

 またドラマの原作に採用されても、作者は無償(または低報酬)という条件を設定したらどうでしょう。製作者側は低予算でドラマを製作できます。プロ作家の作品でこれは無理です。

 映画、漫画、アニメ、ゲームの場合でも、それぞれ製作者側の”わがまま”はあり、それらを所与の設定条件にすれば、「裏野ハイツ」的原作小説は有効でしょう。


 以上、とりとめもない話になりましたが、今後とも「裏野ハイツ」的企画を期待しています。


 

 (了)




よろしければ、拙作「裏野ハイツの惨劇」をお読みください

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