接触
これからどんどん戦います。
あと、クオリティ維持のため2日/1話更新にしたいと思います。
アリア・スタンフィールドside
「はぁはぁ……」
足は走りつかれたせいかいつもより重く手は地を這いながら逃げたせいか汚れ
顔は命の危機と思い自然と強張る。
こんな怪我をする可能性は2つしかない。
1つは魔物に襲われて怪我を負うか
もう1つは人間に襲われ怪我を負うかだ。
この場合は前者であり後者である。
つまり黒のユニオンによる襲撃を受け私はチームを引き離すための囮で今逃げている。
なんとか、ほかの人は逃げ出せたが私は辛うじて逃げている状況が続き疲労が溜まっていく。
そもそも今回のクエストは廃村調査というもので私みたいな駆け出しでもこなせるくらいには至って簡単な物ものだったはずだ。
それがこの様だ。
笑える。
任務を舐めていたわけでもないしこういうことがあるのも知っていた。
ただ私には覚悟が足りなかったのかもしれない。
死にたくない。そう思うばかりだ。
そう思った瞬間背後で爆発音が鳴り思わず振り返り距離を測る……がその爆発はすぐ後ろで起こり爆発の余波で思いっきり吹き飛ばされる。
吹っ飛ばされ体をなかなか起こすことができず、それでも前を見る。
前方に2人の人が居て、どちらとも黒ローブを身に着けており深くフードを被っているため顔を確認できない。
1人は背が低く、もう1人は長身だ。
「やっーと捕まえたよ。お嬢ちゃん?」
「いいから、はやく済ますよ」
2人はそう言い私に詰め寄る。
このままだと死ぬ。分かってる。
今まで攻撃を何とか防御魔法、回避で避けてきたがそれはもう無理そうだ。
体が動いてくれない。魔力もほとんど尽きた。
このままでは死ぬ。
怖い? 私が?
おこがましいにも程がある。
私だって今まで人を葬ってきたことはある。
だから、いつ受けてもおかしくなかったんだ。報いを。
でも、私は死ぬわけにはいかない!
詰め寄る2人に対し立ち上がり剣を突き立てる。
「まだです。 負けませ……ん」
「へぇ、どうするつもり?」
2人は立ち止まり私の様子を伺っている。
その油断が命取りです。
「氷竜槍」
残り少ない魔力をこの一撃にかける……!
唱えると同時に真下に魔方陣が展開され剣先に魔力が集まりそこを
伝って魔力を具現化させ周りを凍らせていく。
次々と凍っていき次第に極寒の地へと変わっていきその攻撃は相手を凍らせる。
しかし…
「こいつぁ、すげー」
「……ちょっと危険ですね」
まだまだ余裕が感じられ凍ることのない2人。
恐らく薄い魔力を体に纏い防いでいるのだろう。
だけど、この技はこの程度ではない。
私の後ろから氷で作られた竜が現れその竜は2人目掛け突撃する。
まるで、意識を持っているかのように動き相手を捉え氷漬けにする。
これが本来の技であり周りの変化はただの副産物でしかない。
これなら、当たるはず……!
ものすごい音をたて氷竜は当たり当たった場所を凍らせる。
……はずだった。
当たった場所からはなぜか湯気がたち、周りの雪は溶けていた。
「っぶねー」
「まったく何をしているのですか」
そんな、馬鹿な……。
確実に当たったのに凍っていない?
それどころか無傷?!
「あーあ、……にしてもついてないなぁ。ほんとに。お前」
長身の男がそういうと男の背中から見える、氷を打ち消したそれが。
「炎竜の生血。それが俺の神工物。お前らみたいに一々詠唱何ぞしなくても炎を操れるのさ」
長身の男に続き背の低い男が言う。
「そして、僕のは魔物創造。ありとあらゆる魔物を創れるのです」
そう言うと私たちの周りに何やら普通の魔物とは違う。
違わないけど違う存在感を放つものが居た。
影のように黒くそいつらは人型、キメラ型、ウルフ型、何やら何まで居て私を取り囲む。
神工物持ちが2人なんて分が悪いなんてものじゃない。
そもそも神工物というものは神が創りし物。
それを持ち得れば強大な力を得ることができる。
ほとんどの神工物は素材に超獣種やそれこそ神を封じ込めたものを使っていると聞いていたが……。
これは想像を超えていた。
神工物使いなんてほどんど居なく大抵が生まれ持ちなのだが稀に装備型や炎竜の生血のように体内に入れ適合すれば力を得られる。そんなものもある。
そんなすごい珍しいものがこの場に2人居るのだろうから運が悪い。
「始末するか」
長身の男手から炎を出す。
もう無理だ。
勝てるわけがなかった。
どんなに勉学に励んでも訓練をしても勝てるわけなんてなかった。
こいつらに勝つことそれは神に勝つこととも言えるのだから。
私の人生何のためにあったのかなぁ?
母は死に、兄も死に。私にあったのは生きているという申し訳なさと復讐心だ。
それも全部ここで終わる。
文十くん、ごめんなさい。
もう会えそうに……ありませんっ。
目を閉じ一筋の涙が落ちると同時に長身の男が炎を放ちそれは意思を持っているかのように私を襲う。
「させるかよおおおおおおおお」
目を開けると前方に文十が……
目の前の炎あいつの間にか消えていた。
「どうして?! なんで?」
「アリアを助けるためにきまってんだろ!」
「そんなっ。 私はあなたまで巻き込んで……」
「馬鹿野郎! 巻き込んだ巻き込まれた、そんなの関係ないだろ!! 俺は俺のためにここに立っているだけだ。」
「おい、お前何してんだよ」
長身の男が痺れを切らしたのか問う。
「お前らこそ何してんだよ!」
文十が今まで見たことのない形相で怒号を飛ばす。
そこにいつもの優しさなど微塵も残っていなかった。
ただ、相手に怒りを感じそれを伝えている。それだけだった。
「俺たちはよぉ、世界平和だよ。わかる?」
「世界平和だぁ?」
「そう! この世は腐っていやがる。汚い汚い。だから、すべてを燃やす。それが俺の優しさってやつよ?」
長身の男はゲスイ笑みを浮かべ語る。
その姿に私は苛立ち、復讐心すべてを向けた。
こいつのせいで母は兄は……。こいつらのせいで……!
「……だよ」
文十がポツリと呟く。
「あ?」
「なんでその優しさを他に向けてやらねぇ!! お前らのせいでどれだけの人が死んで……。どれだけの人が……。その優しさを少しでも少しだけでも向けてやれねぇんだっ!!!!」
「勘違いしています、あなたは」
「なんだと?」
背の低い男がここで話に入る。
長身の男はそいつに任せるのか黙っていた。
「あなたの幸せが誰かの幸せとイコールとは限りません。」
「だったら、なんだよ。 自分たちと合わないのは切り捨てようっていうのかよ!!」
「必ずしも犠牲は出るということです」
「そんなのは間違っている!!」
「かぁー。テンション下がるぜぇ。おい、お前御託はいいからさっさと来い」
長身の男が手から炎を出し魔力を放出する。
背の低い男もそれに習っていつでも影を動かせるように動く。
文十じゃ、負けてしまう。
このままだと2人とも……。
それなら……。
「文十逃げて。ここはわた……」
文十は相手から目を離さないまま鋭い目つきで物を言い
体からも魔力とも言い難い何かが放出されていた。
「いいから離れてろ、死ぬぞ」
これはなに?
異質すぎる魔力?
いや、異質すぎる。
人によって魔力の『感じ』は違うがここまで根本的に違うのは初めてだ。
「――せ」
そう言って戦いは始まる。