現実世界2/クロノユニオン
すいません。
諸事情で更新できませんでした。
そのことについて更新日誌?について書きますのでよろしかったら見てください。
雨宮奏side
あれから私はもう一人の病室へ行こうとしていた。
私にとっても九王君にとっても大切な人。
九王結愛――、彼九王文十の妹だ。
九王君と同じ個室形式の部屋。
窓からは同じく夏特有の風が通っており涼しさを運んでくれている。
唯一違うのは九王君と違って彼女は意識があるということだ。
「あっ、奏おねーちゃんっ!」
陽気な声で私に話しかけ人懐っこい顔を浮かべる。
「結愛ちゃん、調子どう?」
当たり触りない会話をする。
ほんとは体の調子なんて言うのは大体だが九王君から聞いていたから知っている。
「うん! へーきだよっ」
結愛ちゃんはピンクの可愛らしいパジャマに
髪は下ろしていて人懐っこくその顔は愛嬌のある9歳という年相応に可愛い顔だちをしている。
「そっか。 良かった」
「お兄ちゃんは?」
一瞬びくっとするもなんとか怪しまれないように言葉を返す。
結愛ちゃんは兄――、九王君が車に轢かれ意識不明の重体ということは知らない。
というか、知らせてない。知らせられるわけがなかった。
九王君と結愛ちゃんは九王君が幼いときに両親どちらとも亡くしており
今までお互い幼いながら二人で仲良く暮らしている。
そんな結愛ちゃんにこれ以上お兄ちゃんまで失ったと言ったらどうなるだろう?
結愛ちゃんのことだから上辺ではただ「分かった」言うだろう。
でも、この子はそれだけではすまない。
お兄ちゃんに迷惑をかけないように生きていたからか、この子は顔で笑い心で泣くような子なのだ。
それ故に、最悪後を追うということも考えられる。
「ごめんね、九王君は委員会があって」
チクリっ。
胸に何か刺さったような痛みが走る。
もちろん、実際には刺さってなどいない。
恐らく、いや、この痛みはもちろん。
<罪悪感>
九王君を止めてあげれなかった罪。
結愛ちゃんに嘘をつく罪。
罪作りな女だと自分でも思えてしまった。
「そっかー、もう一週間もあってないよー」
「大丈夫、もうすぐ会えるよ」
また心に罪悪感という鋭利な刃物が突き刺さる。
嘘に嘘を重ねる。その嘘にまた嘘を……。
悪循環だ。
いつかはバレることだ。だから、言ってしまえばいいだろう思うが
この「秘密は私たち」で守ろうと約束したのだ。
それにまだ九王君が目を覚まさないとは何も決まっていないのだ。
もしかしたら――
いや、九王君なら絶対に目を覚ましてくれる。
「お兄ちゃん、元気かなっ」
……っ!
つっーと何かが頬を伝る。
それは瞳から落ち私はすぐに涙と確信し結愛ちゃんに気付かれないように
背を向け指で拭う。
私たちはこの子にどれだけ酷いことをしているのだろう。
この子はお兄ちゃんが危険な状態を知らない。
それはつまりもし、もし、このまま死んでしまったらもう……。
そう考えると余計に涙が溢れこれ以上は結愛ちゃんに気付かれると思い
小走りで廊下に出る。
「結愛ちゃん、ちょっと出るね!」
「え、奏おねぇ――」
最後まで聞かずに飛び出してきてしまった。
今更だが、私確実に怪しかったよね。
私が結愛ちゃんだったら疑ってるかも。
なんて言って戻ろうか。
その間も涙は止まることはなかった。
▲
九王文人side
「学園長」
「なんだい? クオウくん」
俺はアリアと話して気付いたら保健室に居た。
俺が外で倒れているのを発見した人がわざわざ保健室まで運んでくれたらしい。
ほんとにありがたい。
それはそうと、俺はあんなとこで倒れていたんだ?
まぁ、それは置いといて起きたらすぐにここ学園長室に向かってきたってわけ。
聞きたいことがあるからね。
「始龍てなんです?」
学園長は驚いた顔で俺を見てすぐにその顔は変わり今度は難しい顔になった。
その様子から伺うとやはり「始龍」というのは何かあるのかもしれない。
最強を名乗ってたし有名なのかも。
「なぜそれを知っているのかな?」
「本人に聞いたからです」
そういうと学園長はもっと難しい顔をしだしてもう面白いとこまできた。
そして、学園長は呟く。
「そうか、始龍がこちら(白のユニオン)に……」
「だから――」
なんなんだよ!と言いかけたところで閉まっていた扉が勢いよく開けられる。
俺と学園長が『そっちの方に視線を向けると学校の制服を着ている生徒が……。
胸元に赤十字あたりユニオンに属しており腕に青色のリングをしているあたり3年生だろうと予測を立てる。
ちなみにこれはメイアから聞いて、緑が1年赤が2年青が3年らしい。ユニオンかは胸元の赤十字の有無で確認する。
もちろん、アリアにも入っている。
落ち着きを取り戻していない兵士は急ぎ目で喋る。
その言葉を聞いて俺は唖然とする。
「はぁぁはぁ、廃村調査隊が黒のユニオンに襲撃されています!」