彼女の秘密(1)
わざと最後はあんな感じにしました。
ブクマ、指摘意見そのたもろもろお待ちしてます。
夕食時になりここ食堂は腹を空かした生徒たちで一杯になっていた。
割と広い食堂はすぐに空きがなくなる。
俺たち―― アリア、ハゲ(前話参照)、メイア(自称アリアの友達)、俺は夕食にありつこうとしている。
ちなみに本日の夕食はステーキっぽい?
まぁ、ステーキなんて肉焼くだけだもんな。どこの世界にもあるか。
先ほどまでみっちり授業を受けていたせいか腹が減りステーキにかぶりつく。
アリア、ハゲ、メイアはそんな俺を見て笑い出し俺は怪訝とした表情で尋ねる。
「なんだよ、わりーかよ」
「あんな軽い授業でそんな疲れるのー? ウケルぅ」
メイアは小ばかにした態度で俺に突っかかる。
メイアとハゲは俺とアリアが話してたら輪に入ってきて一緒に話をし授業を受けた仲だ。
つまり知り合って一日でこの馴れ馴れしさだ。
末恐ろしいものだ。
そして、軽いといったが決してそんなことはない。
そもそも俺は文字が読めないし書けない。
それにどうやら俺は生前そんなに勉強ができた方ではないみたいだ。
故に、俺に魔法学、薬草学、歴史、戦術学すべて理解できなかった。
まぁ、理解しなくてもいいのかも知れないが。
「それにしもアヤトはもちっと、体鍛えたほうがよくねーか?」
ハゲが言う。
こいつの外見は頭皮……じゃなく髪型は坊主。
体格はそんなに言うほどではないが着痩せするタイプのようで実はかなり筋肉質だ。
体育の着替えの時チラっと見たが羨ましく思える細マッチョっぷりだった。
だから、そう言われると男としてへこむ。
そして、何より驚いたのが実は『ハゲ』というのが本名みたいだ。
これにはかなり笑わせてもらった。
「ごりマッチョは嫌だ!」
残りの授業は先ほど言ったが体育。
……とは名ばかりの戦闘訓練だ。
剣術、格闘、槍術、弓術なんでもござれだ。
いきなり素人の俺が入るのは敷居が高すぎた印象しかない。
受けている生徒も心なしか学道より多く見受けられた。
ほんとに今後サボるかどうか真面目に考えるほど嫌だ。
戦いに来たわけではないのに……。
でも、出なきゃおそらく記憶は戻らない……。
まぁ、やっても戻らなかったけどさ。
何もしなかったらそれまでだしやれるまではやるつもりだ。
「それにしても、なんで皆サボらねーんだ? 学校なんて嫌じゃないのか」
皆の食べる手が止まり重い空気が流れ始める。
もしかしなくても、地雷踏んだ?
「アヤト、これは覚えとけ。 ここにいる奴はそれだけの過去と覚悟と決意を持っているんだ。 だからそれはあまり聞かない方がいい」
「は? 意味わか――」
がたっと席を立ちおぼんを持って立ち去ろうとするアリア。
心なしかその表情は今まで見たことない悲しくも怒っているそんな表情に見えた。
感情らしい感情だったが逆にというかそれはアリア『らしさ』とはかけ離れている。
ん?
そもそも『らしさ』ってなんだよ。
俺とアリアはまだ全然一緒に過ごしていないじゃないか。
それなのに『らしさ』なんて不確定要素あげる自分に自分ながら呆れる。
「おい、アリアー。 アリっ……。行っちゃった」
アリアはそままどこかへ姿を消し俺は言った方向を眺めた。
「まぁ、しょうがないっちにぃ。アリアちんは3年前に」
「メイア!!!!!!」
ハゲがメイアに怒声を浴びせ周りに居た一般生徒は「なんだなんだ?」と言い首をかしげこちらを覗く。
そんな光景を気にせずメイアはハゲに向かい言う。
「あんただってこいつに可能性感じたんでしょ? もしかしたらアリアちんを変えてくれるかもって。だから、一番に声かけたんでしょ?」
「それは……。 でも、お前がそれを言ったら何も変わらない!」
一層と目立ち見物人まで出来てしまう始末だ。
なんとか間に入り間を取り持つ。
「おいおい、どうしたんだよ」
「知るかよっ」
「ふんっ」
二人ともおぼんを持ち反対方向に歩き出した。
俺はしばし考え込む。
その間に面白いものが見れないと分かったのか見物人が居なくなる。
そして俺は一つの結論に至る。
お前らそんなに仲悪かったのか――?!
▲
あれから少し立ち。
体力トレのついでに外に散歩に出る。
外は暗かったが魔力で供給されている電灯が俺を灯す。
どのくらい歩いただろうか。
少し疲れその辺に座りぼっーと眺める。
このぼっーとした時間というのは案外無くてはいけないものでどんなに面白いエロゲやラノベがあろうとも俺はたまに立ち止まり前を向きぼっーとする。
この時間も時間で好きなんだ。
少し経ち帰ろうとした瞬間ふと目に入ってき俺は唖然とする。
それはとても綺麗な銀色をしていた。
白銀の色だ。
周りが暗いせいで余計それは目立ち綺麗に思える。
「アリア?」
そう、まぎれもないアリアだ。
でも、様子がおかしく俺はしばらくそれを悪趣味だが見守ることにした。
「ぐすっ……。」
泣いているのが伝わる。
あの感情があるのか無いのかちょっと分かりにくいアリアが泣いている。
それは俺の中でなんというか、考えられなかった。
見守ると言ったがそれは前言撤回で俺はアリアの前に出る。
しかし、次の言葉を聞き躊躇する。
「お母さん……」
俺はハゲとメイアの言葉を思い出す。
「アヤト、これは覚えとけ。 ここにいる奴はそれだけの過去と覚悟と決意を持っているんだ。 だからそれはあまり聞かない方がいい」
「まぁ、しょうがないっちにぃ。アリアちんは3年前に」
俺は鈍感じゃない。
だから、分かる。
そう。
[アリアの母親は3年前の……。先の戦争で死んだんだ]
……っ!
そんなのってありかよ。
ここで出てどう声かける?
……見つかるわけがない。
それならいっそのこと、見なかったことにして……。
いいのか? それで。
いい……わけがねぇ!!!
あいつは、あいつが必要以上に感情出さなかったのは出せなかったのはきっと失う辛さを知っているからだろう。
だったら力になってやれるのは俺だけじゃねぇか。
あいつの力になってやろう。そう思っただけだ。
「おい、アリア」
「?!」
驚いた様子でこっちを向きすぐに背中を見せ涙を拭っているような動作を見せる。
「何があったのか。あるのか俺に教えてはくれないか?」