始龍との出会い方
貯めた分がなくなり投稿が毎日いけるか分かりません
3000文字/話になったらあげていきます。
できるかぎり毎日。
あれから保健室を後にした俺たちはアリアに付いていき校内見学及び事前手続きと忙しく過ごしあれが嘘だったんじゃないか?ていうぐらいには受け渡された男子寮部屋でゆっくり過ごしている。
一見というか普通のホテルみたいな間取りに内装。
特に暮らすのには不便はなさそう。
今日はやはり色々あり疲れベッドに突っ伏す。
明日は確かアリアが朝学校まで行くのに迎えに来てくれるらしい。
アリアにも色々やってもらっているからいつかお礼しないとな……。
お礼はデートにでも誘って……。
あ、でも断られそうだな。
不純なことを考えていたせいか気付いたら俺の意識は途切れ夢を見ていた。
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「誰?」
俺は先ほどの寮とはまったく違う、暗い部屋に一人チェスを嗜んでいる少年に問う。
その少年は髪は短く顔は少し幼さを残しているが美少年の域に達している顔。
身長も俺と同じぐらい。ということは170半ばで女の子からしたら丁度いいだろう。
服装も俺が今日着替えた制服だ。
何故だろうか。
他人とは思えない。
なぜだか、俺はそう思った。いや、思えてしまった。
「僕は君に宿る始龍」
「は?」
シリュウ?
なんだ、それは
「この世界のありとあらゆる始まりと終わりを司る龍みたいなものさ」
「いやいや、まてまて。 全然わからないぞ」
「んー、分かりやすく言うと最強ってことかな?」
「全然わからん」
「今はそれでいいよ、うん」
始龍と名乗った彼は向かいの椅子に座りなよと目線で訴えかけ俺はそれに頷き座る。
「龍って言ってたけど。お前人じゃん」
「あぁ、これ? 一応君の姿なんだけど……」
ん?
そういえば俺まだ一度も自分の格好見たことないかもしれない。
というか見たことがない。
というかそれが俺なのかよ。
自分で言うのもあれだけど格好いいな!!おい!
始龍が手をかざし手をかざした先に姿鏡が現れそれで確認しなということなのか
俺は自分の姿を確認する。
本当に、始龍とまったく同じだった。
いや、始龍が一緒なのかと考え直す。
「これは驚きだ」
俺はポツリと呟く。
「まぁ、これは仮の姿だし。 その気なら美少女にもなれるよ?」
美少女という単語に反応したが相手の真の姿は龍なのだ。
そんなものに萌えるほど俺はマニアックではない。
あ、いや、モンスター娘は好きですよ。
「まぁ、僕が今日言いたかったのは君は何れ望んで僕の力を振るうってこと
そのためには僕の『名前』を思いだしてもらわないとね。それだけ。」
「は? 力を使うのに名前を思い出さないと? 思い出すも何も。知らないだろ
ていうか、俺はそんな力使わない」
「まぁ、今はそういうことでいいよ。そろそろ時間ないし解くよ」
そう言うと始龍は右手でチェスの黒駒歩兵で白駒王を盤場外へ押し出しそれを俺に投げ俺はそれを受け取る。
受け取り手のひらを見るとそこには白駒王が。
「それじゃ、ご主人また。 『名前』思い出してね」
そう始龍と同時に今まで座っていた椅子がその下にあった床が砕け俺は抵抗することもできずに落下してい――くと思っていたが
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「おきろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
凄まじい怒号とともに俺は目を覚ました。
目を開け最初に見えたのは制服をきっちり着こなし今日も綺麗な銀髪をしているアリアだ。
「おまっ、なにしてんだよ?!」
「あなたが遅いからですよ! なんでまだ着替えていないのですか? あれほど仰りましたのに」
いつもの冷静丁寧な口調では無く怒りを前面に出した怒号を放っていた。
俺はこれ以上怒られまいと急いで着替える。
結果的にアリアの目の前で着替える音になりアリアは直視できないのか微妙に頬を紅くし目を背けていた。
着替える途中考える。
それにしても始龍とかっていうのは夢だったのかな……。
夢にしては感覚が妙にリアルで納得がいかない。
ふと、右手を広げ見てみる。
そこには白駒王があり俺は確信した。あの出来事は本物だと。
着替え終わりアリアに連れられ寮を走り急いで学校に向かったが
やはり男子寮に女子がいるのはおかしいことで(しかも美少女)ざわざわと賑やかになっている。
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あれから走ってきたが案外余裕で間に合ってしまった。
教室、いや学校自体なんだかあまり変わらず現代のと同じで黒板があり机と椅子がある。
細かな点はもちろん違うが……。
あんがいどこの世界行ってもこういうのは世界共通なのかもしれない。
さっそく自分のクラス2-Dと書かれたプレートのクラスに入りテキトーな席に座る。
特に席は決まっていないと事前にアリアから言われいたために主人公ポジである右側最後尾窓際に座る。
そこで肘を尽きぼっーとする。
アリアはというと俺が右側最後尾窓際に座ったのを見ると俺の隣に座る。
「授業中まで密着かよ」
「学習係りですから」
鞄を机に置き中から教科書とは思えない、いや思いたくない分厚い……それこそ六法全書並に厚い本が出てきた。
それはもうちょっとした凶器さえと思える。
怪訝とした様子で尋ねる。
「え、なにそれ?」
「魔導書ですが?」
「えっと、それは何に使うの?」
「勉強にですが?」
いやいや、重すぎだろ!
物理的にも。
精神的にも。
予冷が鳴りぞくぞくと生徒たちが座り始める。
全員が座ったと同時に先生らしき人物が入り教卓の前に立つ。
黒板に大きく『転校生 注目』と書き言葉を走らせる。
ちなみに先生の印象としては……。
うーん、非常に微妙だ。
可愛いは可愛いがそこまでっていうか。うーん。
体格も微妙だ。
胸はあるとも言えるし無いとも言えるし。
なんというか普通が歩いたらこんな感じなんだろうなっていう女性。
「ほーい、じゃ、めんどくさいから転校生とお前ら自主的にどうぞー」
「なにをだよ!!!」
前言撤回!
この人普通じゃない!!
思わず大声でツッコんでしまいたくさんの目玉がこちらを覗く。
久しぶりにこれだけの人数を見てなんだか緊張してしまい気を抜くために下を向きため息を吐く。
ため息を吐き全員の顔が拝める場所、側最後尾窓際から一人一人の顔を見て真摯に話す。
「みなさん! この度転校させて頂く九王文十です!! どうか俺と友達になってやってください」
ぱちぱちと次第に大きくなる拍手。
アリアも一応なのか、気まぐれなのか分からなかったが拍手してくれていた。
なんだかんだで優しい子なんだなと強く思えた。
拍手が止み着席しようとしたところでお決まりがやってくる。
「九王くんはさ、どこから来たの?」
丸刈りでやんちゃそうな奴が俺に興味津々みたいで質問を投げかける。
如何にもエロゲーで一言しか喋らなさそうな奴と似ているなと思いながらそれに応じる。
「あぁ、んーと、ずっと遠いとこだよ」
「遠いとこ?」
「そ」
「どこ?」
「それ――」
日本と言いかけたとこでさっきまで気怠そうにしていた先生が制止をかける。
「はいはい! もういいだろ。 …っとだりーな」
先生はこれからの予定、連絡事項とほんっとに軽く喋り終了。
今思ったら先生の名前も聞いてないしクラスの紹介もされてないし
個別で何か話したわけじゃないしほんとなんなんだ、この学校。
後からクラスメイトやアリアから聞いたがこの学校は学校であるが俺の居た世界とは違い自主性というのを重要視していて
別に授業をサボろうが構わないらしい。
ここはあくまで白のユニオン――自軍の軍事力確保のために作られたというもの。
そのため、生徒でもうユニオン入りしている人も珍しくなく、逆に言えば生徒で死ぬ奴もそんなに珍しいわけでもないんだとか。
そんなのって無いよな……。
クラス、友達が死ぬなんて考えただけでおかしくなりそうだ。
いつだって、戦争はどちらも幸せになれない手段だ。
それにもう戦争は終わったのだろう?
そうとは言っても最近また魔物が活性化してきているらしい。
――魔王復活とも言われているが真偽は分からない。
俺はとりあえず、時間を稼ぐことだけを考えよう。
自分のために。