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95/99

95.地獄を見ました。

 公爵夫人に結婚報告をした後は、地獄の忙しさが待っていました。


「ほら、黒子様、動かないで下さい。針が刺さりますよ。」

 公爵家のメイド長であるメリルに、結婚式で着る花嫁の衣装を仮縫されていた。


 それから解放されると、披露宴で着るドレスの仮縫が別のメイドによって始まる。


 そして、それが終わると、公爵家のお披露、私の世界でいう披露宴で踊るダンスの”地獄のレッスン”ならぬ、メリルによるシゴキが、夕食の時間ギリギリまで行われた。


 それは、かつて、ルドルフによって行われた”地獄のシゴキ”をはるかに凌駕するものだった。


 ある意味、魂が抜けると、言うことを、私はメリルに教えられた。


 精根尽き果てたところで、魂の抜け殻になって、無意識で食事をすますと、這うようにして寝室に向かい、それこそ泥のように眠りについた。


 それがここ数か月での、私の日課だった。


 それでもなんとか、それをこなした所で、やっと本番がやって来た。


 結婚式は領地にある田中次郎左衛門こと、私の世界の戦国武将であり、今の公爵夫人であるスズ様のお父様が祭った、神社の神主様によって、執り行われた。

 公爵のクリス様とその伴侶スズ様、それに将軍のマナ様と副将軍のグリム様が見守る中、魔法陣で領地に飛び、神社にて式を執り行った。


 お神酒をいただく時は、思わず緊張して、持ち上げる手が震えてしまった。


 しかし、そこにバイオレットとブルーが飛んで来て、震える私の手を支えてくれた。


 思わず、ここ神前なのに、西洋の妖精が入って、いいんかい。


 と心の中で突っ込みを入れた為、その後は何も緊張することなく、そつなくこなすことが出来た。


 そう言えば、このところ、なんでか二人は、始終私の傍にいる。

 どうしてか聞こうとしていたのだが、いろいろ疲れすぎて、すっかり忘れていた。

 この儀式が一段落したら、聞いてみよう。


 なんとかそう思いながら、言われた順番で、無事、儀式を終えると、その後、領地にいる領民の前を行進するという試練が待っていた。


 嫌々ながらも、なんとかその苦行も、無地終了させた。


 それから、やっと、全員で魔方陣の中に入り帰還したはずだった。


 しかし、到着したそこは、公爵家でなく、王宮だった。


 悪い予感しかなかった。

 なんたって、そこには、見知った人達が、ぞろりと勢ぞろいしていたからだ。


 私は、メリルの手から、王妃様のメイド長であるリンに、手渡された。

「あとは、あなたに任せたわ、リン。」

 メリルは、そう言うと主人であるスズ様と、どこかに行ってしまった。


 メリルが去る間際に、王妃様のメイド長であるリンが一言呟いた。

「お任せ下さい。お母様。」


 私の目は大きく見開いた。

 今、確か、お・か・あ・さ・まとか聞こえたんですけど。

 私は顔をギギギッとリンに向けた。

「お母様?」


 リンは、私の問いかけが、聞こえているはずなのに、それをきれいに無視すると、傍にあった部屋の扉を開け、スッと私の体を中に押し込めた。

 私は移動させられたことしか、認識できなかったのに、サッと今まで来ていた着物使用のドレスは、いつの間にか、脱がされていた。


 ヒェー、いつの間に!


 見ると、裸の私の前に、下着を手に持ったメイド様が・・・。

 思わず誘導されるまま、傍に近づけば、コルセットが降って来て、締められました。


 グェー


 呻き声を上げているうちに、白いドレスを着せられ、顔を創られ、気がつくと通路に連れ出されていた。


 通路では、待っていたホークに、腰をガシッと抱えられた。


「では、行きましょう。」

 ニッコリ微笑まれた彼に連れられて、王宮の舞踏会会場に連行されました。


 そこには、公爵家の面々に加え、アイリーン様とイアン。

 それに後から、王妃様と王、それに悔しそうにこちらを睨むアンドリュー王子。

 そして、ついこの間婚約が正式決まった、マイケル第一王子とアンバー王女が現れた。


 私は、そうそうたるメンバーが見守る中、メリルによる地獄のダンスレッスンを耐え抜いた腕前を、ホークを相手に披露した。

 ちなみにホークは、すでに全てのダンスを完璧にこなせた為、メリルによる地獄のダンスレッスンを受けることはなかった。


 なのに、今、私をリードするその様は、完璧パーフェクトだ。


 ホント嫌味なヤツだよな、こいつ。


 途中、何度か、悔しくなって、足をわざと踏んでみようとしたが、その度に華麗に躱され、逆にさらりとリードされる態度に唖然とさせられた。


 最後は、嫌がらせの仕返しか、クルリと回されたかと思ったら、ホークの腕の中で、ガッチリ舌をいられるディープキスをされていた。


 周囲の人々は、他人事なので、ワッと叫んで喜んでくれた。


 もう、しませんから、許して・・・。


 思わず、私は涙目で、ホークに懇願していた。


 ホークは、これに懲りたら、少しは大人しくしろ、と耳元で囁いて、私を腕から解放してくれた。


 人外生物に逆らっては、いけないことを、しっかり心に刻まれました。

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