93.謝罪
目が点になっているうちに、謝ってしまえば、きっとなんとかなる。
私は後になって考えると、最悪の行動をとってしまった。
しかし、この時は、あまりの事態に、それ以外のことを考えることができなかったのだ。
私がぺこぺこと頭を下げていると、ふと私の肩にホークの手が乗せられた。
私は恐る恐る顔をあげて、彼を見た。
そこには、黒い笑みを湛えた悪魔がいた。
ヒェー、怖い。
どうしよう。
「これはどういうことだ?」
ホークが目の前にある事実を暗にさして、聞いてきた。
「これは、・・・ですね。あの・・・えっと・・・。申し訳ありません。飼い主である私の責任です。このことは、私が責任を取って、謝罪の代わりに、何でもそちらの要求にお応えしますので・・・。」
私はもう一度、深々と頭を下げた。
「ほう、なんでもか?それは言葉だけか?」
ホークは疑り深い顔で、私を見た。
「いえいえ、精神誠意を持って、そちら様の言う通りに致します。」
私は頭を振って、そう答えた。
「ほう、なら、黒子には結婚してもらおう。」
「えっ、結婚? 誰と?」
私は、少し考えると、ハッとして、顔を上げた。
「まさか、あの婚約したとかいう、アンドリュー王子と?」
途端、非常に不機嫌な顔になった、ホークに告げられた。
「黒子には、私と結婚してもらう。」
「なーんだ。ホークと・・・!」
言いかけて、途中で我に返った。
「何ですとぉー。」
「不服か。何が気に入らない。収入か?」
私は首を横に振った。
現役の宰相様ほど、お金持ちはいません。
「なら、容姿か?」
私は首を横に振った。
宮廷でご婦人がたに、キャーキャーいわれるくらいなので、そこも問題は・・・。
「じゃ、なんだ?」
真顔で問いかけてきたホークに、私も真顔で答えた。
「あのー、私は異世界人で、身分がありませんので、そこが・・・。」
私の言葉は、途中で遮られた。
「精霊の祝福があるんだ。それこそ身分以上に、価値がある。」
この人言い切ったよ、今。
そんなに精霊って、霊験あらたかなの?
私の呟きは漏れていたようで、思いっきりそうだと肯定されました。
精霊、すごっ!
私がそう思うと、目の前に腕を組んで、偉そうな態度の二人が現れた。
なんでか、ムカッとしたので、二人をムンズと掴むと、ラブラブの二匹の前に放り投げた。
二匹は、にこやかな顔(きっとそうだと思う)で、二人を舐め回した。
「ちょっと、止めなさいよ。イヤアーン。」
「おい、よせぇー、アハーン。」
フン、思い知ったか。
幾分、溜飲が下がった私は、いつの間にか、傍に来ていたホークに拉致されると、公爵夫人の所に、連行された。
あれ? なんで・・・。




