表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/99

92.事件です。

 真っ白な光が治まると、私は公爵家にあるホークの部屋で、彼にお姫様抱っこされた姿で、そこにいた。


 えっと、なんで・・・どうなってるの?


 ふと気がつくと、床に足がついていた。


 床に足って・・・。


 私はそこで、顔を上に上げた。

 私の目の前には、妙に整った宰相の顔があった。


「まだ、抱き上げられたいのか?」

 真顔で質問されました。


 いえ、まったくもって、そんな気は、一ミリたりともありません。


 私は、ホークから慌てて離れると、彼の私室を飛び出した。


 そのまま庭に出て、離れの部屋に向かった。


 ウギャー、心臓が・・・しんぞうが壊れる。


 私は自分が借りている部屋に、一直線に向かった。


 パッタン


 部屋の障子を閉めると、そのまま布団にダイブした。


 ボッコン。


 ギャー、なんで、あんなことになったんだぁー。


 黒井黒子、28歳。


 生まれてこの方、初めて、異性にお姫様抱っこされました。


 うっ、なんでここに、記録するものがないの?

 誰かに録画して、貰いたかった。


 記憶クリスタル?


 ダメだ。

 恥ずかしすぎて、記憶が・・・キオクが曖昧だぁー。

 一生に一度かもしれなかったのに、なんて勿体無い。


 私は布団の上で、しばらく悶えながら、暴れていた。


 しかし、次の日には、今日以上の苦難が待ち構えていた。


 翌朝、バタバタしながらも熟睡した私は、朝風呂を浴びると、公爵家に居候させて貰っているので、勤労奉仕も兼ねて、屋敷のメイドさんたちの手伝いをした。


「黒子様。今日はお庭のお掃除を、お願いします。」

 メイド長のメリルから、どこで作っているのか、昔懐かしい竹ぼうきと塵取りを渡されて、私は早速、自慢の日本庭園に出ると、散った花びらと枯れた葉っぱを掻き集め始めた。


 うーん、ここだけ見てると、異世界って感じ、しないなぁ。

 私がしみじみと浸っていると、どこからか子犬の鳴き声が聞こえてきた。


 ふと気になって、その鳴き声が聞こえるほうに、歩いて行くと、そこには衝撃の事実。


 そこには、生まれたての子犬を、大事そうに抱きかかえるようにして、乳をやる由緒正しい公爵家で、飼われている血統書付のプリンちゃんの姿が・・・。

 そして、その傍には、プリンちゃんに傅く、我が家の駄犬、プー。


 最悪なのは、よーく見ると、プリンちゃんにそっくりな子犬の中に、我が家の駄犬にそっくりなのが何匹か?


 いやいや、そんな馬鹿な。

 これは目の錯覚よ。


 私が首を振っていると、久しぶりに聞いたナニ1号とナニ2号、もとい薄紫の虫のような羽を持ったバイオレットと、ちっさいサイズの金髪のイケメン君、ブルーが飛んでいた。


「あら、やっと現れたわね。黒子?今までどこに行っていたの?」


 それは私のセリフだ。

 はっきり言って、いろいろ忙しくって、自分が飼ってる駄犬のことは、ものの見事に忘れてたんだけど、この目の前にある衝撃の事実はなんなの?


「ちょっ・・・ちょっと、バイオレット。これはどういうことなのよ?」

 私は、目の前に飛んできたバイオレットを、むんずと掴むと、問いただした。


「どういうことって、そりゃ、愛し合っている二匹ふたりが、愛を深め合った結果よ。」


「愛し合うのは、わかるけど、なんで、ここに子犬がいるのよ。うちの犬は雑種ミックスで、由緒正しい猟犬じゃないのよ。それなのに子犬作るって、・・・。」


 やばい。


 血統書のある犬に、雑種の血が混じるって、まずいでしょ。


 全部の犬がプリンちゃんに似てれば、ごまかせるけど、今見る限り、我が家の駄犬似の小犬が、何匹か雑じってるようだし、これどう言い訳すればいいの。


 私が真っ蒼になっていると、後ろから声がかかった。


「こんなところで、何をしているんだ、黒子?」

 最悪のタイミングでホークが現れた。


 私は後ろを振り向くと同時に、その場に土下座した。


 ここは、もう、これしかない。

 私は悲壮な思いで、地面に頭を擦り付けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ