表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/99

91.会食

 私のライフがゼロになった所に、ホークが迎えに現れた。

 私は高いヒールを履いて、ホークの手に縋ると、なんとかヨタヨタと歩き出した。

 その姿は、まるで生まれたての小鹿のようだ。


「行くぞ。」


 そんな私におかましなしに、彼はスタスタと歩き出した。


「ちょ・・・ちょっと、待ってよ。早過ぎ・・・。」

 私の言葉は、途中で固まった。


 何を考えたのか、ホークがクルリと振り向くと、私の足は宙に浮いていた。


 よーく自分の現状を把握する。

私の足の下には、ホークの手が添えられていた。

いわゆる、お姫様抱っこだ。


 なんで、どうして、どうなってるの?


 私の頭がショートしているうちに、彼に抱っこされて、いつの間にか、会食の会場に着いていた。


 扉の前に待機していた兵士が、私の姿を見て、ポカーンとしている。


 そこで、やっと私は、我に返った。

「ちょっ・・・、私を降ろして!」


 ホークはなんでか、爽やかに微笑むと、そのまま扉の前に控えていた兵士に、扉を開けるように、指示を出した。


 イヤイヤ、いくら何でも、お姫様抱っこで登場とか、それ絶対に、嫌がらせだから。


 私は彼の首根っこを、ムンズと掴むと、彼の耳元で、文句を言った。

「早く降ろして下さい。」


「歩けないんだろ。これが合理的だ。」

 ホークは全く聞き耳をかさず。

そのまま部屋の中に、足を踏み入れた。


 中にいた全員が一斉に、こちらを見つめる。


 当然、注目の的だ。


 最悪なことに、そこには陛下、その伴侶であるキャサリン王妃、それに彼女の息子である第一王子マイケル、そして、隣国の第一王子であるアンドリューと第三王女のアンバーが、こちらを凝視していた。


 うっ、穴があったら入りたい!


 ホークは、何食わぬ顔で、私を抱いたまま、決められた席に私を降ろすと、その隣に腰かけた。

「遅くなって申し訳ありません、異母兄あにうえ。」


 この一言で、何か言おうとしていた陛下の口を封じたホークは、視線を傍の使用人に向けると、無言で食事を運んでくるように指示を出した。


「黒子は、どうかしたのかしら?」

 キャサリン王妃から、やんわりと抗議の声が上がった。


 私が口を開く前に、ホークに遮られた。

「途中で足を挫いたようだったので、私がここまで運びました。」


 はっ、いつ私が足を挫いたって!


「まあ、それはいけないわ。シップをしたの、黒子。」

 キャサリン王妃が心配そうに、私を見つめて来た。


「大丈夫です。大したケガでは、ありませんから。」

 私はホークを横目で睨みつけながら、言い訳をした。


 なんで、私が言い訳をしなきゃ、いけないの。


 心の中で、盛大に文句を言っている間にも、王族の私的な昼食会は進んでいった。


 気がつくと、最後のデザートも終わり、いつの間にか、食事会は終わりを告げていた。


 王と王妃が退席し、次に隣国の第一王子であるアンドリューと第三王女のアンバー、それにアンバーをエスコートした第一王子のマイケルが席を立った。


「あまり無理をしないようにね、黒子。後でお見舞いの品を届けるよ。」

 アンドリューは心配そうな目で、私を見ると、スッと私の傍に来て、私を抱き上げようとした。


 げっ、ヤバイ。

 そんな事されたら、足をケガしていないことがバレる。


 私は大慌てて、お断りをした。

「ぜったいに、大丈夫ですので、はい・・・絶対です。」

 お陰で、おもいってきり、変な言葉を発してしまった。


 アンドリューは苦笑いしながら、差し出した手を引っ込めると、異母妹であるアンバー王女と、彼女をエスコートしいる第一王子のマイケルたちと会食会場から退席して行った。


 ホッと肩の力を抜いてから、息を吐き出した。


 取り敢えず、ばれなかった。


 私の気が抜けた途端、またいきなり目線が高くなった。


 気がつくと、ホークに椅子から抱き上げられていた。


「ちょっと、なにするんですか?」

 私は彼の耳元で、盛大に文句を言った。


 本当は大声で叫びたかったのだが、周囲にはまだ、会食会場を片付ける為、大勢のメイドと侍従が傍に控えていたのだ。


「行きだけ抱き上げられていて、帰りは、ピンシャンして、自力で歩いていくつもりか?」

 ホークにそう囁かれ、ハッとした。


 確かにそれはまずい。


 私が葛藤しているうちに、ホークは私を抱き上げて、元来た通路を戻っていた。


 なんでか先程、着替えた部屋を通り過ぎる。


 へっ、そこじゃないの?


 私がその部屋を見ているうちに、彼はそこを通り越し、さらに王宮の奥から、いつもの近衛隊の訓練場と反対方向に歩き始めた。


 唖然として見ていると、見慣れた部屋の前に着くと、そこに連れ込まれた。


 そこはホークがいつも執務をしている宰相室だった。


 中に入ると、そこにはキレイに浮かび上がった魔方陣が輝いていた。


 私はホークに抱き上げられたまま、いつも間にか、その魔方陣の中央に、立っていた。


 あれ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ