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88.転移門

 朝の眩しい光に、目が覚めて、起き上がろうとすると、普段使わない筋肉が悲鳴をあげた。

 そんな中、私は気合を入れて、立ち上がって、朝食の席に向かった。


 珍しく、そこにはホークとマナの姿がなかった。

 なんでだろうと不思議に思ったが、ルドルフが持ってきた絶品和食に、すっかりその事は、私の頭の中からすり抜けた。


 食べ終わると、ゆっくり周囲と歩調を合わせて緑茶を飲み、きりが良い所で、すぐに厩に向かう。


 自分で馬に鞍を乗せると、王宮を目指した。

 もちろん鞍の乗せ方は、ブランに教えてもらった。

「もう、さすがに、戦争には、ならないでしょうが、なにかあった時、馬に鞍を一人でつけられる方が、何かと便利ですからね。」

 そう言って、丁寧に何度も、鞍の置き方を、指導してくれたのだ。

 お陰で今では、馬に関することなら、一通りなんでもできるようになった。


 私は、乗馬すると王宮に向かった。

 そう言えば乗馬出来るようになってから、一人で通勤する許可をもらえたんだっけ。


 私は、そう思いながら、ぼんやり馬の背に揺られながら、現在の勤務地である王宮に向かった。

 門に着くと、顔見知りになった門番のおっさんと、少し今日の天気の話をして、門の奥にある厩に馬を預けると、そのまま近衛隊の訓練場に向かった。


 近衛隊の訓練場で、ブランと準備運動をして、今日の訓練メニューを終える頃に、なぜかメイドを連れたマナ将軍に呼ばれた。

 私の頭の中には、マナ将軍=”身の危険”とインプットされているので、逃げようとして、いつも間にか後ろにいたシルバーに捕まった。


「チビッ子、流石に声かけられてからじゃ、逃亡は不敬罪になるわよ。」

 結局、シルバーに引きずられ、マナ将軍の傍にいたメイドに引き渡された。


 気がつくと、アッというまに、周囲をメイドに囲まれ、部屋に連れ込まれると、身体中を磨かれて、コルセットはつけられ、ドレスを着せられた。


 もう、その時には、私のライフはゼロだった。


 その後は、迎えに来た宰相に引きずられるように、地下に連れて行かれた。

 それは牛肉工場に、連れていかれる牛のような哀れな姿だ。


 気がつくと、周囲に煌めくクリスタルが輝く広いホールに立っていた。

 周囲には王族ファミリーにマナ将軍、副将軍のグリムに、高位貴族が数十名、それに私とホークがいた。

「ここは?」


「最近できた、王族専用の転移門だ。」

 ホークが小声で、説明してくれた。


 なるほど、王族専用の転移門か。

 へっ、王族専用・・・?


 見ていると、目の前にあった門が、白く光り出した。

 しばらくすると、光が弱くなってくる。


 なんだかイヤな予感がして、背筋を冷たい汗が流れ落ちた。

「黒子。」

 なんだか、へんな幻聴も聞こえた。

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