表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/99

87.早朝会議

「マナ。」

 グリムは、隣で寝ているはずのマナに、手を伸ばそうとして、空ぶった。

 慌てて、起き上がると、彼女はすでに、王宮に出仕する時の隊服に着替えて、部屋を出て行くところだった。


「どこに、行くんだ?」

 彼の呼びかけに、彼女はドアのノブを掴んだまま、振り返った。


「緊急会議が招集された。グリムは、まだ寝ていてくれ。行ってくる。」

 彼女は、そう言うと、寝室を出て行ってしまった。


「緊急会議だと。何があったんだ。」

 裸のまま布団の中で、グリムは呟いた。


 一方、王宮の緊急会議では、満面笑みの王が、将軍の到着を、ホークと待っていた。

「昨日といい。今日といい。この二日間は、私にとっての幸運日ラッキーディーだな。」


「なんで、幸運日なんですか?」

 超ご機嫌な王に、ムカムカしたホークは、ぶっきら棒に声をかけた。


「そりゃ、昨日に引き続き、今日も朝から”異母兄あにうえ、緊急会議を開きますので、至急お越し下さい。”って、ホークから伝言が、来たからだよ。 あ・に・う・え、ってね。」

 王はかなり嬉しいようで、二度、繰り返した。


 ホークは、苦虫を噛み潰したような顔で、口を開いた。

「緊急で、会議を開くときの伝言は、そうしろと言ったのは、あなたです!」


「ホーク。そんなに、恥ずかしがらなくても、いいのに。」

 満面笑みの王が、嬉しそうに話す。


「恥ずかしがってなど・・・。」


 そこに、扉をバーンと開いて、将軍のマナが登場した。

「すまん、遅くなった。」


「いえ、では始めましょう。」

 ホークは助かったと心の中で思いながらも、そう言うと、今まで脇に控えていたブンに、合図した。


 彼は頷くと、机の隅にセットした、クリスタルを起動した。


 彼らの目の前にあった白いテーブルに、地図と物資の動きを示した簡易図が浮かんだ。

「動かしてくれ。」

 ホークの声に、ブンは頷くと、絵を動かした。


 それを見ていた王と将軍が、思わず唾を飲み込んでいた。

「これは、いつの話だ?」

 マナがホークに詰め寄った。


「一週間ほど前です。」

 それにブンが答えた。


「こんなに大胆に、動いていて、なんで気付くまで、一週間もかかったんだ。」

 マナが組んでいた足をダンと踏み鳴らして、イライラと腕を変えた。


「主食のムギと一緒に、輸入されていたので、気がつくのに、時間がかかりました。」

 ブンが珍しく部下を庇うような発言をした。


「そうなのか、ホーク。」

 マナは、ホークに顔を向けた。


「ええ、そうです。シャドウでなければ、気がつかなかったかも、知れません。」

 ホークも素直に、答えた。


「そうか、わかった。それでどうする?」

 マナは、二人に問いかけていた。


「このまま、放って、おくわけには、行かないな。」

 王の発言に、二人は頷いた。


「とは言え、我が国が単独で動くと、下手をすると、また開戦になるぞ。」

 マナが面倒くさそうに、テーブルを見ながら、こぼした。


「一番いい方法は、ギルバート王が治める国と、共同戦線を張れるのが最適です。」

 ブンが画面の操作パネルを、動かしながら、そうなった時の動きを示した。


 マナと王が、ブンが示した動きを、興味深く見ながら、頷いた。

「ホーク、ギルバート王は、今回の件について、知っていると思うか?」


 マナの問いかけに、ホークは首を横に振った。

「怪しいなと疑っていても、ここまで詳細に、軍事物資を動かしているのには、まだ、気づいていないでしょう。」


「ふむ、なら今回の件を、極秘裏に伝えて、恩を売ろう。」

 マナの意見に王も頷いて、ホークを見た。


 ホークは王の視線に、うんざり顔で頷くと、大きな溜息をついて了承した。

「どうせですから、今回きた信書の申し出を利用しましょう。」

 マナは、王とホークの会話に、可笑しそうに、同意した。


「いい時に、良い案が出ていて、良かったな、ホーク。」

 マナの嬉しそうな笑顔に、ホークがいやそうに呟いた。


「嫌味ですか、お母さん。」


「いや、自分の息子が、こんなにもてるんだと思うと、嬉くらいだぞ。」

 マナの満面の笑みに、さらにホークの顔が、曇る。


「単なる嫌味にしか、聞こえません。」


 そこで、極秘裏に行われた会議は、終了した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ